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1日15分の免疫学(65)自然免疫と適応免疫⑥

Th1細胞によるマクロファージ制御(つづき)

大林「前回までで、Th1細胞がマクロファージを結構コントロールしてるんだなということはわかった」
本「エフェクターT細胞の際立った特徴として、補助刺激がなくとも抗体によるエフェクター機能を活性化できることなどが挙げられる」
大林「一度補助刺激を受けてエフェクターになると、あとは抗原さえあればばっちり機能できるってことですね」

本「Th1細胞がマクロファージの提示する抗原を認識してからエフェクター分子放出するまで数時間かかる」
大林「待って……認識=結合だよね……?」
本「その間ずっと接着してるよ」
大林「あらぁ~!!!」
本「そしてTh1細胞は、接着部位に向けて分泌機構を持つようになる」
大林「あら!細胞傷害性CD8T細胞と同じだ!」
◆復習メモ
T細胞:胸腺(hymus)で分化・成熟する免疫細胞。ヒト細胞表面にあるMHC分子を認識し、自己と非自己を区別することができる。

T細胞の主な種類
CD4陽性T細胞ヘルパーT細胞と制御性T細胞に分かれる)
※CD分類:細胞の表面にある分子の分類基準。
>ヘルパーT細胞(Th1,Th2,T17,Tfhがある)
>>Th1:細胞性免疫にかかわる
>>Th2:液性免疫にかかわる
>>Th17:炎症性の免疫応答を促す
>>Tfh(濾胞性ヘルパーT細胞T follicular helper:B細胞の形質細胞への分化を促す。
>制御性T細胞:エフェクターT細胞を抑制する
CD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞=キラーT細胞)

本「マクロファージがMHCクラスⅡ分子で抗原ペプチドを提示することで、Th1細胞が正常細胞を巻き添えにするのを最小限にとどめている」
大林「なるほど……ヘルパーT細胞MHCクラスⅡ分子とペプチドの複合体認識する……MHCクラスⅡ分子をもつ細胞は限られている※から誤作動を最小限にできるわけだ。他方、CD8T細胞はMHCクラスⅠ分子とペプチドの複合体を認識する……MHCクラスⅠ分子はほとんどの細胞に発現してる……つまりほとんどの細胞がCD8T細胞の標的になりうるってわけだ。その代わりCD8T細胞の発動条件はかなり厳しい…」
※マクロファージ、樹状細胞、B細胞(これら3種類は「プロフェッショナル抗原提示細胞」と呼ばれる)がMHCクラスⅡ分子を発現する。そのほかの細胞も発現することもある、

本「ILC1IFN-γをつくるが、抗原レセプターがないので感染マクロファージを狙ってサイトカイン放出ということはできない。まぁなんらかの方法でマクロファージに放出してる可能性もありうるけど」
自然リンパ球(innate lymphoid cell: ILC)は、リンパ球類似の形態をもち、Tリンパ球と同様のサイトカインを産生する、抗原受容体をもたない細胞のこと。
大林「そうなると、Th1細胞が頼もしいねぇ」

Th1細胞によるマクロファージ活性化のデメリット

本「Th1細胞によるマクロファージ活性化が長期化すると肉芽腫の形成と呼ばれる免疫反応が起こるよ」
大林「その肉芽腫ってよくわからんのだけど」
本「微生物が活性化してリンパ球にマクロファージが取り込まれて閉じ込められる」
大林「なんて???日本語の意味がわからん」
原著「called the granuloma, in which microbes are held in a check
within a central area of macrophages surrounded by activated lymphocytes.」
大林「called the granuloma肉芽腫と呼ばれるそれは, in which microbes are held……微生物を取り込んだ in a check within a central area of macrophagesマクロファージ達の中心エリアの内側 surrounded by activated lymphocytes.活性化したリンパ球によって囲まれた……?ここのcheckってなに?位置的にこれは名詞だよね……」

辞書「名詞なら停止、妨害、抑制、、、」
大林「抑制!それっぽい!」
本「肉芽腫ではマクロファージが複数のマクロファージが融合して多核巨細胞を形成することがある」
大林「ラングハンス巨細胞とは別?なんで融合するの?」
WEB「細胞に2個以上の核がある場合には多核細胞という。 多数の核が寄り集まって、あるいは融合して巨大な核をつくると多核巨細胞という。 ウイルス感染症における多核細胞は核質が明るくぬけることが多い。 マクロファージがつくる多核巨細胞では核は丸く小さい。(中略)馬蹄形のラングハンス巨細胞などを区別する」
大林「ラングハンス巨細胞とは別のものなんだ!どちらかというと望まざる異形って感じかな……というかこのページ、モンスター細胞とか色々興味深い…じっくり最初から読みたいな!」


本「多核巨細胞は、中心にいる活性化マクロファージとそれを囲むリンパ球との境界に見られる」
大林「えぇと……整理すると…」
・中心に、活性化マクロファージ(病原体は死なずに細胞内にいる)
・活性化マクロファージの周りに、多核巨細胞
・多核巨細胞の周りに、リンパ球

本「肉芽腫は、(マクロファージの殺菌作用に対して)耐性を持つ病原体を取り囲む物理的な壁として機能している」
大林「それ!その説明をエッセンシャルで読んだ!」

本「結核では大きな肉芽腫の中心が隔離され、おそらく酸素欠乏と活性化マクロファージの傷害効果により中心の細胞は死んでその部分はチーズに似ているので『乾酪caseous』壊死と呼ばれている」
大林「ハリソンで読んだ!」

本「Th1細胞の慢性的な活性化は、このような激しい病態を引き起こす」
大林「でもTh1がいないともっと大変なことになるよねHIVとか」

今回はここまで!

細胞の世界を4コマやファンタジー漫画で描いています↓
※現在サイト改装作業中


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