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Webサイト表現の趣向に感じること

Advent Calendar Web表現研究ゼミ 2022 18日目の記事になります。

はじめに

大学講師を務めて長くなりました。
ここ数年では、Webサイト表現を研究するゼミを担当しています。

私がWeb制作を行っていた2000年代、Webサイトの表現として動きのあるサイトの制作を多く担当しました。
今と比べると、相対的に動きのあるサイトは多くあったように思います。

表現の趣向として、動きのあるものや3D表現がされているサイトが好きで、自分の仕事でも、Webサイト上で、モーショングラフィックや、3D表現をするためのコードを書くような仕事にも携わっていましたのを、懐かしく感じます。
Webサイト特有の文化の中で作られていった感覚があり、良い表現だなあと、感動するものもしばしばありました。

学生に感じる、自身との感覚のズレ

Webサイト表現について、授業や課題を通して、今の学生にそのような趣向というか感覚の違いを感じるようになりました。
自身が感じる趣向と近い学生もいるかもしれませんが、自分の感じていた、楽しさを共感してもらえるようなWebサイトの表現が少ない時代なんだろう感じます。

自由だった良さと当時の文化

2000年代のWebサイト制作の全てではありませんが、私が関わってきた界隈のWebサイトの制作というのは、結果として自由だったと感じてます。

懐古主義で今を否定するつもりはなく、なんというか、文化の成熟に伴い、期待されることや裁量される範囲の違いと感じます。
Webサイト制作のセオリー的なところが弱く、依頼する側にもそれがあったおかげか、作り手が色々と提案できる余地があったと感じています。

なんというか、自身が考え、提案し表現する、クリエイティブなことをしている感覚がありました。
そういう制作をしていくと、自然と他の方が作られるサイトでの表現を意識したり、自分の表現についての未熟さを感じることができました。
今考えると、未熟だった時に作ったものの中には、ユーザーへの配慮や体験を損ねるものがあったように思います。

自由が故の良くなかったところもありますが、文化という観点では、そういった人が育つ環境だったようにも思います。

変わる時代背景

2010年代の自身のWebサイト制作では、動きのあるサイトの製作が減っていきます。
要因として考えているのは、スマートフォンという閲覧環境の変化、また回線の速度向上や端末のスペックの向上により動画の取り扱いが容易になったことが上げられます(個人でやっていた自分の力量もあるとは思いますが)
また、Webサイトの文化の成熟、サイトの解析力向上、マーケティング、SEOへの対応など、最適化が進むことで、私が好きだった表現の需要や役割が減ってきたと考えます。

今でもクリエイティブをする余地は勿論感じますが、現状のWebサイトの多くを見ている学生と感覚が違うのもおかしくないようにも感じています。

私のゼミでは今、ユーザー体験や目的に沿った表現をどのように考えるかを、学生に指導していますが、自身の世代とは異なる世代の表現の感じ方をもっと知りたいと思うようになりました。

今の世代の「好きな表現」とは何だろう

私の世代との違いを理解し、あの時代の熱量や楽しさが持つ力を、今の学生にあった形で実践してもらえるような事は無いだろうか。
久々に記事を書きながら思うことでした。


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