見出し画像

1日5分の免疫学(30)がんと免疫

本「がんの治療が難しい理由は、がん細胞と自分の正常細胞と区別するのが難しいから」
大林「がん細胞は自分の細胞だもんなぁ…」
本「NKやNKT、樹状細胞などががん細胞を監視しているとされている」
大林「がん細胞を免疫細胞が抑止する……『免疫監視機構』はもう通説になったと思ってよろしいか?何年か前、医学部図書館の免疫系雑誌で、免疫細胞はがんを監視してない説を読んで衝撃を受けたけど」

本「がん細胞が免疫監視機構をすり抜けて増殖したのががんとして発症する」
大林「我々は生きるほど遺伝子のエラーが蓄積し、それによって細胞のがん化の確率が上がっていく……」
本「TNF(tumor necrosis factor腫瘍壊死因子)は覚えてるか?」
大林「腫瘍細胞を破壊するサイトカインでしょ、マクロファージNK細胞が産生する。TNF-αとTNF-βがある」
本「α(カケクチン)、β(リンホトキシン)というのは最近あまり呼ばれなくなったで。ちなみに、TNF受容体は動物のほぼ全ての細胞に存在する」
Wiki「赤血球にはTNF受容体はない」


大林「赤血球はここでも例外かぁ。流石は細胞の機能を手放しまくってヘモグロビン運搬に特化したタンクローリー。……で、ほぼ全ての細胞はTNFから逃れられないってことか」

本「がん細胞はどうやって免疫監視機構から逃れると思う?」
大林「えーと、まず、MHC分子表面に出さないがん細胞がいて、その場合、MHC分子とセットで対象を認識するTc(細胞傷害性T細胞)はがん細胞を認識&攻撃できない……でもMHC分子を出していないことによってNK細胞が攻撃するんだよね」
★★この辺はややこしい。【MHC分子を出していない細胞はNKが攻撃する】という説明は語弊がある。例えば、赤血球もMHC分子をもたないが、NK細胞が赤血球を攻撃することはまずない。NK細胞が異常細胞を攻撃する機序をきちんと理解しないといけない。後日追記予定★★

本「他にも、がん細胞はTGF-βといった免疫細胞の働きを抑制するサイトカインを出して、TcやNKの攻撃を止めることもある」
大林「えぇと、TGF-β(トランスフォーミング成長因子ベータ:transforming growth factor-β)とは、組織の肉芽形成血管新生が生じ、壊れた組織の修復炎症の収束が促進される。つまり免疫や炎症反応を終了させる調節因子と考えられてる……Tregだ!制御性T細胞が出すやつ!……がん細胞も出すの???チートだな!」

本「あと、T細胞は活性化するとCTLA4やPD-1といった受容体を表面に発現するのは覚えてるな?」
大林「自分の活動を抑制する受容体でしょ、攻撃モードに入ったT細胞たちはちゃんとその後のこと……戦争終結に向けて備えている。人間より賢い!流石は我が推し!!!!」
本「で、PD1のリガンドであるPDL-1PDL-2は、抗原提示細胞だけでなく組織にいる多くの細胞が持っていて、がん細胞にも持ってる奴がいる」
大林「待って、ほんとにがん細胞、チート過ぎない?設定盛り過ぎやん、ラスボスやん、、、、、、実際ラスボスか」

他の本「がんと免疫についてはまだまだ深いから、それは追々じわじわ行きましょう」
大林「ウィッス!ちなみに人体を模したファンタジー漫画『Being』は今まさに、がんvs.免疫細胞ですよ!次回、第20話はNKT&CTLvs.がん細胞!」
本「唐突に番宣入ったな……」
大林「次回は免疫とストレスについて勉強します!」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?