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1日5分の免疫学(25)Ⅳ型アレルギー

本「ほい、復習からいこか」
大林「えーと、Ⅰ型アレルギー反応は、1番メジャーで、1番反応が早くて(即時型反応)で、メインはIgEがくっついたマスト細胞。Ⅰ型アレルギーに分類されるアトピー性皮膚炎はⅣ型にもリンクしてて、だからなかなか治らない!そして、Ⅱ型アレルギー反応は、作ってほしくなかった抗体補体が活性化して組織が傷害されるやつで、作ってほしくなかった抗体とは、自己抗体(自分を攻撃する抗体)と不適合輸血で作られる抗体。Ⅲ型アレルギーは、まだあまり原因がわかってないけど、抗原と抗体がいっぱいくっついてできる免疫複合体が組織に沈着して、補体が活性化してしまって組織が傷害される…やつ。ヒト以外で作った血清に対して免疫複合体が作られる血清病と、自己抗体で免疫複合体が作られる自己免疫疾患がある。自己免疫疾患にはⅢ型アレルギーに分類されないものもある!」
本「その記憶、いつまでもつかな…?」
大林「Ⅰ型は大丈夫そうだけど、Ⅱ型とⅢ型が記憶ごっちゃになりそう。Ⅱ型は作ってほしくなかった抗体で自己抗体と不適合輸血、Ⅲ型は免疫複合体で血清病や自己免疫疾患。なんか似てるもん、説明が微妙に」

本「ほないくで。Ⅳ型アレルギー反応は、細胞性免疫過剰が原因!」
大林「Ⅰ~Ⅲ型体液性免疫(抗体)の過剰や異常だったけど、Ⅳ型細胞性免疫ってわけか」
本「つまりはTc細胞(細胞傷害性T細胞)や活性化マクロファージによる組織傷害のこと」
大林「おぉ、推し!」
本「体液性免疫より数日遅れ細胞性免疫が起きる。だからⅣ型アレルギーは遅延型アレルギー反応とも呼ばれる」
大林「アトピーはⅠ型アレルギーからⅣ型になるって前に言ってたよね」


本「あれはⅣ型アレルギーの亜型や。一般的なⅣ型アレルギーは過剰の細胞免疫による組織傷害や」
大林「ここまで引っ張っておいて亜型なんかーい!詳しい説明が追加で来ると思ってた」
本「活性化マクロファージによる炎症が続くと肉芽腫という結節が作られる」
大林「肉芽腫は未だにいまいちわからん。活性化マクロファージとかがめっちゃ集まって形成されるって、どんな構造なの?」
日本形成外科学会HP「肉芽腫とは、慢性的な炎症に基づいて生じる腫瘤です。種々の原因による慢性的な炎症によって、炎症細胞線維芽細胞集積し、毛細血管に富んだ線維からなる腫瘤が生じます。」


大林「なんとなくわかったような……色々絡まって内紛泥沼って感じかな」
★活性化マクロファージについては↓


本「接触性皮膚炎って知ってるか?抗原が皮膚にいるランゲルハンス細胞マクロファージに取り込まれ、Th1やTc細胞に抗原提示されることで細胞性免疫が働く…」
大林「アレルギーとか金属アレルギーとかだ!」
本「じゃ、過敏性肺臓炎は知ってるか?」
大林「そんなものは知らぬ!」
本「過敏性肺臓炎は、真菌鳥のフン薬剤に対し抗体免疫複合体ができてⅢ型アレルギーになるやつや。Ⅳ型もある」
大林「つまり、抗原がマクロファージ樹状細胞に取り込まれてTh1やTc細胞に提示されるとⅣ型アレルギーになるってこと?」
本「まぁ、実際、複数のアレルギー反応に関与する場合はよくある」

本「ツベルクリン反応って知ってるか?あれはⅣ型アレルギー反応利用した検査法やで」
大林「あー、それでか、遅延型だから判定が48時間後なんだ!」
本「ツベルクリン反応とセットで覚えていそうなBCGはウシ型結核菌から作られる無毒化された菌株で結核菌に対する細胞性免疫を増強するやつや」

本「さて、Ⅳ型アレルギー反応でもう1つ有名なのは、移植片拒絶反応!」
大林「知ってる!NHKスペシャル人体の第6集『生命を守る~ミクロの戦士たち~』で見た!治療のために移植しても、自分じゃないもの攻撃して排除してしまう!」


本「胸腺では自分のMHC分子を認識できるT細胞が選抜されてる」


大林「つまり…」
本「T細胞は、自分と異なるMHC分子を持つ細胞外来細胞と認識する」
大林「そして拒絶!攻撃!」
本「移植返拒絶反応は、T細胞がMHCの違いに気付いて活性化することで起きる。移植された組織の一部がマクロファージなどに貪食されて抗原提示に至る場合も少しはあるけど」
大林「ん?待って、抗原提示なくてもMHCの違いだけで活性化するとは?T細胞が活性化するのに、今まで共刺激とか色々説明あったのに、MHCが違うだけで活性化できるの??」

本は答えない!

大林「ぐぬぬ……T細胞は、MHC分子に触れて自己非自己を判断する細胞。抗原提示は、MHC分子の上に抗原の欠片(ペプチド)を載せて行われる。あっ、なるほど、抗原提示は、自己のMHC分子に載せてる抗原の欠片を判断してるケースだわ。MHC自体が非自己であるケースとは別ってこと???MHC自体が非自己の場合のT細胞活性化の機序は教科書のどこにのってる?」

本は答えない!じわじわ調べよう!

《今回のポイント》
I~Ⅲ型アレルギー反応は、液性免疫(抗体)の過剰。
Ⅳ型アレルギー反応は、細胞性免疫過剰による組織傷害!
つまり、Tc細胞(細胞傷害性T細胞;キラーT細胞)や活性化マクロファージが攻撃過剰になってしまって起こる。

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