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1日5分の免疫学⑯B細胞の多様性

本「B細胞の話しよか」
大林「B細胞の名前の由来は、鳥類ではファブリキウス嚢(Bursa Fabricii)って器官で作られてたから……ヒトにはこの器官がなくて骨髄 (Bone marrow) で作られてて、ちょうどどっちも頭文字Bだから、っていう」
B細胞「豆腐屋のトラックじゃないけど抗体産生はハイスピードだぜ!」

エ本「B細胞のもっとも初期の段階はプロB細胞である」
大林「は?初期なのにプロとは???」
エ本「詳しく言うと、早期プロB細胞→後期プロB細胞→大型プレB細胞→小型プレB細胞→未熟B細胞という過程を経て……」
大林「ややこしいな!」

本「自然免疫非特異的に敵を倒す……これと異なり、特異的に敵を倒す細胞は?」
大林「推しのT細胞B細胞!」
本「ではどうやって特異的な反応ができるか?」
大林「T細胞とB細胞は、それぞれ特定のタイプの敵に反応するように作られてるから…」
本「病原体の種類いっぱいあるよな、未知の病原体にも対応できるようにT細胞B細胞無数の種類が用意されている……が、それはどのように用意されているか?」
大林「B細胞はBCR(B cell receptor)、T細胞はTCR(T cell receptor)で抗原を認識する。BCRやTCRに色んなパターンがある……」
本「リンパ系幹細胞は、分化の過程で遺伝子の一部を組み換えることで多様性を生み出しているんや。これを『抗体(又はTCR)遺伝子の再編成』という」
大林「抗体orTCR遺伝子の再編成……ここでいう抗体はBCRとしての抗体だよね。B細胞は最初はIgMBCRとしてくっつけてる…」

別の本「すこしだけDNA(遺伝子)の話を。体内にある蛋白はすべて遺伝子に設計図が用意されている
大林「必要に応じて…何らかのシグナルを受けて…設計図が開いてRNAがくっついて設計図のコピー作るんだっけ?それで、そのコピーをRNAが持ち出して細胞内の蛋白質工場で蛋白(アミノ酸の高分子化合物)が作られる……そして、抗体(BCR)TCR蛋白の一種」

大林「そういえば、抗体の先っちょは可変部だったよね?あそこが再編成されてるのか」
本「『可変部』と言うと一度決まったのが変わるみたいだけど、分化の過程でその部分に『遺伝子の再編成』が起きて無数のパターンを生み出す領域だからな」
大林「へーい」

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本「B細胞の可変部は、VH部分に遺伝子断片1000種類、D部分に20種類、J部分に6種類あってな。VDJから1つずつ遺伝子断片が選択される」
大林「1000×20×6のパターンがあるわけか……12万だ」
本「実はVL部分にも相当のパターンがあるんやで」
大林「12万より遥かに膨大に……!多い!」
本「せやろ(どや顔」  


本「こうして、B細胞は、抗体遺伝子の再編成で色んな未知の敵にも対応できるようになってるわけや」
大林「なるほど…そして我が推しのT細胞TCR遺伝子の再編成で色んな未知の敵にも対応できる、と」

本「次回は、T細胞と胸腺の話するで」
大林「ひゅぅうぅう~!推しと推しの学校!」

《今回のポイント》
特定の敵に反応して戦う(特異的に戦う)B細胞T細胞は、
数多の種類の敵に対応できるように「抗体(又はTCR)遺伝子の再編成」によって色んな種類が作られている
すごく贅沢な仕組みです。だって作られても運命の敵に出会わずに一生を終えるB細胞やT細胞もたくさんいるから。

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