「さよならの形」
説明:お友達の絵描きさんの「さよならの形」というタイトルの絵(パステル画)を見た時に浮かんだストーリーです。上記のような構図の絵でしたが、これは、私が思い出して描いたものなので、本物はもっとちゃんとした作品です。参考までに乗せてあります。
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「さよならの形」
朝からバタバタと足音を響かせて階段を駆け下りてくる。
好物だからと、朝食のテーブルの上にはいつも切ったフルーツが乗る。
朝からミルクトーストとやらをほおばるあいつをしり目に、オレは仕事に向かうため、あいつより早く家を出る。
志望校に合格したと、大喜びしていたのはいつだっけ?
昨日、妹は家を出て行った。
「果物もときどき送ってほしい」と母親にねだっていたから、引っ越しても毎朝フルーツが朝食に出るのだろうか?
温度がいくらか下がったように感じる部屋に、木漏れ日がそこだけぬくもりを残すように影をおとす。
「彼女でもつくろうかな」
オレはつぶやいてクロをなでた。
去年入った新人に、ひとり気になる子がいるんだ。