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いぬのなかに ひとをみる

図解

踏切が鳴る前から、そわそわ
右へ左へ、いったりきたり
\カンカンカン/
踏切が鳴ると、耳をピン!と立てて
列車がやってくる方へ駆けていった
それから列車と並走して戻ってくると
踏切の手前でたちどまって
走り去っていく列車を笑顔で見送っていた
姿が見えなくなっても
踏切が上がるまで、ずっと見つめていた


電車好きな犬っているんだなぁ
つい、一部始終を見守っていた
一緒に見ていたのに気づいたのか
クルッと私を振り返った犬は
ニパ〜ッ!と笑って尻尾をくるくる振った
「ね!でんしゃかっこいいね!ね!」
と言ってる顔だった

そうだね、かっこいいね
心の中で相槌をうち、小さく頷く
自慢げに胸を張る犬

飼い主のおじいさんは呆れ声
「ほら、もうええやろ、かえるで」
そういって、リードを引っ張ると
犬と一緒にトコトコとその場をあとにした

犬には前世が人間のやつがいるそうだ
顔を見ればわかるらしい
ハチクロで読んだのを覚えている

昨日の夕方に見たあの犬は あの子は
きっと電車が大好きな子のうまれかわり
今日も明日も、電車を見て笑ってるんだろう

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