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1日10分の免疫学(20)T細胞と免疫①

第8章 T細胞を介する免疫

前章の復習:
T細胞胸腺で分化して、成熟ナイーブT細胞となり血液とリンパを循環。ナイーブT細胞は数年間生きる。二次リンパ組織で樹状細胞抗原提示で特異抗原と出会うと活性化し、そこに留まり、B細胞の最終分化を助けたり(ヘルパー)、感染部位へ移動して感染源除去のため働く(キラー)

本「第8章では、ナイーブT細胞がエフェクター細胞になる機序と、エフェクターT細胞の機能について説明する」
大林「いぇえええい!推し!」

本「適応免疫は感染部位で開始するのではなく、病原体の一部を捕捉して二次リンパ組織に隔離するという戦略をとる」
大林「骨髄系樹状細胞が運ぶぅ!」
本「皮膚その他の末梢組織の感染に対するT細胞応答は所属リンパ節で起きる」
大林「所属リンパ節って最寄りリンパ節?」
本「血液の場合は脾臓、呼吸器腸管生殖器などの粘膜組織では近接する粘膜関連リンパ組織
web「所属リンパ節は原発巣と直結したリンパ路をもつリンパ節集団」


本「皮膚の樹状細胞は、抗原を取り込んで処理して活性化し、ナイーブT細胞を活性化する能力を獲得する一方で、抗原を取り込んで処理するという能力を失う」
大林「抗原提示専門になるわけか」
本「樹状細胞は活性化するとその名を示す突起は非常に増えて密になり、T細胞と密接に相互作用できるようになる」
大林「触手プレイ~!」
本「樹状細胞の機能はT細胞応答に特化しており、樹状細胞がいるところはナイーブT細胞が存在するリンパ節皮質の最外層に限局している」
大林「ん?B細胞も樹状細胞に活性化されるんじゃなかったっけ?メインはT細胞の活性化ってこと?」
本は答えない!

本「他方、マクロファージはリンパ節の皮質髄質の両方に存在して樹状細胞の機能を補完している」
大林「リンパ節におけるマクロファージの抗原提示は補完的なものなのか」
本「マクロファージは、感染部位から輸入リンパ管によって運ばれる病原体などを除去する濾過装置の役割も果たしているので」
大林「おぉ、流石の掃除屋!スカベンジャー!
本「病原体だけでなく、抗原特異的なT細胞やB細胞が大量に産生される過程で出た大量のアポトーシス細胞の除去も担っている」
大林「オォウ……」

本「樹状細胞がタンパク質抗原を処理し提示する経路は複数ある。まず、受容体介在性エンドサイトーシスは、細菌やウイルス粒子を捕捉してリソソームで処理する機構。取り込みはごく少量で、ミクロピノサイトーシスと呼ばれる」

サイトcyte:「細胞の」という単語。
シスsis:名詞の状態や変化を表す接尾語。
サイトーシス:物質を小胞に入れて細胞内外へ輸送すること。
エンドendo:「内(部)」という単語。
エンドサイトーシス:細胞が細胞外の物質を内部に取り込む過程の1つ。食作用ファゴサイトーシスと飲作用ピノサイトーシスに分類される。
ファゴーphago:食い尽くす、破壊する、食ー。
ピノpino:???飲むって意味かな?ピノノワールってそういうこと?と思って調べてもイタリア語の松ぼっくりしか出てこないぞ?


大林「えーと、受容体介在性エンドサイトーシス……受容体を介在するってことは特異的な取り込みってことか」
本「特異的に大量に取り込む機構はマクロピノサイトーシスと呼ばれる」

特異的な少量取り込みのミクロピノサイトーシス
非特異的な大量取り込みのマクロピノサイトーシス

本「どちらも抗原はエンドソーム経路でMHCクラス分子で提示される」
大林「MHCクラスⅡ分子ということは、CD4T細胞専用!」

本「その病原体に特異的なナイーブT細胞は、1/10000から1/1000000しか存在しない」
大林「確率低!!!」
本「循環ナイーブT細胞は、クロマチンが凝縮したままで細胞質が小さく、RNAやタンパク質の合成をほとんど行わない小さな非分裂性の細胞として何年も生存する」
大林「かわいい」
本「すべての循環ナイーブT細胞すべてのリンパ節を通過して、病原体に特異的なT細胞が活性化すると、数日で増殖し、エフェクターT細胞に分化する」
大林「そうか……全員が全リンパ節を通過すれば病原体とそれに特異的なT細胞とが出会う…!それって最長でどれくらいかかるの?血液は一周するのに60秒程度だっけ?」
WEB「リンパが一周するのは12~24時間と言われている」
大林「ということは、病原体が体内に入っておおよそ1日で、特異的なナイーブT細胞に出会ってる筈だと期待していいのかな?」


本「ナイーブT細胞血流からリンパ節のT細胞領域に入る過程をホーミングという」
大林「えっ、リンパ球の全身循環をリンパ球ホーミングと呼ぶんじゃないのか……覚え間違えてた……」
本「T細胞のホーミングは、リンパ節のT細胞領域樹状細胞間質細胞が分泌するケモカインCCL21,CCL19が高内皮小静脈の血管内皮に結合し、内皮表面に沿って濃度勾配を形成」
大林「濃度勾配……好中球の移動に似てる」
本「ナイーブT細胞はCCL21,CCL19に結合する『ケモカイン受容体CCR7』を発現していて、濃度勾配により、リンパ節内へ到達する」
大林「そして樹状細胞に出会う!」
本「ナイーブT細胞特異的な抗原に出会うと、表面分子が構造変化を起こして樹状細胞表面の分子との親和性が上昇!」
大林「おぉ!がっつり結合!」
本「これによりT細胞と樹状細胞との数日間続く安定した相互作用が可能になる」
大林「す、数日間???!合体ししすぎじゃね???!!!あっ、ヨダレがガチで出た」

今回はここまで!

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