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1日5分の免疫学(21)

※本との対話形式の公開型自主勉が第21回となり、○枠の数字変換が出なくなった(⑳までだった…)ので今回から(数字)で※

本「細胞内に寄生する微生物には、あまり増殖せずにひっそり長期潜伏し続ける場合もある」
大林「保菌者だ!無症候性キャリア!」
本「生ワクチンって知ってるか」
大林「毒性を弱めた病原微生物を投与するやつでしょ」
本「それな、長期潜伏する病原体を逆手にとってるんやで」
大林「なにそれ!?」
本「生ワクチンは病原体が生きてるから時々細胞の中で増殖する、その都度感染細胞が抗原提示を行なう」
大林「その都度、推しのT細胞やマクロファージが活性化する…生きてる病原体を投与した方が…生ワクチンの方が効果が長持ちするのってそういうことか!」
本「せやで。それに対して不活化ワクチンは長期の細胞内潜伏増殖がないから、免疫は短期間で失われる」
大林「めっちゃ納得した…」
本「ちなみに、ワクチンや通常の感染で病原体が体内に入って免疫ができることを能動免疫(自動免疫)と呼ぶ」
大林「ということは受動免疫ってのもあるの?」
本「受動免疫とは他人から貰う免疫のこと。血清とか」
大林「ということは!おっぱいからもらうIgAも?!」
本「せやで」
大林「能動免疫と受動免疫という分類は何のためにあるの?」

本は答えてくれなかった!

本「免疫のメモリー細胞について!」
大林「免疫の真骨頂『獲得免疫』は、一度出会った敵の記憶を保存して次に備え、『二度はない』をするんだよね!疫を免れる!」
本「B細胞T細胞にはそのメモリー機能がある」
大林「ゆえにB細胞とT細胞は『獲得免疫』所属!!!」

本「まずはメモリーB細胞から話すで。抗原と結合して成熟したB細胞は、普通は形質細胞に分化して抗体を産生するんやけど、一部は形質細胞に分化する前で止まる。これがメモリーB細胞や」
大林「今まで読んだ本では、病原体との戦いを終えた後、一部のB細胞がメモリー細胞として残存するみたいな表現だったと思うけど…?」

本「メモリーT細胞は……Tc細胞(CD8陽性T)の場合で説明するで。ウイルス感染細胞や樹状細胞から抗原提示を受けて分化・増殖するんやけど、一部のT細胞はTc細胞まで分化せずそのままメモリーT細胞として保存される」
大林「こうして待機組となったメモリー細胞が、次に同じ抗原が侵入してきた時すばやく反応するわけだ!」

本「ちなみに、ウイルス感染を予防するには中和抗体が重要やで」
※中和抗体については↓ここで少しだけ説明してます


大林「抗体……つまり、抗体を作れる形質細胞になるメモリーB細胞やしておくのが重要」
本「そして、ウイルス感染を治すには細胞性免疫が重要」
大林「細胞性免疫……つまり細胞傷害性T細胞になるメモリーT細胞やしておくのが重要」

本「ワクチン効率的に作るためにアジュバントが用いられるで、覚えときや」
大林「アジュバント(Adjuvant)…ラテン語の『adjuvare助ける』が語源の……補助的な治療薬って意味」


本「免疫におけるアジュバントとは、抗原の作用増強する物質のこと」
大林「メモリー細胞を増やすのに、通常の抗原では足りないってことか」
本「次回から、アレルギーについて勉強するで」
大林「よっしゃ!」

《今回のポイント》
不活化ワクチンより生ワクチンの方が「免疫の効き目が長持ち」というのは、細胞内に入り込んだ病原体がじわじわ増殖するから。そして、その都度、獲得免疫反応が起きて、結果、メモリー細胞が何度も増強されることとなるので、「長持ち」となる。
これは長期潜伏型の病原体だからこそできる能動免疫であり、宿主である細胞をさっさと殺してしまう病原体の場合は、おそらく使えない方法なのだろう……

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