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植物がこの先もっと輝くために、花がついていても、ハサミを入れよう!

 第4回目となる、府中コミュニティガーデン講座。

 6月18日(土)に行われた第3回の講座からわずか1週間あまりで梅雨が明けてしまい、花壇に植えつけたばかりの一年草たちは、いきなりの大ピンチに見舞われました。

 講座では、
「植えつけ時にたっぷり水やりすれば、あとは水やりしなくても大丈夫」
と説明していましたが、それはあくまで、7月半ばまで梅雨が続く前提でのお話。
いきなりの35℃超えでは、一年草だけでなく、宿根草や低木類もぐったりです。

三浦先生や谷村先生にも相談し、運営スタッフの有志で何度か水やりをして、無事に4回目の講座を迎えることができました。

 今回は、講座として初めての公園集合でしたが、府中テラスさんにお借りしたテントのおかげで、日陰でのスタート。
 今日のテーマは「お手入れの基礎知識」です。

府中テラスさんにお借りしたテント2張のおかげで、日陰での講座


 無事に根づいた植物たちは、この時期、さんさんと降り注ぐ太陽のもと、ぐんぐんと伸びていきます。
 中には花を咲かせているものもあり、果たして「切ってもいいものなのか、悪いものなのか……」判断のつかない人も多いのではないでしょうか? そんな受講者の皆さんたちのお悩みも、三浦先生はすっかりお見通しです。

「植物には、頂芽優勢(ちょうがゆうせい)といって、先端部が優先的に伸びていく性質があるため、途中で切ることによって一時的にバランスが崩れ、中間部も若さを取り戻すんですよ〜」

大抵の植物は、「頂芽優勢」といって、先端部分が優先的に伸びていく性質がある。
なぜそうなるのか、詳しいメカニズムはまだ解明されていないそう。

 切ることで若返る!
 植物の驚きの性質を聞き、驚くやらうらやましいやら。
 谷村先生からの「うらやましいですねー」のひと言に、公園はドッと笑い声に包まれました。。

 さて、新しい知識を得たら、さっそく実践できるのがコミュニティガーデン講座のよいところ。
みんなハサミを手にし、花壇に向かいました。

 まずは谷村先生による、ジニア・プロフィージョン(ダブルイエロー?)の切り戻しです。

ジニア・プロフュージョンは花の真ん中のしべの部分が茶色くなってきたら花がらを取るタイミング。
それによって新芽が出やすくなる。

 爽やかな黄色で咲くプロフュージョンを前に、「え、これ切るんですか?」と、戸惑いを隠せない受講生の皆さん。

 しかし、三浦先生や谷村先生は、その不安を解きほぐすように、切り戻しのメリットを伝えます。

【切り戻しのメリット】
・切ることで風通しがよくなる
・切ったあと、葉や茎の成長がよくなる
・花がらを残しておくと株が老化してしまう

 なるほど! と、一同納得はしつつも、
「お花を切るのはしのびない……」
 そんな表情を浮かべています。

 それを見た先生たちは、さらに背中を押します。

「切ったお花は、茎を水につけてから、花束にしたり、花瓶に入れたりすれば、最後まで楽しめますよー」

切り戻した花を水に入れたもの。せっかくの花、最後まで楽しもう。


 なるほど! これで、切っても無駄にはならないと、皆さんホッとしながらハサミを入れる覚悟ができたようです。
 早速、各班に分かれ、実際に花壇の植物の切り戻し作業を実践します。

「無駄にはならない」
「切ったほうが植物のためになる」

 と、頭ではわかっていても、けなげに咲いているお花を目にすると、ハサミの手が止まる人たち続出。
それを、三浦先生と谷村先生がどんどん声をかけ、勇気づけていきます。

「間違えて切ったとしても、数週間したらちゃんとした姿になるから、大丈夫!」

「まずは切ってみましょう。切ったところは覚えておいて、次に来たときに答え合わせをするといいですよ」

 皆さん、恐る恐るハサミを入れながら、どうにか3つの花壇の植物をきれいに切り戻すことができました。

東側の花壇の切り戻し。3つの花壇を全員で一気に作業。
限られた時間なので、みんな手早く作業。

テントで一息ついたら、班ごとに座学会場へと移動。
今回は、府中テラスを運営しているセカンドファクトリーさんのご好意で、会社のラウンジをお借りし、後半のレクチャーを行いました。

 一息ついたら、三浦先生から「効率のよいメンテナンス方法」についての講義。

セカンドファクトリーさんのラウンジで行われた後半の座学。
テーマは「効率の良いメンテナンス方法」


 手間のかからないローメンテナンスの花壇を目指す上では、草取り作業の軽減化も必要です。
 とはいえ、草取りしないわけにはいかないし……と思ったところ、三浦先生からまさかの事実。

 実は、雑草は抜けば抜くほど、どんどん生えてしまい、むしろ小さなうちは残しておいた方がよいそうなんです。

 雑草が生えているうちは、雑草のタネもそのまま静かにしているのに、片っ端から雑草を抜いて、きれいになると太陽の光も降り注ぎ、結果として、雑草がぐんぐん生えてくるとのこと。

 【ローメンテナンスな草取りを実現するには……
・背の低い雑草は花壇の緑に貢献してもらう
・雑草が小さいうちは抜かない
・雑草がタネをつくる前に抜く

 の3つの作業に優先順位をつけて、できるだけ手間をかけずに花壇をきれいに維持することが大事。
 これこそが、コミュニティガーデンにとって欠かせない、大事なノウハウなんだなと感じました。

 さ〜て、一とおり勉強タイムが終わったら、次はガーデンにまつわるお楽しみタイムです。

 まずは、乾燥ラベンダーの花びらを使ったリボンサシェづくり。

乾燥させたラベンダーの花を、お茶パックに入れ、リボンで結んだもの。
香りは1年近くもつそう。


 今回のラベンダーは、三浦先生や谷村先生たちが関わっているガーデンで取れたものですが、府中コミュニティガーデンの花壇にもラベンダーが植えられています。つまり、数年後には同じことができるようになるかも。夢が広がりますね。

 ジップロックの袋の中にたくさん入ったラベンダーの花の香りのすばらしいこと。
 部屋中がいい香りに包まれました。

 その後、マスキングテープを使った花壇の花の名札づくりを行い、次回、8月の講座で班ごとに花壇に差し込む予定です。

ラベンダーのリボンサシェ(右上)と、マスキングテープを使った手書きの花の名札。


 公園からセカンドファクトリーまで、皆さんが素早く移動できたおかげで、少しだけ時間に余裕ができたので、質疑応答の時間を設けることもできました。

 最初は緊張気味で所在なげだった受講者の皆さんも、今では班ごとにすっかり打ち解け、受講後のアンケートの中に、「ほかの班の人たちとも、交流してみたい」と書かれていたのが印象的でした。

(文・小林渡)

受講者の皆さんがつくったリボンサシェと花の名札。


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