T分化

1日5分の免疫学⑦T細胞の成長

大林「今回は、我が推し『T細胞』の成長物語!」
(『T細胞』については↓↓のnoteをどうぞ)

本「T細胞はその分化(成長)の段階によって名前が変わるで~」
大林「出世魚みたいだな!」
本「抗原提示を一度も受けてない『純潔』のT細胞のことをナイーブT細胞と呼ぶ」
大林「純潔ゥォォオ!!!」
本「ナイーブT細胞は、体内を巡回しながら色々経験してエフェクターT細胞に分化(成長)する」
別の本「ちなみにナイーブTの状態は『小リンパ球』と呼ばれる。実際、ナイーブ時代は小さい。エフェクターになると大きくなる」
大林「えっなにそれかわいい…」

大林「T細胞は、分化(成長)する段階によって名前が変わる……こういうことですかね」↓

画像1

本「ナイーブT細胞がエフェクターT細胞に分化するには3つの作用が必要」
大林「T細胞がおとなの階段昇るのに必要な作用とは?!」
本「①抗原提示を受ける、②抗原提示細胞とT細胞が互いの表面に共刺激分子を出してしっかり結合、③サイトカインをかけられる
大林「なんかエロい!」
本「自分、↑の説明で太字にするとこおかしいで」
大林「覚えたら勝ちじゃね?」

本「因みに、抗原提示細胞から抗原提示を受けたけど、共刺激分子結合がなかった場合…」
大林「そんなケースがあるのか……誘われたのに拒否られたみたいな?」
本「そのナイーブT細胞は、最悪死ぬ※」
大林「アアアアアア!ナイーブ過ぎる!」

アポートシス(自殺)orアナジー(無応答状態になる)となる。
「無応答」というのは、抗原提示されても反応しないという状態。
(参照「エッセンシャル免疫学第3版」)
★★追記2019/9/6
「無応答」状態からの回復のチャンスはある模様。
がん治療において、がん組織における「活性化していないT細胞の存在」を確認してから、その活性化を狙うアプローチもある。詳細は後日
(参照「日本医事新報」「日経サイエンス」他)★★

大林「抗原提示してきた癖に共刺激分子結合してくれないケースってどういうことよ?ナイーブなTが死んでしまうやないの……」
別の本たち「ごにょごにょ」
本たちはハッキリ答えてくれない!!!

大林「想像するに、提示してる抗原が自己抗原とか……?それに反応するT細胞は危険だから……とか?」

★★2019/07/09追記ここから
共刺激について追加説明。
共刺激タンパク質は、樹状細胞内で作られるタンパク質で、樹状細胞表面のパターン認識受容体病原体と結合すると樹状細胞の表面に顔を出す(樹状細胞は成熟細胞となる)。つまり、共刺激タンパク質は、病原体と遭遇したことのある樹状細胞の表面に存在する。
共刺激タンパク質は、その樹状細胞が病原体と接触したことを知らせる目印となる。樹状細胞により抗原提示を受けたT細胞は、共刺激タンパク質があれば、免疫反応を開始する。なければ寛容T細胞となる。
ポイントは、「樹状細胞に共刺激タンパク質が出るかどうか」、これで排除か寛容が決まる。
参考文献:ダニエル・M・デイヴィス著「美しき免疫の力―人体の動的ネットワークを解き明かす」NHK出版 (2018/10/26)

追記はここまで★★

本「エフェクターT細胞には、ヘルパーT細胞制御性T細胞Tc細胞などがある」
大林「CD8陽性T細胞は、Tc細胞(CTL,Kiler T)になる。CD4陽性T細胞は、ヘルパーT細胞か制御性T細胞になるんですよね」

本「ヘルパーT細胞には、Th1,Th2,Th17などがいるで」
大林「あれ、Th22とかは?」
本「とりあえずは1・2・17や。そんで、どれになるかは浴びたサイトカインで決まる
大林「サイトカインかぁ…話長くなりそうだからここで一旦切りましょ」

《今回のポイント》
ナイーブT細胞」は体内を巡回している。抗原提示細胞から①抗原提示を受け、②共刺激分子結合し、③サイトカインを浴びると、「エフェクターT細胞」に分化(成長)する。
CD8陽性Tは、Tc細胞に分化し、
CD4陽性Tは、ヘルパーT細胞(Th1 、Th2、 Th17、 Th22、Tfh)や制御性T細胞などに分化する。どれに分化するかサイトカイン環境次第!

次回は、「T細胞の分化とサイトカイン」を勉強します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?