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フラグ回収

年に数度は電車で本州へ行く
新幹線だったり普通列車だったり
どっちに乗っても楽しい

乗った時は姫路城を確認する
「今日も白いなあ」とつぶやく
陽がちょうど正面から当たってると
発光してると見紛うほど白い
白鷺城 別名の通りの美しさ

しかし姫路に降り立ったことはない
ずっと気になっている
普通列車で日帰りできる距離だし
行こうと思えばいつでも行ける
…となると結局、行かないままになる

大抵そういうものだ

私の暮らしている町にも
全国的に有名なスポットがいくつかある
けれど、移り住んでから20年以上経っても
どこにも訪れたことがない
仕事の帰り道に寄れるところもあるし
行ってみようかな?と思う時はあっても
なんかめんどくさくなってやめる
そのくりかえし
そうこうするうちに景色が変わってゆき
気づいた時には無くなったりしていて
「行っておけばよかった」なんて思うのだ
惜しむほど興味があったわけでもないのに

なんていうか わがままだなあ
勝手ばかりするんだから まったく


車窓から見える景色も、通り過ぎれば忘れる
だから見るたびにおなじことを考える
一瞬の好奇心をずっとループしている
ピークがそこになってしまっている

そんな場所がたくさんあって
テレビや本で気になる場所を見つけると
Googleマップに旗を立てる
しかし立てたことは大概忘れてしまうため
木の実を埋めるリスのような事をしている

でもこれが、たまに芽吹くのだった

1年と4か月前のこと
日本酒を覚えたばかりだった私は
憧れの《蕎麦屋呑み》を実現するため
銀座で旨そうな蕎麦屋を探していた
「お!ここ美味しそうかも!」
ピンときたお店には、なんと
10年も前に旗を立ててあったのである
すっかり忘れていたフラグ回収に驚いた

そこは山形料理を提供する居酒屋で
山形名物「冷たい肉そば」が看板メニュー
10年前の当時、とあるエッセイ本で見た
「冷たい肉そば」があまりに美味しそうで
気になって気になって仕方なくて、食べたくて
でも山形に行くのは遠くて叶いそうにない
現地へ行かなくても食べられる場所はないか
そうして探し当てたのが、そのお店だった

「いつか東京へ行ったら必ず行くぞ!」
決意の旗を立てた事を、10年経って思い出した

これが「冷たい肉そば」
めちゃくちゃ美味しかった
忘れられない味

このお店では山形の銘酒も頂いた
「出羽桜」「初孫」
あと何かの代わりに「獺祭」を頂いた
十四代を飲もうとしたような…曖昧
全部おいしかったなあ
合わせて3合飲んで千鳥足になりました
日本酒は自分の味覚・体質と相性が良いようで
今のところ、どこの何を飲んでも美味しい

とまあ こんなかんじで
いつか行きたいな〜のフラグも
思いがけず回収できることもある

だから、姫路城もそのうちに
ひょん、と行くかもしれないね








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