地下鉄に乗れない

わたしは地下鉄に乗れない。

乗れないというか乗らない。

極力乗りたくないし、苦手だ。

空がみえる地上の景色の中から

突然深い穴の底に潜っていくみたい。

時折生温かい風がよぎるのも好みじゃない。


わたしモグラじゃないし。

穴を掘って進む趣味もないのよ。


そんなわたしだけど今日地下鉄に乗った。

ある実験がしたかったから乗ることにした。

実験はナイショだよよん。


滅多に乗らない地下鉄に

久しぶりに乗ったので色々思いが浮かんだ。


この穴の中で死ぬとしたら

わたし見つからないかもな、なんてことを考えた。

ぼーっとしていた。

見つからなかったら、どうなるかな。

家族はどう感じるのかな。

二度と会えないことに対してどう思うのかな。

でも、というかそもそも

なんで人は人に執着するのだろう、と思った。

いなくなると寂しい。

悲しいし、つらい。


なぜなのかなって。

なんでそんな感情を抱くのだろう。


すこし考えてみた。

ふと思った。

思い出があるからだ、と。

思い出が詰まってるから、

だから人は人がいなくなるとき寂しいんじゃないかな

悲しいと思うんじゃないかな

何も思い出が無ければ、記憶がないとおなじ。

キラキラする思い出や悲しみの思い出、

どんな記憶であろうとも

在るものは在る。

でも、

なにも無いなら無とおなじ。

そんな気がする。


何故かそんな気がした。

久々の地下鉄のわたし


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