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1日5分の免疫学⑨ウイルスとの攻防

本「お次はウイルスが侵入してきた場合の免疫反応について!」
大林「え?!今までは何だったの?!」
本「主に細菌が侵入してきた場合の話だったんだが?」

大林「細菌ウイルスの分類って難しい…色々ありすぎて」
本「免疫学では、細菌細胞の外で、ウイルス細胞の中悪さをするものと考えたらえぇで」
大林「シンプル!」

《今までの復習》
細菌が侵入

侵入された組織に定住するマクロファージたちが応戦し、体内を巡回している他の白血球を呼ぶ

好中球が細菌を貪食
形質細胞(B細胞の最終形態)がIgGを作って好中球の貪食作用を強化(オプソニン化)


本「ウイルスの侵入に対しても同じように好中球が呼ばれ、形質細胞がIgGをつくる」
大林「でも、ウイルスは細胞の中に入り込めるから……」
本「そうなると、好中球もIgGもお手上げ

別の本(ひそひそ……細菌もウイルスも多様性に富んでいるので、細菌にも細胞の中で悪さするやつがいるのは一応覚えておいて…)
大林(ウイルス本にも書いてたな…)
WEB(最近、細胞でもウイルスでもない感じのが見つかったとか…)

本「ちなみに。ウイルスはどの細胞にでも侵入できるというのではない。そのウイルスが結合できる蛋白を表面に持ってる細胞だけに侵入できるのも覚えておけよ、大事やぞ」
大林「HIVはヘルパーTに感染するってそういうことか……!」
本「このウイルスはトリに感染するけどヒトには感染しない云々いうのもそれ」

本「さぁ、話戻すで。ウイルスが細胞の中に入り込んだ!ここで活躍するのがTc細胞(細胞傷害性T細胞)!前はキラーT細胞呼ばれていた
大林「なんで過去形?」

本は答えてくれなかった!

本「Tc細胞が、感染細胞を破壊する免疫防御反応のことを細胞性免疫という」
大林「NK細胞も感染細胞を破壊するよね?」
本「細胞性免疫によって生じる炎症のことをリンパ球性炎症という」
大林「NK細胞もリンパ球だよね?」
本「リンパ球性炎症のいうリンパ球はTc細胞だけを指す」
大林「うぉおお、疑問に答えておくれよぉ~」
他の本「NK細胞は、発見時期は早かったけど意外と研究が遅れてる」
大林「それが理由?」

本たちは答えてくれなかった!

本「リンパ球性炎症は、化膿性炎症と異なり、膿は出ない」
大林「化膿性炎症で出る好中球の死骸だったなぁ。リンパ球性炎症はTc細胞の活動によるものだから膿は出ない……前から気になってたけど、好中球の死骸が膿ってことは、マクロファージが貪食しきれない分が膿になるの?好中球って白血球の約6割ほど占めてて大量だから?」

本たちは答えてくれなかった!

本「リンパ球性炎症では、リンパ節が腫れたり、肉芽腫ができたりする」
大林「肉芽腫って活性化マクロファージとかランゲルハンス型巨細胞(マクロファージ合体)とかで形成されるんだよね?Tcが殺した感染細胞の片付けをするためにマクロファージの活動が行き過ぎるってこと?」

本たちは答えてくれなかった!

本「さて、ウイルス侵入した場合の、詳しい説明いくで~!」
大林「よしきた!」
本「マクロファージや樹状細胞が、ウイルスをとりあえず飲み込む
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大林「するとどうなる?」
本「細胞膜貫通型のTLR3、TLR7、TLR8、TLR9でウイルスの核酸を感知する」
大林「久々に出たなTLR!マクロファージたちの表面についてる不審物検知センサー!Toll Like Receptor!」

大林「…んん?細胞膜貫通型、というのは?」
本「細菌細胞の外で悪さをするから、細菌を感知するTLR2やTLR4は細胞表面にある
大林「……ウイルスは細胞の中で悪さをするから、細胞膜貫通型のTLRで感知するってこと?」

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本「そうして、ウイルスを感知したマクロファージや樹状細胞はIFN-αIFN-βをつくる。ウイルス感染細胞も同じくIFN-αIFN-βをつくる」

大林「へぇ!感染細胞もつくるんだ!」
本「IFN-α、βは、感染細胞内でウイルスが増えるのを阻害する」
大林「そんなことできるの?!最後の抵抗だな!」

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本「細胞性免疫が発動するには日数がかかる
大林「我が推し、出番待ち遠しい…」
本「それまではマクロファージたちがIFN-αIFN-βで応戦するわけだ。あと、NK細胞が活躍する」
大林「生まれながらの殺し屋Natural Killerキター!」

本「マクロファージや感染細胞達がつくるIFN-αIFN-βは、NK細胞の攻撃力を強化する」
大林「おぉ~」
本「NK細胞IFN-γをつくり、それによりマクロファージ活性化され、マクロファージは更にIFN-α、IFN-βを…」
大林「強化のループだ!」

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ちょっとキリが悪いけど、長くなってきたのでこの辺で一旦休憩!

《今回のポイント》
細胞外にいる病原体には、好中球たちの「貪食作用」や形質細胞の「抗体」が有効。
細胞に入った病原体には、感染細胞を殺す細胞性免疫」で対応し、
死んだ感染細胞から飛び出した病原体については、好中球たちがおいしくいただきます。抗体もぶっささるよ!

次回は、「ウイルスとの攻防」のつづきを勉強します。

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