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知的財産法の基本書、判例集、演習書等

初めまして。2022年5月に司法試験を受験しました。選択科目は知的財産法でした。知的財産法はなかなか覚えることが多い一方で、選択科目の対策にかけられる時間は少ないため、苦労されている方も多いかと思います。ただ、百選レベルの知識条文の把握、法的三段論法の遵守等の基本的(であり最も重要な)事項をしっかりと抑えられれば、試験本番においてまず沈むことはない科目だと思います。私自身、今年度の司法試験は特許法が例年と比べて少し難しいと感じましたが、それでも特許法の基本的制度や趣旨等を把握していれば合格点は確実にとることのできる問題だと感じました。
以下では、私が司法試験本番までに使用した教材等を書いています。是非参考にしてみてください。

入門書・基本書

入門書や簡易な問題集、知識をざっと確認するものとしては、小泉『特許法・著作権法』(有斐閣)が最も適していると思います。

基本書は、島並ほか『著作権法入門』『特許法入門』(有斐閣)が、情報量や読みやすさの観点から試験対策に適していると思われます。私は、試験対策における辞書ないし知識の限界を画する用途として用いていました。

高林先生の基本書は早稲田ロー等で使用されているようですが、試験対策という観点からは少々難解すぎるような気もしました。

田村『プラクティス知的財産法Ⅰ・Ⅱ』(信山社)は要件事実や論証、論点等が簡潔にまとまっているので試験対策として有用です(入門書としてはお勧めしません)。

基本書としては、中山『特許法』(弘文堂)、『著作権法』(有斐閣)も良いと思います。

判例集

判例集は、基本的には、小泉ほか『特許判例百選』『著作権判例百選』(有斐閣)を使用するとよいと思います。

愛知ほか『知財判例コレクション』(有斐閣)は、特許法・著作権法・不正競争防止法等の法分野が一冊にまとまっている点、判旨が長めに引用されている点、判例に対するコメントが簡潔にまとまっている点で、試験対策として有用です。用途としては、判例をざっと見直したい場合に特に有用かと思います。百選を読むのがきつい方は、こちらでもいいのかなと思います。

演習書

小泉ほか『知的財産法演習ノート』(弘文堂)が、試験対策として最も適していると思います。第5版では、近時の著作権法改正に対応するため条文番号が改められ、また写り込みの問題等が追加されたようなので、来年以降試験を受ける方は買い換えた方が良いと思います。本書は、インプットと演習の両方を並行して行うのに特に有用かと思います。私は、本書の問題をざっとみて、その後すぐに解説と解答例を確認して、『何を』『どのくらい』書くべきかを把握するための読み物として本書を利用していました。少なくとも3〜4周はしました。

予備校本ではありますが、『1冊だけで知的財産法』(辰巳法律研究所)もお勧めです。本書は、論証集、各年度の司法試験の過去問・出題趣旨・採点実感、各年度の再現答案例が1冊にまとまっているもので、試験対策上有用です。用途としては、本書で過去問演習をしつつ、論証部分に判例百選や知財法演習ノート、過去問演習で学んだことを一元化していくと良いと思います。私は、1周目は過去問の問題文を読んで答案構成をし、その後に出題趣旨・採点実感・再現答案を読んで書くべきこと等を確認していました。2周目以降は厳密な答案構成はせず、問題文を読んで頭の中で書くべき論点を軽く考えて、その後すぐに出題趣旨・採点実感・再現答案を読むという方法で回していました。少なくとも3〜4周くらいはしました。

田村『論点解析 知的財産法』(弘文堂)も論点把握にはお勧めですが、現実的には、過去問と演習ノートを勉強するので手一杯だと思います。

以上です。お読みいただきありがとうございました!

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