1日5分の免疫学⑳結核、B型肝炎
本「結核のスクリーニング検査について!」
大林「スクリーニング検査(screening test)とは、症状は一見して(あんまり)無いけど、その疾患の疑いのある人を早く発見するため最初に行う検査!」
本「IFNγ遊離試験(IGRA)というのがあってな」
大林「Interferon-Gamma Release Assays?えーと、インターフェロンガンマ(IFN-γ)を遊離releaseさせる試験assays?」
本「要は、患者から取り出したリンパ球に結核の抗原をぶっかける!結核菌の侵入があった人ならIFNγたくさん出るやろ?」
大林「IFNγは主にNK細胞やT細胞(どちらもリンパ球)が出す……T細胞は特定の抗原に対して反応するから、結核菌に一度反応して軍備が整っていればそれはもうたくさんIFNγが出る…?」
本「ちなみに結核菌は体内に侵入しても感染症として発症するとは限らず、発症しないでその人が寿命を迎えることが多い」
大林「意外。老化して免疫が落ちたら発症すると思ってた」
本「さて、結核が発症してるかを調べる方法は?」
大林「喀痰検査(かくたんけんさ)!」
本「うん、喀痰などの検体を抗酸菌染色(チール・ネルゼン染色)する。まぁ、これだと非結核性抗酸菌と区別がつかないけどな」
大林「あかんやん」
本「それで結核菌PCR検査が必要になるわけや」
大林「polymerase chain reactionポリメラーゼ連鎖反応……遺伝子を検査できる量まで増やしてから遺伝子検査するやつか。事件捜査でもよく聞くよね、PCR法って」
本「次は、B型肝炎ウイルスについて!」
大林「針刺し事故のやつや!」
本「B型肝炎ウイルスはDNAウイルス!感染経路は血液媒介と性行為!A型とE型は経口感染でC型はほとんど血液感染!」
大林「えーと、ウイルスは、DNAウイルスとRNAウイルスに大別できるんだよね、遺伝子のセットである『ゲノム』をDNA…デオキシリボ核酸で構成してるウイルスと、RNA…リボ核酸で構成しているウイルスがいるわけだ。言いかえると、自分の設計図をデオキシリボ核酸で構成してるか、リボ核酸で構成しているかの違い」
本「B型肝炎ウイルス(HBV:hepatitis B virus)の抗原にはHBs、HBe、HBcの3種類があって、それぞれの抗体が作られるんやけど、抗体の数値が上がっていく順はHBc→HBe→HBsやで、テストに出る」
大林「しーいーえす!」
本「感染したかどうか調べるならc、e、sどの抗体を調べると思う?」
大林「最初に増えるc?」
本「せや。じゃあ、治ったかどうか調べるには?」
大林「最後に増えるs?」
本「じゃあ最初からHBs抗体が高い場合はどういう意味や?」
大林「予防接種してすでに抗体がある場合とか?」
本「せや、あとは予防接種してないけど、知らん間に曝露して抗体できてた場合やな」
大林「最初からs抗体が高い場合、治ったかどうかはどう判断したら…」
本「抗体あるから大丈夫って話や」
《今回のポイント》
スクリーニング検査は、症状がない、あまりない人でも疾患の疑いがある場合や、特定の集団に対して疾患の有無をチェックする最初の振るい分け検査のこと。
抗体の種類や量で、病気にかかったか、治ったか、病原体への備えがあるかをチェックできるよ!
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