認知症の方の生活を守る防火対策
前回の投稿で、認知症の方への防火対策が重要と記載した。
特に一人暮らしの認知症の方がぼやを起こしたりすると、火事の心配から親族の方との同居や、施設入所するように周りから強く勧められるからだ。
もし自分が一人暮らしで認知症になったら、火事を懸念して親族との同居や施設入所するだろうか…。入所する人もいるだろうが、人によっては、気ままに暮らせる一人暮らしを絶対に続けたいと思い続けるだろう。家に居続けたい方が安全に、周りも安心して暮らせる防火対策。地域包括支援センターとしてご本人へ提案、調整してきた経験から感じたものをまとめた。
1.防火対策の基本
①対策の必要性をご本人に認識してもらう
本人を無視した対策は、対策にならない。
対策の必要性をタイミングを見て伝え、対策をとりたいと思ってもらう。
納得しなくても、粘り強く。繰り返す。
②本人にあった対策を複数提案し選択してもらい、対策実行を支援
本人が、どんな時に火を使うか把握し、それに対策。
対策がうまくいかなければ別の対策を試す
③対策がどうしてもうまくいかなければ施設入所も本人と検討する
有効な対策がとれず、火災の心配が強ければ施設入所などへつなげる。
本人に、火事の対策がとれないことを認識してもらう。
2.防火対策の具体的な方法
①火災報知器の設置・作動の確認と定期的な確認
報知器が設置されてても、作動しない場合もある。定期的にチェック。
②ガスコンロの買い替えか使用を止める
ガスは必ず危険ではなく、現在販売してるのは自動消火機能がある。
自動消火機能がついてない古いものなら、本人と相談し買い替える。
調理好きの方は、ガスコンロを手放すのを嫌がる人も。
周りから心配の目があるのは嫌ではないか?本人に考えてもらう。
心配の目をなくしたいなら、コンロを止め代替方法を支援すると伝える。
コンロ不使用を了承したら、元栓を止め、ガス会社へ契約終了を連絡!
③電磁調理器
ごく軽度の認知症なら、ガスコンロを止め電磁調理器への切替も可能。
切り替えるなら、とにかく早い時期に。
一緒に繰り返し練習し、慣れてもらう。
④電子レンジ
コンロの代わりにいろんなことができる電子レンジ。
本人と一緒に繰り返し繰り返しやって、慣れてもらう。
⑤湯沸かしポット
お湯を沸かすためにガスを使う方は多い。
それならポットをプレゼント。一緒に繰り返しやって、慣れてもらう。
⑥配食サービス、出前、外食
家で調理しないような手段はある。ただ調理好きには酷か…。
⑦タバコ対策
水の入ったバケツを用意してしまい、使わざるを得ない状態にする。
⑧火を使わない仏具
本人と話して電気での仏具に切り替えを了承してもらう。
ライターやマッチを処分し、同時に電気仏具を用意する。
電気仏具の使い方を一緒に繰り返しやって慣れてもらう。
⑨暖房器具の買い替え
ストーブを止め、エアコンなどに切り替える。
納得しない時は、消防署に協力してもらえないか相談。
⑩ヘルパーなどの訪問で危険のチェックと対応
定期的に見守る人が訪問し、危険を察知し、対策を立てていく。
⑪危険なら強引に危険の元を断つことも
本人が対策を断固拒否し、でもボヤになりかけるなどがあれば…
親族や関係者と相談し、本人の了承を得ずガスを止めてしまう方法も。
本人と相談の上やりたいが、やむを得ない場合も。
⑫対策は一人で考えず、いろんな人に相談
特に、地域包括支援センター、ケアマネジャーに相談を。
認知症介護の経験者である「認知症の人と家族の会」への相談も有効。
3.まとめ
防火対策は、本人や親族と一緒に考え、本人に決めてもらうのが一番いい。
対策もいろいろあり、あれこれ試してみる。
本人が対策を拒否しても、別の人から言ってもらったりする。
危険なら、本人の許可を得ない方法もやむを得ない。
とにかく、いろんな人に相談すると対策が見えてきやすいと思う。
地域包括支援センターやケアマネジャー、認知症の人と家族の会への相談は無料なので、ぜひ活用されるといいと思う。
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