支援教育を阻むものその壱「同化圧力」

心理学的に、周囲の仲間(ピア)から受ける圧力を、ピア・プレッシャーと いうが、教員集団あるいは学校では、「その学校、その地域、その集団で認め られただけの価値観に合わせなさい」という同化圧力として作用していく。そ れに従うことはその中のメンバーとして認められ、流されていくことができ、 自らの安全性を確保することができる。逆に、それに抵抗するもの、異なるこ とをするものは、非難され、結果として従うように強い圧力をかけられるとと もに、非難する人は、スケープゴートを作ることで自らが安全な位置にいるこ とを確認できる。ある意味、従うことは、その集団で生きるための手段(適応) であるともいえるが、一方で、独創性、多様性、個性といった、学校以外では 通常称賛されるべき価値観を捨てていくことになりかねない。さらに、飛び出 たものに、変わった人、変な人などとレッテルを貼るようなヒエラルキーを産 み、集団としての正しいベクトルが歪んでいくことにもつながっていく。
支援教育の正しいベクトルは、「こどもが主体的に自らのよさを活かして生 きていけるように教育する」ことであり、やがて、支援が必要でなくなるため の支援でなくてはならない。自分のできなさを受け入れて、自分のよさでどう カバーしていくかを考えるとともに、自分のよさを活かせる場所を探していけ るように育てるのだ。そのためには、それぞれの生まれもった特性(よさ)を 多様性として認めうる環境でなくてはならないし、今までのそこでの常識を変 えなくてはならないことも多くなる。
この視点で思うに、同化圧力に流されることは、支援教育を阻むもの以外の 何ものでもない。

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