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1日10分の免疫学(11)B細胞

第4章 抗体の構造とB細胞の多様性

大林「抗体!別名は免疫グロブリン!immunoglobulin!略記はIg!」
本「B細胞の表面に存在するB細胞受容体B-cell receptorとその分泌型である抗体は、ともに免疫グロブリンとして知られる」
大林「最初……B細胞の段階では膜型免疫グロブリンなんだよね」

本「抗体は生体高分子であれば何でも認識できる」
大林「つまり、なんでも抗原になりうる……」
本「が、実際はタンパク質糖鎖が最も一般的な抗原である」


本「個々の抗体分子は特異的で、1つの抗体は、1つないしごく少数の抗原としか反応しない
大林「抗原と抗体の出会いは運命の出会い…!」
本「人が一生の間に出会う抗原の種類はきわめて多い。多種類の抗原に対応するため、抗体の抗原特異性も多様」
大林「抗原レパートリーはすごいんだよね」
本「10の16乗
大林「10,000,000,000,000,000……京?!
本「ただしB細胞の数に限りがあるため実際のレパートリーは10の9乗」
大林「1,000,000,000……10億!」

本「抗原に出会うまで、成熟B細胞は膜型の免疫グロブリン抗原受容体として細胞表面に発現している」
大林「膜型……つまり、細胞膜にずっとくっついてるやつ」
本「抗体産生はB細胞の唯一のエフェクター機能である」
大林「抗体産生だけに特化した能力者かぁ」
本「ちなみに膜型抗体の対義語は分泌型抗体です」
大林「5種類あるんだよね、IgG,IgM,IgD,IgA,IgE……」
本「まずはIgGで説明していく。血液やリンパに一番たくさん含まれる抗体なので」
大林「オプソニン効果でグルメのG!」

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本「抗体糖タンパク質で、4つのポリペプチド鎖でできている」
大林「2本の重鎖(heavy chain:H鎖)と2本の軽鎖(light chain:L鎖)でできている!重鎖2本でYになってて、2つに分かれてるとこにそれぞれ軽鎖がついてて、4本の先端可変領域(variable region:V領域)!」

本「IgGのYの二股に分かれてる部分のヒンジ領域柔軟なので、それぞれの先が複数の抗原と結合するのに開いたり閉じたりできる」
大林「おぉーん!便利!そのためのY字なの?!天才なの??!」

本「ヒトが産生できる抗体の種類実質的にほぼ無限
大林「未知の敵に対応可能…心強い!」
本「B細胞以外の細胞では、免疫グロブリン遺伝子断片化した状態で並んでいる。B細胞は、骨髄で前駆細胞から分化する際に遺伝子再編成を行い、膜型免疫グロブリンが表面出現する」
大林「つまりB細胞以外の細胞では、免疫グロブリンの遺伝子が断片化して並んでいるから免疫グロブリンが発現することはないけど、B細胞は遺伝子再編成を行うので免疫グロブリンを発現させることができる」
本「抗原と遭遇する前の循環B細胞はナイーブB細胞として知られている」
大林「運命と出会う前の揺れ動く繊細な(?)B細胞………」

大林「抗原に出会う前のB細胞は、IgM,IgDの両方持ってるんだよね」
本「そう。1つのB細胞で複数の免疫グロブリンクラス同時に産生される唯一の例です」
本「B細胞は抗原により活性化すると、体細胞高頻度変異によりさらに多様性は増す」


大林「膜型免疫グロブリンで抗原とくっついて活性化して、体細胞高頻度変異で変異した分泌型免疫グロブリンを作る形質細胞になるわけか」
本「分泌型となったIgMの形は知ってる?」
大林「5個がくっついて環状になってる手裏剣みたいなやつ!膜型のは1個!」
本「IgMにはヒンジ部分がないため、柔軟性が乏しいが、五量体を形成することで抗原結合部位を増やしてカバーしている」
大林「そんな意味があったのか…偶然?」

本「抗体の機能には、中和抗体オプソニン化がある」
大林「中和抗体は、病原体や毒素にくっついて不活性化する。オプソニン化は、食細胞の貪食能を向上させる!」
本「食細胞は、一部の抗体のFc領域に対する受容体や補体タンパク質に対する受容体を発現している」
本「抗体は、病原体に結合すると、補体を活性化させて溶菌する」
大林「えっ……すご、機雷を起動させる感じかな」

第4章まとめ

成熟B細胞の表面には膜型免疫グロブリンが発現し、特異的な抗原受容体として機能する。
抗原との反応後最初に産生されるのは常にIgMだが、クラススイッチによりH鎖遺伝子の組換えが起き、抗原に反応したV領域はそのままに、C領域の異なる抗体(IgA,IgE,IgGなど)が産生される」

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