１日１０分の免疫学(31)Ｂ細胞と抗体②
本「抗原特異的なＢ細胞とＴ細胞は共役対を形成すると、ともに皮質のＴ細胞領域を離れ、軸索へと移行し、それぞれ分裂を開始する」
大林「同じ抗原を認識した同志で新婚旅行ですか？」
本「この細胞増殖は数日間続き、Ｂリンパ芽球はIgMを分泌する」
大林「待って、Ｂリンパ芽球って何？」
Wiki「リンパ芽球(英: lymphoblast)とは一般に成熟リンパ球に分化する未成熟な細胞」
大林「ナイーブＢ細胞の話をしてるのに何で芽球に戻ってるの？」
本は答えなかった！大林には知識が足りない！
大林「IgMといえば、感染初期の免疫グロブリンだよね」
本「IgMはリンパから血液経由で感染部位へと運ばれる」
大林「遠隔攻撃か～、かっこいい」
本「Ｂリンパ芽球の一部は軸索に留まり、著しい形態変化を経て形質細胞へと分化する」
大林「形質細胞（別名：プラズマ細胞）は、Ｂ細胞の最終形態で、抗体産生細胞。そんなに大変身なのか」
大林「で、さっき一部って言ってたけど他は？」
本「一部は一次反応巣から直接軸索内に移行してIgM分泌形質細胞に分化するが、Tfh細胞と共役対を保ったまま一次反応巣からＢ細胞領域の一次リンパ濾胞へ移動してそこで分裂し、胚中心を形成するものもある」
大林「情報量が多いな！整理しよ」
・抗原特異的なＢ細胞と濾胞性ヘルパーＴ細胞(Tfh)は共役対を形成する。
・共に皮質のＴ細胞領域を離れ、軸索へと移行する。
・それぞれ分裂を開始
・分裂過程のＢリンパ芽球の一部は、軸索に留まりＩｇＭを分泌する形質細胞へと分化する
・分裂過程のＢリンパ芽球の一部は、Ｔｆｈと共益対を保ったまま、Ｂ細胞領域の一次リンパ濾胞へ移動して分裂する。この分裂により、胚中心が形成される
本「濾胞樹状細胞により産生されるサイトカインは、6時間に1回という頻度のＢ細胞の急速な分裂を促す」
大林「すごく増えそう！」
本「そして大型の中心芽細胞centroblastとなる」
大林「Ｂ細胞の分化過程がよくわからなくなってきた……」
Web「抗原刺激を受けたナイーブ B 細胞はリンパ濾胞に入り，胚中心の暗帯で大型の濾胞中心芽細胞になり分裂増殖する．その後中型の濾胞中心細胞に分化して明帯に移動し，濾胞樹状細胞や濾胞ヘルパー T 細胞と相互作用し，免疫グロブリンのクラススイッチを行う．ここで一部の B 細胞はアポトーシスに陥り，組織球によって貪食される．生き残った B 細胞は辺縁帯に移動し，最終的に形質細胞へ分化して抗体を産生する．一部はメモリー B 細胞に分化し，再感染時に迅速に抗体を産生できるよう備えている．」
大林「ふむ、大枠がつかめた気がする……けど、一度大型になって中型になるの、なんでなの」
JANEWAY'S「循環ナイーブB細胞は、一次リンパ濾胞に入り、対応する抗原に遭遇しない場合はリンパ節を離れる。抗原を結合した場合、T細胞領域との境界へ移動し、同一抗原に特異性を持つ活性化T細胞と接触する」
大林「そこまではわかってる」
JANEWAY'S「T細胞とB細胞は相互作用を行い、B細胞は活性化して分裂・増殖と形質芽細胞への分化を開始」
大林「B細胞は形質芽細胞へ分化する……これって中心芽細胞と同じもの？」
本もネットも答えない！！！！
本「濾胞性ヘルパーＴ細胞も分裂して相互作用し、その結果、Ｂ細胞は活性化シチジンデアミナーゼというDNA修飾酵素を作るようになる」
大林「わからんけど何か大事そうな酵素だな？」
本「一次リンパ濾胞内で特異抗原的Ｂ細胞が活発に増殖すると、濾胞が形態変化し、二次リンパ濾胞になる」
大林「濾胞まで変化するの？！」
本「二次リンパ濾胞の特徴は、急速に分裂しているＢ細胞とＴ細胞を含む胚中心。感染から約一週間で二次リンパ組織内に胚中心が出現する」
大林「もしや、それがリンパが腫れるってやつか」
本「それらまとめて胚中心反応germinal center reactionと呼ばれる。中心芽細胞が分裂していくと密接になり組織切片で暗く染色される暗領域dark zoneが形成される」
大林「密！」
本「中心芽細胞はやがて中心細胞centrocyteとなり、暗領域から、Ｂ細胞が少なく濾胞樹状細胞とTfhが多い明領域light zoneへ移動する」
大林「Ｂ細胞ばっかりのところじゃなく、濾胞樹状細胞や濾胞性ヘルパーＴ細胞のいるところへ行くわけね、わかる」
本「中心細胞は、抗原とBCRとの結合、且つ、CD40分子とヘルパーＴ細胞のCD40リガンドとの結合ができなければ短時間でアポトーシスするようプログラムされている」
大林「さらっとすごいこと言ったな」
本「中心細胞が生き残るためには、濾胞樹状細胞上の抗原を認識し、その後で抗原特異的なヘルパーＴ細胞からの補助を得ようと競い合わなければならない」
大林「B細胞の生存競争みたいになってきた……」
今回はここまで！
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？