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1日20分の免疫学(6)免疫とは⑥

本「1つのエピトープには1種類の抗体しか作られない。同一のエピトープ複数もつ抗原を多価抗原違ったエピトープをいくつかもつ抗原を複合抗原という」
大林「ほぉ~多価抗原ってそういう意味だったのか」

本「not-selfなら何でも抗原として働く」
大林「selfに対する抗体が作られるのは本来ないはずの事故だよね」

本「通常抗体が作られるのは質量1万ダルトン以上の物質。低分子のものは、すぐに体外に排泄されたり、食細胞に消化されたり、抗体を作る細胞の働きを充分導き出すことができなかったりするためと考えられている」
大林「1つめと2つめの説明は初めて読んだ!化学物質や薬物は低分子だからそのままでは抗体が作られない(ハプテン)ので蛋白(キャリア)をくっつけるんだよね」

本「ある抗原決定基に対して作られた抗体が、他の類似の抗原決定基とも反応することがある。これを交差反応cross reaction という」
大林「いいことなの?わるいことなの?」
WEB「果物野菜類に対するアレルギー反応は,特に成人例. では単独感作で生じる場合は比較的稀であり,大部分. の症例ではラテックスゴムまたは花粉類との交叉反応…」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/54/12/54_KJ00003984431/_pdf

WEB「『新型コロナウイルスに対しても交差免疫がある』という論文が発表されました。これからさらに検証がされていくでしょうが、端的に言うと、過去に感染した旧型のコロナウイルスに対する免疫が、新型コロナウイルスに対しても有効に働くというようなことです」

大林「なるほど、本来のターゲット以外にも作動するというのはラッキーな場合とアンラッキーな場合とがあるわけだ」

本「まれに、交差反応性の抗原と免疫原よりも高い親和性で結合することがあるそのような抗体をheteroclitic antibodyという」
大林「なんだそれ、初耳」
本「Advanced Knowledge 参照」
大林「わかった、あとで読む」

本「抗体分子は基本的にはY字型をしている」
大林「YのV部分で抗原をキャッチするんだよね」
本「少し詳しく言うと、アミノ酸220個ほどのポリペプチドの鎖2本と440〜550個ほどのアミノ酸からなるポリペプチド鎖2本とから作られている」
大林「ポリペプチドってアミノ酸そんなにつながってた?」

◆復習メモ
アミノ酸50個以上結合したものがタンパク質。50個未満のがペプチドポリとは『たくさん』という意味で、アミノ酸が11個以上だとポリペプチド
アミノ酸1個→アミノ酸
アミノ酸2~10個ペプチド
アミノ酸11~49個→ポリペプチド
アミノ酸50~→タンパク質

大林「アミノ酸220個ほどの方はL鎖(Light Chain軽鎖)、440~ほどのはH鎖かな(Heavy Chain重鎖)かな」
本「そう。L鎖の分子量は23,000〜24,000、 H鎖の分子量は52,000〜65,000。この4本の鎖が2つの硫素間の結合(S-S結合)によって結びつけられてひとつの分子を形作っている」
大林「ふむふむ」
本「1本の鎖をよくみると、アミノ酸約110個ずつの長さが一つの単位となって、S-S結合でまとめられ、それをドメイン(領域)と呼ぶ」
大林「へぇ」
本「ポリペプチドはアミノ酸同士のアミノ基(NH2)とカルボキシル基(COOH)の結合によるアミノ酸の鎖としてできている」
大林「つまり、鎖の端アミノ基カルボキシル基か」
本「それぞれをN末端・C末端といい、Y字型の上の方がN末端、下の方がC末端」
大林「…忘れそう」
本「N末端から2つ目以降のドメインは、どの抗体もほとんど違わない」
大林「なるほど、1つ目のドメインが可変領域Variableregionで、2つ目以降が定常領域 Constantregionね」
本「H鎖ではN末端からVH・CH1・CH2・CH3・CH4、L鎖ではVL・CLという名称」
大林「おぉ、今まで抗体の説明を読んでてイマイチわかってなかった名称がはっきりわかったぞ」
本「H鎖とL鎖の抗原と結合する部位は、antigenbiningとFragmentの頭文字をとってその部分をFab と呼ぶ。Fcのcは、結晶となることからcrystalの頭文字。ちなみにパパインを作用させると、抗体はFabとFcに分かれる」
大林「そうなんだ」

本「Fcレセプターの種類は知ってるね?」
大林「それは大丈夫。IgAに結合するのはFcαレセプター、IgGを結合するのはFcγレセプター…」
本「IgAとIgM両方を結合するのはFcα/μレセプターだよ」
大林「それは知らなかった」

本「Fcγレセプターにはいくつかの種類があり、どれを持つかは細胞により異なる」
大林「IgG抗体を受取るレセプターには種類があるのか」
本「Fcα/μレセプターは、濾胞樹状細胞、辺縁帯B細胞、マクロファージなどにある。Fcαレセプターはヒトだけで、好中球、好酸球、単球、血小板にある」
大林「血小板にもあるのか」
本「Fcμレセプターは顆粒球、マクロファージ、単球、樹状細胞、レギュラトリーT細胞、B細胞にある。B細胞では表面IgMの表出を抑制している」
大林「へぇ~」
本「Fcεレセプターはマスト細胞、好塩基球、好酸球、樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、血小板にある」
大林「……覚えられる気がしない」

本「蛋白は+あるいは-に荷電している。電気をかけると+に荷電している蛋白は-の電極の方に、-に荷電している蛋白は+の電極の方に引き寄せられる」
大林「あぁ~電気系いまいちイメージがつかめないんだよな…とりあえず、蛋白はプラスかマイナスに荷電してるから、電気をかけたら逆側に移動するわけね」
本「荷電の強いものほど速く動き、分子が大きいと動きは鈍くなる」
大林「なるほど、それで電気をかけた時の蛋白の動きに違いが出るわけね。それで何かがわかるってことか」
本「血清は液体なので、電気をかけて蛋白を分けてもそのうち動いてしまう。寒天やセルローズアセテートの膜の中の一点に血清を滲み込ませて電気をかければ、分けられた蛋白の位置は簡単にはずれない」
大林「なるほど、培地にポトンするのはそういう理由があったのか」
本「電気をかけて分けると、血清蛋白はおよそ4つに分けられる。アルブミンはーに荷電しているので陽極側へ、グロブリンは3つに分かれて、アルブミンに近い方からα、β、γと呼ばれる」
大林「γが一番陰極側なのか~」
本「抗体のほとんどがγグロブリンなので、免疫グロブリンと言うとγグロブリンを指すことも多い」
大林「そうなんだ、IgGが多数派なんだね。白血球で言う好中球みたいな」本「αグロブリンはα1、α2。βグロブリンはβ1、β2に分けられるよ」

本「免疫グロブリンは大きく5種類に分けられる。免疫グロブリンのクラスA・D・E・G・Mと名付けられ、Immuno-globulinの頭文字Igに付ける。H鎖に抗原を持ち、それぞれα・δ・ε・γ・μと呼ぶ」
大林「区別するために抗体を使うから『抗原』って呼んでるんだよね。抗原=病原体って覚えてると混乱する説明だ……」
本「IgAのH鎖はα抗原をもつのでとα鎖と呼ぶ」
大林「ふむ…」

本「輸血時に問題となる赤血球表面の抗原の区別はA型やB型等の名前がついている。血液型のように同一種で異なる抗原アロタイプ allotypeという」
大林「アロ、非自己alloだね」
本「同一人の中で異った種類を区別するような抗原をイソタイプisotyp
eと呼ぶ。α・δ・ε・γ・μという抗原は免疫グロブリンのイソタイプ」
大林「アイソタイプともいうね」

本「IgMは抗体の基本構造が5分子集まった形をしているものが多い。pentamerという。IgAのかなりのものは二量体 dimerの形をしている」
大林「pentamerとdimerというのは初めて聞いた!」
※dimer:分子が同一の2つの単量体で構成されている化合物

今回はここまで!
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現在、サイト改装用の画像作成等、いろいろがんばってるけど公開できる動きがない……

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