帳簿組織について

決算振替の方法には英米式締切法と大陸式締切法があり、英米式締切法に比べ大陸式締切法の方が転記の正確性に対する検証能力が高いと言われる。例えば、仕訳帳に記帳した仕訳を総勘定元帳へ誤って二重に転記した場合、英米式締切法では当該誤りを発見することはできないが、大陸式締切法では発見することができる。これは、英米式締切法では、正しく転記を行っていても仕訳帳の合計金額と合計試算表の合計金額は一致しないためである。

仕訳帳から総勘定元帳への転記が正しく行われていることを検証するために試算表が作成される。複式簿記においては貸借平均の原理が成り立つものの、誤って借方と貸方の勘定科目及び金額を逆にして転記を行った場合であっても、試算表の借方金額の合計と貸方金額の合計は一致してしまうため、金額の一致をもって誤りがないとは言えない。

大陸式締切法における残高振替手続きはすべての資産・負債・純資産の各勘定の残高を、閉鎖残高勘定に振り替える手続きである。閉鎖残高勘定は損益勘定とは異なり、貸借差額により何らかの計算を行うことを目的としているのではなく、貸借の金額が一致することにより、それまでの決算手続による勘定記入の正確性を検証する機能を有する。

単一仕訳帳制ではすべての取引が一つの仕訳帳に仕訳され、そこから総勘定元帳に個別転記されるので、転記に手数がかかる。そこで、取引頻度の高い勘定科目を金額欄に特別欄として設定し、一定期間ごとにその合計額をもって総勘定元帳に合計転記することを可能にしたものを、多欄式仕訳帳という。したがって、多欄式仕訳帳において特別欄を設けた勘定科目は仕訳時点では個別転記を必要としないので、元丁欄にチェック・マークをつける。

当座預金出納帳を特殊仕訳帳として採用し、受取手形の当座による割引取引について、普通仕訳帳に取引の全貌を記入する場合、同時に当座預金出納帳にも当座預金の増減を記入する。当座預金の増減は特殊仕訳帳の親勘定として合計転記されるため、普通仕訳帳からは個別転記されない。

大陸式締切法による特殊仕訳帳制を採用している場合、特殊仕訳帳の親勘定間取引について精算勘定を設けることで、当該親勘定間取引については二重仕訳控除の手続きが不要になる。しかし、普通仕訳帳と特殊仕訳帳の双方に記帳される取引については、二重取引控除の手続きが必要となる。

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