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1日10分の免疫学(3)リンパの話

~リンパについて~

本「リンパ球の大部分はリンパ組織に存在します」
大林「だからリンパ球と呼ばれる
★留意★
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)も分類はリンパ球ですが、下記の通り、リンパと血液の「両方」を循環するのはB細胞とT細胞だけです

本「リンパ組織は機能で2つに分けることができ、一次リンパ組織(中枢リンパ組織)はリンパ球が病原体に反応できる段階まで分化成熟する場所
大林「骨髄と胸腺ですね!」
本「二次リンパ組織(抹消リンパ組織)は、病原体に反応して成熟したリンパ球が活性化する場所です」
大林「一次リンパ組織が学校&訓練所で、二次リンパ組織は実戦かな?」
本「補足すると、B細胞は骨髄で成熟するけど、T細胞は未熟な状態で骨髄を離れて胸腺で成熟します」
大林「B細胞は骨髄Bone marrowで、T細胞は胸腺Thymusで成熟する……わかりやすい!」
★小話★B細胞は最初、「鳥にあるファブリキウス嚢bursa of Fabricius」で発見されて命名されたが、ヒトでは骨髄Bone marrowで育つのでちょうどよかったという…。

本「リンパ血管から漏出した血漿(細胞外液)
それを回収するのがリンパ管
リンパ管の接合部リンパ節
リンパは最終的に胸管を介して左鎖骨下静脈へ入って血流に戻る」
大林「心臓というポンプがある血管と違って、リンパ管は流れがゆっくりなんだよね、だから滞って浮腫むこともある」
本「リンパ管には一方向弁とリンパ節(輸入リンパ管と輸出リンパ管がある)が、末梢→胸管という流れを作ってます」

本「さて、他の血液細胞にない、成熟B細胞と成熟T細胞だけがもつ特徴があります!」
大林「おぉ!それはなんです?!」
本「それは、血液とリンパの両方を移動できるということ」
大林「かっこいい!」
本「小リンパ球(B細胞とT細胞)は、一次リンパ組織で成熟し、血液にのってリンパ節や二次リンパ組織に移動します。そこで病原体やその成分等で活性化しない場合短時間の滞在でまたリンパ管を経て血中へ……これを『リンパ球再循環』と呼ぶ」
大林「リンパ球ホーミングですな!」
本「とはいえ、リンパ球のほとんどはリンパ組織やリンパ器官にいて、血液やリンパにいるのは比較的少数」
大林「推しの本拠地はやっぱりリンパ組織&器官か~」

~リンパ組織で始まる適応免疫~

大林「フッフゥ!推しの活躍が始まるゥ!」
本「病原体やその成分、病原体を取りこんだ樹状細胞がリンパ節に運ばれる。このような感染部位からの細胞外液と免疫細胞を受け入れるリンパ節は、『所属リンパ節』と呼ばれる」
大林「所轄みたい(?)」

本「抗原を運んできた樹状細胞はその抗原に特異的なリンパ球を活性化します。リンパ球増殖&活性化すると、所属リンパ節は肥大します」
大林「リンパ腺が腫れる…ってやつだな」

本「抗原に特異的なB細胞とT細胞は、細胞分裂後にエフェクター細胞へと分化する」
大林「あ、増えてからエフェクターになるのか」
本「樹状細胞により活性化されたT細胞の一部は、リンパ濾胞へ移動して、B細胞の活性化と活性化B細胞の分化(形質細胞への分化)を手助けする」
大林「そ、それは濾胞性ヘルパーT細胞のことかい?!やはり液性免疫はTh2よりTfhがメイン?!」
本「形質細胞はリンパ節の髄質へ移動して病原体特異的な抗体を産生し、エフェクターT細胞と抗体は輸出リンパ管と血液を通り感染組織に移動。自然免疫系と協力して感染を鎮静化する」
大林「形質細胞が思ったより遠隔攻撃!」
本「一部の形質細胞は、輸出リンパ管と血管を経由して骨髄へ移動し、感染回復後も抗体を産生する」
大林「え、骨髄に戻って産生し続けるの?メモリーB細胞は?」
本「詳しくはまた後日」

本「ヘルペスウイルス感染のように、病原体の活動自体は適応免疫系に抑え込まれていても、慢性化する感染もある」
大林「我が体内にもいる……疲労がたまると奴らが動き出す感じがする」

本「血液に入りこんだ病原体を除去するリンパ器官は脾臓。脾臓は二次リンパ組織の一つですが、リンパ管とは繋がってません!リンパの再循環システムから外れています」
大林「え、なんで?」

★なんでなんですかね?後日、わかったら追記します★

本「脾臓は古くなった赤血球を除去するフィルターでもある」
大林「赤血球の寿命は約120日……」
本「脾臓は、赤脾臓白脾臓という二つの異なる組織で構成されている」
大林「赤と白……つまり、赤脾臓は古くなった赤血球を除去する組織で…」
本「白脾臓にいるマクロファージや樹状細胞が血中の微生物等を取りこみ、血液経由で脾臓に来たB細胞やT細胞を抗原特異的に活性化する」
大林「白はまさにリンパ器官の機能ですな」

次回は第1章のまとめをします

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