家出少年の話

物語という程、都合の良い物ではないが
ノンフィクションにしては割とユーモラスな日々だったと思う。

16歳夏。ゴロゴロして毎日を過ごしていた。
アニメを見たり漫画を読んだりゲームをしたり。家の中でずっと過ごしていた。
青春真っ只中の年頃の中で何をする訳でもなく
時間に背中を押されながら一日が終わるのを待った。
テレビをつけるとニュースがやっている。
僕はニュースが嫌いだった。何が面白いのか分からなかったし何より「昔の事」で毛嫌いしていた。昔の事とは、うちの家は五時くらいに
親父と弟と僕で夕飯を食べていた。
その時間からはビットワールドとかまあ
興味をそそられる番組がやっていた。
しかしテレビに映るのはニュースだった。
「ニュースを見ないと明日会社で話す話についていけない。」と親父は言っていた。
僕は自分の好きな番組を見れないやるせなさと
親父の発言とその目が嫌いだった。
大人ってつまらないんだなって。
「パパはニュース好きなの?」
「別に好きじゃないよ」と親父は答えた。
好きじゃないのに見てその話を会社で友達と話す。訳が分からなかった。
親父が訳の分からない事を言ってる事もまた
気が食わなかった。
そんなこともありニュースは今でも嫌いだ。
見てるだけで腹が立つ。ほら今だって
思い出したらイライラしてくる。
僕は子供から見る大人の不条理さを感じていた。
大人になる事が嫌だった。
「ずっと子供でいたい。」
その思いとは裏腹に何もせずに終えていく日々。
何かしなくちゃと思うも動かない。動けない。
そもそも動き方が分からない。
夢がない訳じゃなかった。いや夢があるかどうかもわからなかった。何も分からなかった。
そして分かろうとしなかった。
ほんわかしてふんわかしたこの先の未来。
事の顛末は知らずとも道理さえ知ってしまえば
終わってしまう感じがして怖かった。

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