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1日15分の免疫学(69)自然免疫と適応免疫⑩
メモリーB細胞について(つづき)
本「メモリーB細胞は、二次応答の間に再び胚中心germinal centerに移行して改めて体細胞高頻度突然変異somatic hypermutationと親和性成熟affinity maturationを受ける」
大林「抗体の親和性が更にアップじゃん!」
◆復習メモ
濾胞樹状細胞から抗原を受け取り活性化したB細胞は、2次リンパ組織にあるT細胞領域とB細胞領域の境界に移動し、連関T細胞cognate T cellと出会って分裂を開始する。
※濾胞樹状細胞:抗原をペプチドまで分解して提示する樹状細胞とは異なり、生抗原を細胞表面に保持している樹状突起をもつ細胞。濾胞にいる。B細胞はこの細胞から特異的な生抗原を受け取ると、取り込んでペプチドまで分解処理をしてT細胞に対し抗原提示をする
分裂して増えた一部のB細胞は、胚中心へ移動して体細胞高頻度突然変異とクラススイッチを起こす。抗原に最も高い親和性を持つB細胞が選択され生存しさらに分化を繰り返す(この繰り返しにより、抗原へのフィット率が上がる)。
メモリーT細胞について
本「エフェクターCD8T細胞は標的細胞を5分以内に殺すことができる」
大林「流石は推し」
本「でもメモリーCD8T細胞は再活性化されて細胞傷害性を持つまで時間がかかる」
大林「えっどれくらい?」
本「元からいるエフェクターより時間がかかる」
大林「あらま、ヒーローですね、遅れてやってくる!」
本「メモリーT細胞を見分けるマーカーとしてIL-7レセプターαサブユニット(IL-7Rα,CD127)がある」
大林「へぇ」
本「これはナイーブT細胞にも発現しているが活性化すると速やかに消失する」
大林「つまりエフェクターには発現してないわけか。それにしてもエフェクターより細胞傷害能を得るのに時間かかるのって不利じゃない?せっかくメモリーなのに有利なポイントないの?」
本「メモリーT細胞はナイーブより頻繁に分裂するね。また、ペプチドとMHCの複合体の認識をナイーブほども必要としない。あとサイトカインに対する感受性が高いとみられる」
大林「ほぉ」
本「メモリーT細胞はペプチドMHC複合体の認識をして再活性するが、ナイーブより抗原の再刺激に対する感度が高く、迅速かつ活発にサイトカインIFN-γ、TNF-α、IL-2等を産生する」
大林「おぉ!そういうのを知りたかったのだよ!やっぱりメモリーT細胞はすごいねぇ!免疫記憶って大事だねぇ」
本「メモリーT細胞と言っても色々あるよ、セントラルメモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、組織定在型メモリー細胞…」
大林「なぁあ?なんですそれ?」
メモリーT細胞の種類
本「メモリーT細胞は不均一な集団で、CD4T細胞もCD8T細胞も大きく3つのサブセットに分類される」
大林「どんな違いが?」
本「ケモカインレセプターや接着因子などの発現パターンが異なり、活性化の性質も異なる」
大林「活性化の性質って言い方の意味合いがわからんが……詳しく!」
本「セントラルメモリーT細胞centralmemory T cell(Tcm)はケモカインレセプターCCR7発現する」
※レセプターreceptor:Rで略記される。対になるのはリガンドligand。Lで略記される。免疫学の教科書で分子名が出てきたら末尾のRかLを見ると少しわかりやすくなる。
※二次リンパ組織内のT細胞領域では、CCL19(MIP-3β)とCCL21(二次リンパ組織ケモカインecondary lymphoid chemokine:SLC)があり、この2つのケモカインはT細胞に発現しているCCR7というレセプターに結合する。
大林「CCR7ってことはナイーブT細胞と同じ…」
本「そう、セントラルメモリーT細胞はナイーブT細胞と同様に、末梢リンパ組織のT細胞領域を通って再循環する。他のサブセットと比べると、再刺激からエフェクター機能獲得まで時間がかかる」
大林「ふーん」
本「エフェクターメモリーT細胞effector memory T cell(Tem)はCCR7を発現しておらず、β1,β2インテグリンを高発現しているので速やかに炎症組織に入ることができ、速やかにエフェクターT細胞に分化して再刺激後すぐに大量のIFN-γ,IL-4,5を分泌する」
大林「即戦力だ!!」
※インテグリン(integrin):α鎖,β鎖からなるヘテロダイマー構造をもつ接着分子の一群.β鎖の構造により分類される.β2インテグリン(白血球インテグリン)は白血球に特異的に発現し、ケモカインなどによる活性化を受けると,可逆的な立体的な構造変化を起こして,リガンドに結合できるようになる.」
本「Temは血中から主に末梢の非リンパ組織へ向かい、次にリンパ管を通って二次リンパ組織に行き、再びリンパ管へ入って血中に戻る」
大林「巡りますねぇ~」
本「メモリーT細胞の多くは、組織常在型メモリーT細胞tissue-residential memory T cell」
大林「名前から推察するに組織にいて、循環しない?」
本「そう。上皮に長期間常駐する」
大林「すごくエリートな警備だな……!上皮細胞がうらやましい~!」
本「これら三種類は均質な構成ではなく、他のケモカインレセプターを発現するTcmもいる。Tcmは抗原刺激後Temに分化する」
大林「へぇ~」
メモリーCD8T細胞にはCD4T細胞の補助が必要
本「CD8T記憶細胞が最適な状態で機能するにはCD4T細胞が重要」
大林「おっ、そういうペアリング好きですよ!詳しい機構は?」
本「まだよくわかってないけど。CD40を発現しないCD8T細胞はメモリーT細胞をつくることができない。CD40リガンドをCD4T細胞が供給していると考えられる」
大林「ほぉ」
本「CD8T細胞が免疫記憶を形成するにはCD40からのシグナルとIL-2からのシグナルが必要」
大林「えぇと、IL-2は……T細胞がつくる、Tregの維持と機能、T細胞の増殖と分化に作用する…」
◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する
サイトカインの種類
①ケモカイン(Chemokine):白血球(免疫細胞の総称)をケモカインの濃度の濃い方へ遊走させる(普段は血流等の流れに乗っている)。
※本によっては、サイトカインとケモカインは別項目となっている
②インターフェロン(Interferon;IFN):感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。ウイルスの細胞内増殖も抑制する(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)
③インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。
④腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF):その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。
本「CD4T細胞は、メモリーCD8T細胞の数を維持する役割も担っている」
大林「なんか樹状細胞だけでもCD8T細胞はエフェクターになれちゃうとか言ってたからヘルパーとの関係が思ってたより薄いなと寂しかったんだけど全然だった!」
本「CD4T細胞は、ナイーブCD8Tのメモリーへの分化、効果的なエフェクター活性の促進、メモリーT細胞数の維持を補助helpしている」
大林「ヘルパーだねぇ~」
今回はここまで!
細胞の世界を4コマやファンタジー漫画で描いています↓
※現在サイト改装作業中なのでリンクが一時的に切れることがあります
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