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「700,000,000,000,000,000,000,000」の思いがこもった、アニメ「ラピスリライツ』の魅力。

コロナ禍の煽りを受けて厳しい状況に置かれているのはアニメ業界も例外ではない。4〜6月期は複数の作品が放送途中で長期延期をよぎなくされたり、放送予定の時期が先送りになったりと、大きな影響が表面化した。7月期に入り、放送中断のようなケースはさすがになくなったが、放送開始自体を10月以降に変更した作品は結構多く、その結果、穴埋めがてら再放送アニメがやけに目立っている。

そんな中でも、少数精鋭というべきか、7月開始のアニメにはクオリティが高い力作が目立つ印象もある。4月開始ながら3話までで延期になっていた「天晴爛漫」や、設定が難解だが迫力ある映像を毎回繰り出す「デカダンス」など、オリジナルアニメ作品にその傾向が強い。アニメファンとしては嬉しいことである。

で、そんな力作の中にあって、個人的に回を重ねるごとに期待度が増しているのが「ラピスリライツ」だ。

「ラブライブ!」や「アイドルマスター」シリーズを筆頭に、アイドルアニメの新作が次々と生まれている中で、後発作品にはより高いクオリティと奇抜な差別化が求められているわけだが、「ラピスライツ」のアピールポイントは、楽曲の質と“魔法が使えるアイドル”の2点だ。

同類作品と大きく違う「ラピスリライツ」の特徴は、現実世界ではなく魔法が存在するパラレルワールドであること。主人公たちには一定の能力を持つ魔女で、その力をより高めるべく魔法学院で学んでいる。高い魔力を持った彼女たちが街のステージで歌い踊るオルケストラ(いわゆるライブ)は、街の生活を支えるエネルギーを生み出すだけでなく、町の外にいる魔物たちから人々を守る役目を果たす、というのが大まかな設定だ。

魔力がこの先どう使わていくのかは今後の物語や配信予定のゲームの中などで描かれていくようで、ここでは割愛。直近第8話までが放送された時点で、この作品を盛り上げているのは、なんといってもオルケストラの楽曲だ。

同作には6つのアイドルユニットが登場する(さらにもう1組、伝説のユニットもいる)。構成人数は5人のもあれば2人だけというのもあったり、曲調もそれぞれ独特で、かなり自由度が広い印象だ。それぞれのユニットを簡単に紹介しよう。

まずは、第2話でオルケストラを披露した「supernova」。「歌姫の後継者」の呼び声高いリュートの王女・ユエが率いる実力No.1の実力派。かっこよさを強調した衣装はちょっとしたエロスを感じさせる。劇中で歌った「アオノショウドウ」はヒゲドライバーが作詞作曲を手掛けている。

第4話でオルケストラを演じた「この花は乙女」は、日本をイメージしたヤマトの国からの留学生3姉妹による和ロックユニット。三味線、鼓など和楽器を使いつつアップテンポなメロディで歌い舞う「からくれナイトフィーバー」は実際のライブでもかなり盛り上がりそう。


第5話で曲を披露した(劇中ではオルケストラではなくすごろくの命題として歌っただけだが)「Sadistic★Candy」は、背の高いアンジェリカと小柄のルキフェルの凸凹コンビ。二人はことあればしょっちゅうケンカばかりしている(不仲なわけじゃない)。劇中歌「ポジティブ★パラダイス」は甘さと刺激が絶妙に混ざりあった中毒性の高い楽曲だ。先にリリースしている「Are Many Chance!!!」(通称「アメチャン」)も必聴だ。

第6話のエンディングを飾ったIV KLORE(フォークロア)は、サキュバス、人狼、魔律人形、幽霊という亜人4人組のユニット。他にない「ラピスリライツ」らしいユニットだ。4人が妖艶に歌う「Midnight Sapphire」はフリージャズを豪勢に響かせる、アニソンとしてはちょっとお目にかかれない一曲だ。この回から加わった幽霊少女のガーネットがキュートすぎる!


第7話でオルケストラを披露したのはシュガーポケッツ。アイドルオタクのラトゥーラ、強力な妹キャラのシャンペ、引っ込み思案だが優秀な発明家のメアリーベリーの3人組はロリ系好きのファンが増えそう。f劇中で歌った「わがままキャラメリゼ」は3人のキュートさがそのまま楽曲になったようなカワイイ歌だ。

そして、第8話の最後に登場したのが、同作の主人公・ティアラ率いるLiGHTs。退学の危機にひんしていた落ちこぼれ5人組が背水の陣で挑んだオルケストラで披露したその曲の名は「700,000,000,000,000,000,000,000の空で」。え?いくつ?なんて読むの?エンドロールで表記されたこの曲名に誰もがそう思っただろう。数字の読み方は「セブンハンドレッドセクスティリオン」、日本語では「7000垓」となる。「垓」とは「兆」「京」のさらに上。宇宙に今存在すると想定される星の総数を指すらしい。

こんな大きな数字が入った歌の題名は多分世界初だろう(知らんけど)。曲名に劣らず、詞も曲も心に刺さる高いクオリティを感じさせる。しかも、他のオルケストラと違い、彼女たちはこの曲を歌いながら、街中を飛び跳ねていく。もちろん魔法の力でだ。こんなアイドルアニメ、これまでにあったか?これが魔法を使えるアイドルアニメ「ラピスリライツ」の真骨頂ということだろう。

この先、どのような展開が待っているのか大いに気になる「ラピスリライツ」。少なくとも700,000,000,000,000,000,000,000というバカでかい数字とともにその名が記憶に焼き付いたことだけは間違いない。

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