おまじない
自分で自分を励ましたり物事をあやふやなまま誤魔化したりしてなんとか少しずつ前に進んでいる
学生の頃、どうしようもなくなっていた時期、
ひと回り歳の離れた姉が、何があったのかは聞かずにミルキーを一粒「元気が出るキャンディあげる」と握らせてくれた
問題の解決にはならないし、憂鬱な気持ちを吹き飛ばすほどの大好物でもない、そんな一粒のミルキーはあの日確かに私の心を軽くして あれから私は小さなおまじないのような祈りに毎日助けられている
「飲むとたちまち気持ちが楽になってすぐさま眠れるホットミルク」「悲しい気持ちの時用の紅茶」「あの日のことを忘れないためのピアス」
こういう感情の時はこの映画が効く、この症状を緩和させるためにはこれをしたらいい みたいな自分専用の処方箋がノートにどんどん溜まっていって
今では何となく「多分もうそろそろ気分が落ち込むはずだ」と心の空模様を先読みして予め処方箋の仕込みをしたりして、明日の私を今日の私が助けている
もちろんうまくいかずに不貞腐れて眠ることもあるけれど、なんとかうまくやっている
誰かに幸せにしてもらいたくて苦しかったあの頃と比べると、随分と逞しくなったなあと思う 自分のことは自分で幸せにする 何度も失敗したけれどもう忘れることはないだろうな とぼんやり考えながら今夜もホットミルクをせっせと温める
皆それぞれにつらいし苦しいし不安があるけれど、オリジナルの処方箋や逃げ道があるといい
私の今夜のホットミルクは不安の分だけハチミツを入れてたっぷりと甘い一杯になりそう
白に溶かして全部飲み干してしまおう
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