緊張と緩和(何を面白いと感じるか)
まずは自己紹介をさせて頂きます。社会人ジャグラーの楠日(くすひ)と申します。ジャグリング歴は来年4月で8年目に突入、メイン道具はシガーボックスで、大阪は西梅田公園に住んでおります。おしゃべりな男ですが、書く方はずばり拙筆でごぜぇます、お赦し下さい。
ジャグリングアドベントカレンダーその2、昨日はRefleX代表のめいこさんの『緊張との付き合い方』という記事でした。
https://note.com/oo_ydk_/n/n8613a2eaf2e6
…似た題名ですね…。やっちまったなぁ…。
でも内容は多分全然違うと思いますので、ゆるしてください。
あとこれはジャグリングの中でも、パフォーマンス、特にルーティンについて書かれたものです。とか言いながら非ジャグリング要素が多いです。ご注意ください。さらに論理展開も甘いです。ついでにジャグリングの中でもルーティンの話がメインです。ん、これはさっき書いたかな?
さて、
…はて?
何でしたっけ?
そう、Nagoya Juggling Carnivalでしたね。出演者、運営の皆様、頑張ってください!観にいきます!(投稿時間:当日午前4時)
さて。
『緊張と緩和』と題した本記事ですが、副題が示す通り、"人は何に面白みを感じるのか"について書いたものです。
人は何を面白いと感じるか。
沢山お話しできそうですが、今回は"緊張"のみを取り上げようと思います。
ここで言う緊張とは、"正常状態ではない行為や現象により変化した場の雰囲気"の意味合いが強いです。昨日のめいこさんの記事では、緊張するのはパフォーマー本人でしたが、本記事では緊張するのは観客です。観客が緊張することで、パフォーマンスが面白くなるのです。
…何言ってんだ?
例えば、ジェットコースターやホラー映画。これらの面白さは、正常状態ではないものに由来している思います。(非日常性、スリル、と言うべきでしょうか)
ジェットコースター
ホラー映画
お笑いの面白さもこの緊張と根を同じにしていると私は思います。"可笑しい”と"おかしい"が同音であることから、通常と違うもの、が”おかしい”の源流ではないでしょうか。とある人類学者だったか心理学者だった忘れてしまったのですが、その人によると、発生した緊張に対してバランスをとるために顔面の筋肉の緊張を破壊する=笑顔、らしいです。(デュシェンヌ・ド・ブローニュという神経学者だったと思うのですが…出典が不確かでごめんなさい)
2010年のM-1グランプリのスリムクラブの漫才はいい例だと思います。M-1決勝戦という緊張感あふれる場で、贅沢すぎるほど無言の間を取ることで極限にまで緊張が高められ、それを和らげるために笑いが発生した、と私は分析します。
なるほど、緊張は面白みを引き起こすことができる、ではどうやって緊張を作ろうか。
方法はいろいろあると思います。今回は "緊張しない状態(=通常)をつくってそれを壊す"という手法を取り上げようと思います。この"通常"とはつまり、観客にとって見慣れたもの、です。ルーティン時間中に観る人に慣れを生じさせ、それ破壊することで緊張をつくるのです。
…やっとパフォーマンスの話っぽくなってきた。なってない?ごめんなさい。
例えば
???なんやこの動画???
ループ技をしていますね。多分メジャーな技ではないと思います。しかし繰り返し行うことで観客に慣れさせています。これを"通常"を形成している、とここでは定義します。そして1:36、この技の発展(?)技をして、"通常"を破壊します。まさに" 緊張"の登場です。観客も歓声を上げます。
シガーボックスで言えば、例えば外抜き→外抜き→外抜き→大回転、という流れでしょうか。
…その動画は無かったんかい…。
もう一つ例を挙げます。ちょっと長いですが、全部見て頂けると幸いです。
!!!ジャグリングちゃうんかい!!!
1:32までヌルヌルしてますね。彼らは世界トップレベルのダンサーです。で、こんだけすごい技術でヌルヌルして、最後に何をするかというと、ステップなんですよ、ステップ、ステップ!ヌルヌルからのパタパタですよ!
これこそ究極の ”パターン形成とその破壊" だと私は感じました。観ている人達(踊っている二人と同じくトップレベルのダンサー)も狂喜乱舞です。
ジャグリングルーティンにおいて緊張を作るにはどうすればいいでしょうか。
良く知られた技をした後に新規性のある技をする、ずっと正面を向いていたのに突然後ろを向く、高さのある技をした直後に地面を使った技をする、などなど、いろいろありそうですね。
さて、ここまで述べた、パターンの形成とその破壊による緊張の発生(長い)ですが、これらは”波”の作り方の1つだと考えています。
波?
さすがにこれを書くと2020年どころか2021年になってしまうので、省略します。ですが、この”波”とやらが、面白いパフォーマンスの秘訣だと私は思っています。
具体例を挙げるなら、
・難易度の低い高いの波
・新規性が有る無いの波
・体/道具の動きが大きい小さいの波
ちなみに波の山と谷は視点の違いだと私は考えています。難易度の低い=谷とは限りませんし、高い≠山でもあります。難しい技を連発した後簡単な技をすることでも波は発生します。
最後に、最近私が熱中している波を紹介します。ゆっくり動いて(或いは静止して)静寂を作り、小さな動きをする、というものです。まるで静かな水面に水滴を落とした時の波紋のような波です。下の動画に沢山みられるのですが、特に0:55の手の動きでしょうか。
(!!!ジャグリングちゃうんかい!!!)
長々とお付き合い頂きありがとうございました。
明日は、いつもお世話になっております、きぞは工房のきぞはるさんの番ですね。
皆様良いお年を!