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1日10分の免疫学(12)T細胞①

第5章 T細胞による抗原の認識

大林「B細胞のエフェクター機能抗体産生だけ。B細胞の受容体(BCR:B-cell receptor)は膜型免疫グロブリンで、特異的に反応する」
本「他方、T細胞は多彩な機能を持っている。また、機能の発揮には他の細胞との相互作用を必要とする。特異的に反応するのはB細胞と同じ」
大林「B細胞も濾胞性T細胞との作用が必要なのでは?」

本「T細胞の抗原受容体は、TCR:T cell receptorと呼ばれ、TCRが認識する抗原は、BCRが認識する抗原とはかなり異なる
大林「BCRは生体高分子なら何でも認識しうる……けど、主に糖鎖とタンパク質だっけ?」
本「そう。他方、TCRペプチド抗原を認識する」
大林「マクロファージが病原体とりこんで、そのタンパク質ある程度分解してできたペプチド!T細胞はお上品だから……チタタプ…もとい、ペプチドにしないとな!」


本「TCRが認識するもの……すなわちTCRのリガンドは、『MHC分子とペプチドの組合せ』です」
大林「組合せっていうところが重要ポイント!!!!」
Wiki「リガンド(ligand; ライガンド)とは、特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質のこと」

本「TCRもBCRと同様に可変領域V領域:variable region)と定常領域C領域:constant region)からなる」
大林「覚えやすい」
本「でも、BCRと異なり、TCRは抗原で刺激しても変化は起きない。これはBCR自体が、抗原認識だけでなくエフェクター分子として機能することに起因してる」
大林「あー、BCRは免疫グロブリンで、最初は膜型で抗原刺激を受けてから分泌型になるけど、TCRは膜型だけだもんね」
本「TCRはα鎖(TCRα)、β鎖(TCRβ)という2つのポリペプチド鎖でできている」
大林「BCRはH鎖とL鎖だったな…」
本「T細胞は分化過程で遺伝子再編成を行い、特異的なTCRが作られる」
大林「分化過程で遺伝子再編成をするのもB細胞とT細胞は同じ……ん?αβ?もしかして前に読んだαβ型T細胞ってそれ?」
本「いかにも。αβ型受容体と構造上よく似たものでγ鎖(TCRγ)とδ鎖(TCRδ)からなる別のTCRがある」
大林「おおっほぅ!きたきた!それを知りたかった!アルファ・ベータ型とガンマ・デルタ型ね!了解!」
本「T細胞にはαβ型受容体γδ型受容体どちらかが発現している」
大林「どっちかなんだ!違いは?」
本「γδ型の方がV遺伝子断片が少なく、αβ型より多様性に乏しい。ただδ鎖の結合部に多様性があり、部分的に補完されている」

本「αβ型受容体を発現するT細胞をαβ型T細胞(αβ T cell)、γδ型受容体を発現するT細胞をγδ型T細胞(γδ T cell)と呼ぶ」
大林「私の推しはまずそこで2分類されるのか……」

本「前者の機能についてはよくわかってるけど、後者についてはよくわかってない
大林「うほっ、これからの研究に期待!」

本「TCRは、BCRに似た遺伝子群によってコードされていて、発現のためには遺伝子再編成が必要」
大林「あ~、B細胞の受容体(BCR=免疫グロブリン)の遺伝子は、バラバラに配列されてるからそのままでは設計図として機能しないけど、遺伝子再編成で設計図として完成するんだよね。T細胞の受容体(TCR)も同様にってことか」

本「TCRが発現するにはCD3複合体が必要」
大林「CD3NK細胞とCTL(キラーT)見分けるポイントだ!CD3が表面にあるのはT細胞の特徴なんだよね!」
本「TCRが抗原を認識するとCD3複合体が細胞内にシグナルを伝達する」
大林「ほーん、その辺はもっと詳しく知りたいな…CD分類の意味は分かるけど、モノクローナル抗体とかイメージがまだふわっとしてるから」

本「TCRはBCRと異なり、抗原を認識しても体細胞高頻度変異もクラススイッチも起きないし、分泌型にもならない。つまり、抗原と出会った後に多様化しない
大林「B細胞は、抗原と出会ってから更に変化して、より抗原に効率よくくっつく抗体を産み出すB細胞が選ばれる…B細胞すごい」
本「でも、T細胞は抗原を認識した後に追加の多様化がないにもかかわらず、実はTCRレパートリーは抗体レパートリーよりも多様性がある
大林「えっ」
本「つまり、TCRは組換えの際の多様化の能力がより高い」
大林「ヒエェ……流石は我が推し」

今回はこの辺で!


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