見出し画像

1日20分の免疫学(16)リンパ球④

Th1細胞とTh2細胞の分化

本「抗原と反応したT細胞はIL-2によって増殖する。そのときIL-12,IL-27,IFN-γが作用するとTh1細胞に分化し、IL-4が作用すると Th2細胞に分化する」
大林「Il-4といえばTh2だよね~最初のIL-4を作ってる細胞ってまだわからない?」
本「Th2細胞への分化にはIL-1, 2も関与する。IL-4をよくつくる好塩基球が
抗原提示細胞として注目される」
大林「えっ、好塩基球が抗原提示細胞ってどういう意味?」
本「樹状細胞IL-4を産生しないから。樹状細胞が抗原提示するときは、他の細胞がつくるIL-4でTh2細胞へと分化する」
大林「いやその好塩基球が抗原提示するのかどうかを聞きたいんだけど…」

本は答えない!
本「あと、T細胞レセプターに弱い刺激が与えらたときもTh2細胞に分化する」
大林「なんと……かわいい」

CD8T細胞について

本「CD8T細胞について。IFN-γを産生するものをTc1細胞IL-4を産生するものをTc2細胞IL-17を産生するものをTc17細胞と呼ぶ」
大林「待っ……CTLに種類があったの?!?!?」

 B細胞の発生と機能

本「B細胞も抗原と1対1の対応する抗原レセプターを持っていて、産生する抗体と同一」
大林「BCRでもあり抗体でもあり…」

本「B細胞の前段階は前(pre)B細胞と呼ばれ、表面に通常の免疫グロブリンを持っていない」
大林「そうなんだ!preB細胞にも生えてると思ってた」
本「原形質IgMのH鎖があり、表面IgMのH鎖L鎖類似ペプチド(代替L鎖)と組み合わさった分子pre-B細胞レセプターがある。B細胞には胸腺のような分化のための臓器はないので、リンパ組織に移行していく間に分化が進むと考えられている」
大林「へぇ~。最終的には特異的な抗原に出会って、同じ抗原に反応するヘルパーT細胞にも出会えれば抗体産生細胞…プラズマ細胞になるんだよね」
本「抗体産生細胞多く形質細胞 plasma cellの形態を示す」
大林「『多くは』……?!例外もあるんかい」

本「B細胞は、樹状細胞に比べ低濃度の抗原を提示することに優れている」大林「抗原が少なくても提示できるってことかな?」

本「B細胞にはIL-10を産生してT細胞、マクロファージ、樹状細胞抑制するものもある」
大林「?!待っ??!B細胞も免疫にブレーキかけれるの?!!」

K細胞について

本「食細胞はIgG抗体のFc部分に対するレセプター(Fcγレセプター)を持っている」
大林「抗原が結合したIgG抗体のFc部分を掴んで貪食するんだよね」

本「リンパ球にもFcγレセプターⅢaを持ち、抗体の結合している細胞にそれを橋渡しにさらに結合し、その細胞を破壊するADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用)。このような働きを持つリンパ球のことをk細胞と呼ぶ」
大林「細胞の名前は短いのに攻撃方法の名前が長ェ!K細胞ってつまりなんなの?NKなの?」
本「B細胞やT細胞とは別の種類のリンパ球で、K細胞の多くNK細胞の一部であると考えられている」
大林「NはつかないKだけなのか。抗体を利用するからかな?」

本「NK細胞の90%近くがFcγレセプターⅢa(CD16)をもつ。腫瘍細胞・ウイルス感染細胞の排除、移植片拒絶等を担っているものと思われる」
大林「拒絶も関わってるのか、T細胞だけと思ってた」

NK細胞について

本「CTLが標的細胞 target cellを傷害するには、まずナイーブが抗原提示細胞か標的細胞上の抗原に反応し、ヘルパーT細胞の補助をうけて増殖し、エフェクターに分化しなければならない……これには数日を要する」
大林「推しは身支度に時間かかるんだよ…かわいい」

本「腫痛細胞やウイルス感染細胞を出会いがしらに傷害できるリンパ球が発見された。最初から傷害作用を持つものが自然に出現しているという意味でNK(natural killer)細胞と呼ばれる。特に免疫操作を加えなくとも自然に作られてくる抗体を自然抗体 natural antibody というのに似ている」
大林「最初に見つけた人はどう思ったんだろうなぁ……あれ細胞傷害始めるの早い細胞がいる?!みたいな?発見した人のエッセイとかなんかないの???」
本「NK細胞は、特異的抗原レセプターを持たず、腫瘍細胞やウイルス感染細胞などのストレスをうけた細胞が表出する特定物質(糖蛋白MHCクラスI様分子:ヒトではMIC.ULBP.RAET)に反応する」
大林「ストレス…まぁ腫瘍化も感染も大いなるストレスだわな」

本「1個のNK細胞いくつかの異った標的細胞を傷害する」
大林「ん?CTLは抗原と厳密な1対1の関係だけど、NK細胞は怪しいやつなら全部倒すんじゃないの?」
本「NK細胞が傷害できる細胞の種類は限られている。腫瘍細胞(特にリンパ系腫瘍)の一部、ウイルス感染細胞の一部にすぎない」
大林「超意外!」
本「そうした細胞が標的分子を表出し、且つ、MHC分子の表出が悪いことが関係する」
大林「MHCがちゃんと出てたらNK細胞にとってはブレーキになるんだよね」
本「MHCを多く表出しているほどNK細胞によって傷害されにくい。NK細胞の表面にはMHCクラスⅠ分子α鎖と反応するレセプターがある」
大林「なるほどそのレセプターがMHCと結合した数で傷害活性が抑えられる率が上がるわけか。教科書の図は単純化してるから忘れがちだけど本当はたくさんの分子が出てるんだよね」
本「こうしたレセプターは10種類ほどあり、それぞれ対応するMHCクラスⅠ分子が異る」
大林「えっ…NK細胞にも個体差あるの?!」
本「各NK細胞は平均3,4種類をもつ。どのNKレセプターをもつかで、6×10の3乗〜3×10の4乗の多様性がある」
大林「なんと……NK細胞もキャラの顔分けちゃんとしよう」

今回はここまで!夏コミ遠征の準備が……アーッ
サイトでは細胞の世界を4コマやファンタジー漫画で描いています↓
漫画等の更新は夏コミ後に再開します……!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?