なつぞらの十勝〜風土と教育〜

私は、nhkのドラマ「なつぞら」の舞台となった北海道十勝地方に住んでいる。もちろん、自然が豊かで食べ物も美味しく、ステキなところだ。空は昼夜美しい。澄んだ青空と満天の星空は、宝物だ。実は、青空は夏よりも冬がいい。西高東低の気圧配置で日高山脈が風の流れをブロックするため、冬は晴れる日が多い。その青空が、どこまでも深く、広く、美しい。私達は、十勝晴れという。そのかわり、とてもとてもとても寒いのだが。
十勝に人が住み始めて、長くて120年になる。京都の1200年をはじめ、本州と比べてたかだか百年と少しなのである。和辻哲郎が著書『風土』の中で「風土の現象は、人間が己を見出す仕方として規定される」と言うように、その土地の風土は、人々の気質や関係性にまで影響を及ぼす。したがって十勝には、まだまだ開拓の頃の影響があると言えるのである。そしてそれは、十勝の中でも、町村によって、あるいは地区によって、大きく違ってくるのだ。
教員として、十勝を渡り歩いていると、そこそこの地域の色の違いに気がつく。特に支援教育を行うにあたって、差別感が強いかどうかは、教育活動に大きな影響を及ぼす。
差別感は、第一に、開拓の姿勢や精神に影響を受けている。北海道の開拓は、アイヌ民族との争いでもあった。そんな中、自分達の土地を断固として守り抜こうとするのか、共存を目指していたかによって差異が生まれた。第二に、多数の地方からやってきたもの達が、どの程度「おたがいさま」の精神を持てたかにも影響を受けている。
その一つに信仰がある。それぞれ違う信仰を一つに合わせようとしているかどうかで差異が生まれている。
こういう風土の違いは、教育を考える前提となるものであろう。

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