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1日5分の免疫学⑮適応免疫の終わり

本「Tc細胞の話しよか」
大林「きた!最推し!細胞傷害性T細胞!またの名を cytotoxic T lymphocyte…CTL!」
本「昔はキラーT細胞呼ばれていた
大林「なんで過去形なの」

本「Tc細胞は、感染細胞にくっついて、細胞膜に穴を開けるパーフォリンを放出する」
大林「細胞膜に穴が開いたらどうなる?」
本「その細胞は壊死する」
大林「壊死!

本「それだけじゃない、Tc細胞は更にFasL(Fasリガンド)という分子を表面に発現させて、感染細胞のFas受容体とドッキング」 

リガンド……特定の受容体に特異的にくっつくものの総称 

大林「するとどうなる?」
本「Fas受容体は細胞の自殺スイッチなのでその細胞は自殺する」
大林「自殺!
本「細胞の自殺のことをアポトーシスと呼ぶ」
大林「プログラムされた細胞の死!全体を守るためにひとつひとつの細胞が適切に死ぬことが実はとっても大事……」
数々の本「胎児のとき、指の間の細胞が死ぬことで指ができます」

本「それだけじゃない」
大林「まだあるの?!」
本「Tc細胞は、更にTNF-βグランザイムを放出する。これらは細胞を自殺に導く物質なんやで……」
大林「何があっても殺す気だ……流石は推し。で、TNFってなんだっけ、腫瘍壊死因子だっけ?」
本「Tumor Necrosis Factor腫瘍細胞傷害したり増殖抑制したりするから、その名がついた。αとβがあって、αは主にマクロファージがつくってる。βTc細胞の細胞傷害で重要な働きをする、別名リンホトキシン
大林「リンホ(リンパ球)の……トキシン(毒素)?かわいい!」

本「さぁ、お次は『適応免疫の終わらせ方』~!」
大林「ターゲットがいなくなれば自然に終わるんじゃないの?」 

本は答えてくれなかった!!!

本「活性化したT細胞は、ある程度働くと、自分の活動を抑えるレセプターであるCTLA4PD1を自分の表面に出すんやで」 

※CTLA4(cytotoxic T lymphocyte antigen 4、細胞傷害性Tリンパ球抗原4)
※PD-1(Programmed cell death 1
※抗原(antigen)…免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質の総称。

大林「T細胞自らブレーキスイッチを準備するってこと?」
本「せや。CTLA4にくっつくリガンドはCD80CD86
大林「CD80CD86抗原提示細胞(APC)の表面にある分子で、ナイーブTをエフェクターTにするために共刺激分子結合するやつだ!」
本「ところが!T細胞の表面にCTLA4が出ると、CTLA4優先で結合する」
大林「するとどうなる?」
本「T細胞はアナジーに」
別の本「アナジー(不応答化)とは、抗原提示を受けても免疫応答をしなくなること
大林「自ら表面に出したCTLA4で、自分をエフェクターにして活性化してくれた相手に、次は戦わない状態にしてもらうのか……」

本「ちなみにPDL1やPDL2は、抗原提示細胞だけでなく組織細胞の多くも持ってるんやで」
大林「えっ……?ってことは?」
本「活性化して戦うT細胞に対して、周囲の細胞が自分の表面にあるPDL1を、T細胞表面のPD1にくっつけてT細胞を止める!
大林「PD1もT細胞がある程度戦ってから自ら表面に出すんだよね?なにこの『暴走する前に俺を止めてくれ』的展開?!」 

本「更に言えば、活性化したT細胞は、FasLで他のT細胞のFasに結合する……つまりT細胞も自殺に誘導する」
大林「ワーッツ?!感染細胞を殺したのと同じ方法戦友も殺すのホワーーイ?!」

大林「んん、待てよ?特定の抗原提示を受けて活性化したTc細胞は、感染細胞のMHCクラスⅠ分子にその抗原由来の分子がくっついていたら特異的に攻撃するんだよね?周囲のT細胞は、そんな分子くっついてないのに…FasLって一度出たら誰のFasかは問わずにくっつくの?そんなやべぇ代物なの????」
Wiki「AICD(活性化誘導細胞死)という。活性化したT細胞の負の調節因子」

大林「オォン……いーんぐりっしゅオンリィ……全然わからんのだけど、活性化したT細胞は、他の細胞と違って、Fas受容体とFasリガンドを両方持ってるから、なんか、死ぬってこと????」
神「もっと勉強せぇ」
大林「英語ぉぉおお……んんんん」

力尽きたので今回はここまで!

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