モータースポーツという少し変わった性癖

これは高校時代から目覚めてしまったが、俺はモータースポーツでどんなシーンやどんな所が好きかとよく聞かれることがある。俺はこの時に「西日に照らされてる中走るマシンと、雨の中ライディングしてるGPライダーのヘルメットの中からの表情、それと火花かな。後はル・マンのコースでロングストレートに差し掛かる所のS字区間でのドライバーの表情」と答えることがある。特に雨の中ライディングしているGPライダーのヘルメットの中からの表情は本当にお気に入りで、目付きから勝利に渇望しているのが感じとれるからだ。それと何故、雨の中なのかと言うと、一番ライダーのヘルメットの中からの表情が鮮明に見えるからだ。後は、WRCで、もう絶望的状況に陥って全てを諦めかけたチームが起こす奇跡も好きだ。本当に最後の日のスタートラインにマシンが到着して、スタートした瞬間は、まるで、マシンから「大きな羽根」が生えてるように見えて美しいからだ。そしてそこからの大逆転勝利も。本当にWRCを見ていても、そういう奇跡が起きる事もある。そしてF1でも、インディカーでもだ。個人的に今でも覚えてるのが3年前のマカオF3ワールドカップ決勝レース。この時から新たに発足したFIA-F3世界選手権で一度も勝つ所か表彰台すら取れなかった、オランダのリチャード・フェルシュフォーがラスト2周でエストニアのユーリ・ヴィップスをパスしてトップになった。そしてそのままトップでフィニッシュというまさに奇跡でもあり、初挑戦でいきなり世界一の座を手にするというシンデレラストーリーも生まれた。そして2016年のル・マンでもそうだった。誰もが「無理だ諦めろ」と口を揃えて言った、あるドライバーが居た。そのドライバーの名前は「フレデリック・ソーセ」。このドライバーは4年前のバカンス中に引っかき傷が原因で「壊死性筋膜炎」という病気を発症し、かなりの勢いで手足が壊死していき、結果、両手両足を切断という悲しい事になってしまった。だけど彼は、2016年ル・マン24時間レースで最先端技術やテーマを掲げたマシンを走らせる、賞典外特例枠「ガレージ56クラス」へのエントリーを表明した。マシンはモーガンLMP2というマシンを用いてのエントリーだった。だけど俺は、当時中学2年生ながら、どうやって運転して、乗降してるのかすごく気になっていた。そしてその人の動画をひたすら見まくって勉強していた。答えは単純だった。右手に義手を装着して、専用のステアリングで操作するという事だった。そして乗降はと言うと、当時俺もリアタイで夜中とか見ていてたから覚えてるが、突っ張り棒みたいなやつに輪っかを括りつけてそれでクレーンみたいにしてソーセさんを乗降させていたということだ。そして万が一に備えての脱出も戦闘機の脱出システム「ベイルアウトシステム」の原理を応用した物を採用していたとか。そしてエンジンは、当初アウディ製のものを使う予定だったが、このクラスの標準エンジン「ニッサンVK45DE」という日産の水冷4ストローク4.5リッターV8DOHC32バルブエンジンを使う事になった。理由としては、このエンジン自体「安い、速い、壊れにくい」という三拍子揃ったエンジンだからとの事だった。そして決勝では、途中ギアボックスに無茶が祟ってピットインをしてリペアしたくらいで大したトラブルも無く、ガレージ56クラス初の24時間完走を果たした。そしてそれから5年後のル・マンにソーセさんは、今度は「ドライバー」では無くて「チームオーナー兼監督」として帰ってきた。マシンはフランスのオレカというコンストラクターが制作した「オレカ07」というマシンに、ワンメイクエンジンである、イギリスの「ギブソンテクノロジー」が制作した「Gk428」を搭載してのエントリー。ドライバーには1998年にもてぎでMotoGP(旧WGP500CC)のテスト中に50km/hで転倒してしまったが、打ち所が悪く下半身不随になってしまった、日本の青木拓磨選手、そして交通事故で下半身不随になってしまったナイジェル・ベイリー選手と健常者ドライバーという組み合わせでこれまた完走を果たした。その瞬間もこの目に焼き付けている。後は2017年のル・マンでは、GTEプロクラスで感動するバトルが展開された。それは、アストンマーティンVSコルベットという対決で、最終的にはアストンマーティンが死闘を制してクラス優勝を手にしたが、その後が感動モノだった。それは最後まで必死に食らいついて、足周りを損壊してまでも走り、最後はタイヤバーストをしてまで、チェッカーまでマシンを走らせたコルベットだった。この時、左のフロントライトは、役割を果たしたかのように陥没。ゴールした時にはもう3輪だけで走ってるような状態だった。後は2年後のル・マン。トヨタ18回目のプロポーズと呼ばれて今も語り草になっている念願のル・マン初制覇。この瞬間は今でも鮮明に覚えている。一部では「ポルシェとかアウディというライバル不在なら勝って当たり前」とか言われてるが、俺は「ライバル不在でもル・マンを制覇した。それだけでも十分栄誉ある事だ。」と反論している。これまで本当にあと一歩の所までだったトヨタが、その「あと一歩」を乗り越えて掴んだ勝利は特別な物だった。ちなみに前の年の大会はSNSが大荒れする大会だった。バイコレスというプライベーターは恐らく2010年代のル・マンにおいて最短出走時間「24秒」というレコードを樹立しており5年経った今も更新されずにいる。理由はかなりマヌケな理由だ。「ブレーキを踏ん張りすぎてフロントカウルズレてタイヤと干渉してリタイア」という何ともバカバカしい理由だ。ちなみにその時にトヨタは3台でエントリーしていて、3台目の9号車がそのとばっちりを受けている。そしてこの大会はなんともグダグダでLMP2クラスがあわや総合優勝という珍事も起きた。それがきっかけで上述したマシンは今でも開発が凍結されている。そして昨今は最高峰クラスのLMH(ハイパーカー)クラスの地位がある意味脅かされている。今回のセブリングでもハイパーカーに割って入るというレベルまで来ている。元はと言えば、ハイパーカーを変に刺激しないように馬力を落とされたり、常時ル・マン仕様の空力で走れというお達しまでされているが、ハイパーカー(一部例外含む)が重量1トンクラスなのに対して約50kg軽い、950kgという軽さが影響してるからであろう。ちなみに、トヨタGR010Hybridとスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス・SCG007の重量は1030kgで一部例外という扱いをしているアルピーヌLMP1は恐らく850kgくらいだと思う。ちなみにプジョー9X8もGR010同様1030kgという重量だ。でも何故LMP2が人気なのかと言うと、そもそもの話安く済むというのが大きい。なぜならエンジンはリースで後は、オレカなりリジェなりを買って搭載するだけなのだから。それほどいい話は無い。ちなみにアルピーヌLMP1はオレカ07ベースのマシンでもあり元々は、スイスのレースチームでもあり時計メーカーの「レベリオン」が運用していた「R13」をアルピーヌが、レース活動を終了したレベリオンから貰ってリバッジしただけの物である。その為信頼性はかなり確保されており、たまに総合優勝したりしている。それよりなんでまだ走ってるのかと言うと「俺らハイパーカー作る金も時間も今は無いんよ。せや!レベリオンがレース活動を終了するみたいやしアレもろてこようか。」という流れでレベリオンからR13を引き継いでエントリーしているという経緯がある。

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