キャノン(株) 堅実!

本日は、キャノン(株)を攻めていきます!

この会社は弊社の本社千葉県我孫子市の向かいにある、茨城県取手市に工場があることから、

昔、ここのおっちゃんたちとJAZZバンドをやっていたことなどもあり、

ちょっとだけゆかりがあります。

みんなすごくまじめで、頭が良くて良い方々でした!

そんなキャノンは、1933年に麻布六本木にて精機光学研究所として発足したとのことから、
弊社事務所のある麻布にもゆかりがあり、

いちいちゆかりを感じています(笑)


では数字を追っていきましょうか。


資産の部です。
左が2021/12期 右が2022/12期
一年間で資産は+3千5百億円

流動が+2千8百億円
固定が+   7百億円(投資その他含む)

です。

流動が増えたのは、
売上債権+1千1百億円
棚卸資産+1千5百億円
大半がこのあたりの営業に係るものです。

固定はとりあえずスルーでいいかなぁという感じです。

続いて負債。


負債の部はおよそ+1千億円。

うち
流動が+3千億円。
固定がΔ2千億円。

目だったところとしては、長期借入金から短期借入金に移り変わっています。

借入を早々と返済してしまおうという感じでしょうか??

長期債務はもう20億円しかありません。

その分、短期債務は+2千5百億円です。


ところで、
長期借入金が短期借入金にシフトするということは

財務分析に何が起こるでしょうか?

それは流動比率の悪化です。


流動比率は短期支払能力を測定する数値で
流動資産/流動負債で計算。

低くなるとヤバいってやつでした。

キャノンは分母である流動負債が増えたので
通常の財務分析だったらヤバくなる
はずです。

一方で、
短期でお金返しちゃうんですから、

さっさと無借金企業にすることができる。

という見方もできます。

分析する人はその辺をいろんな情報から考えます。

例えばニュースの記事がネガティヴな情報として出ていたら、
流動比率の悪化
と、考えますし、

そうではなく、
業績も好調で、株価も上がっていて、社員もイキイキとはたいているな
となると、
財務健全化に動いている
と、捉えます。

もちろん正解はわかりませんけど。

では、戻ります。

次は純資産の部。


純資産の部は+2千5百億円ですね。
自己資本比率も65.2%⇒65.7%へと向上しています。

うちのクライアントさんほどではないですけど、結構高いですね!

キャノンという会社は堅実に本筋をこなしていく会社なのかなぁという印象が持てます。
借入してガンガン攻めていると自己資本比率65%なんてならないですからね(笑)

利益剰余金が1千2百億円、包括利益が+2千億円
自己株式がΔ1千億円。

自己株式ってなんだ?(包括利益は割愛します)

って感じですよね。

私も会計やるまであんまりよくわかっていませんでした。
しかも純資産の部にΔで表示されると、こちらはとち狂ってしまいそうです。

自己株式とは、市場に出回っている株を自分で買い取ることです。

なんでそんなことするかというと、

良い答えがここに書いてありました⇩

自己株式とは? 取得する理由やメリット、制限について解説! | THE OWNER (the-owner.jp)

メリットは
 ・ 敵対的買収の阻止
 ・ 株価上昇
 ・ 経営の意思をスムーズにできる
上場企業の場合こんな感じで、
これがさらに中小同族だと、
 ・ 相続人の相続税確保
 ・ 後継者の株式買取資金の確保
があるそうです。

また、記載外ですが、配当金も払わなくて済みますね!

デメリットは
 ・ キャッシュアウト
 ・ 中小同族だと「みなし配当」による税負担があるそうです。

また、記載外ですが、自己資本比率が下がる為、経営指標は悪化するでしょう。

これらのメリット・デメリットを考えると、
キャノンは何故、自己株式を取得したと考えられるでしょうか?

ところで日本株の傾向として、

カネ余りにより自己株式を取得する企業が多いそうです。

利益が出る
⇒金が増える
⇒行き先がなかなか見つからない
⇒自己株式取得

みたいな感じです。

キャノンは投資をどの様に考えているのでしょうか?
そもそもが堅実企業なので、いろいろスッキリさせておきたいのかなぁという感じは漂っています。

CF計算書で見えてくるかなぁ。

ちょっと覗いてみましょう!


まずは営業CF。

前期が4千5百億円
今期が2千6百億円です。

利益は横ばいだけど、今期は売上債権と棚卸が増えましたよね。
これは入ってくるお金がまだ、売掛金の状態だったり、在庫のままだったりするのでキャッシュアウトと見なされます。

逆に前期みたいに売上債権の減少があるとCFはプラスに働きます。

そんなこんなで営業CFでした。

続いて投資・財務CF。


投資活動では、主に有形固定資産への投資を2期に渡り続けていますが、
他社比較すると、関連企業の株を買ったりってのはあまり行われていないようですね。

となると自己株式取得も、スッキリさせたい感じかなぁという気がします。

日立製作所は株式を売ったり買ったりでしたもんね。
日立製作所|北村 悠 (note.com)


財務CFは上述の通り、長期を返し、短期で調達しています。


以上が、財務の数値です。

資産は営業債権・棚卸が増えた
⇒増収?

負債は長期借入を返済し、短期で調達
⇒借入圧縮

純資産は自己株式を1千億円取得
⇒カネ余り?

すごく堅実で、地に足のついた感じと言えますし、
半面、あまり冒険はしていない点は株主に(特に海外勢)どう映っているのか、気になります。

冒頭申しあげた、JAZZメンバーもそういえばそんな感じの方々だった気がします。
企業風土と、個人がマッチしていたら面白いですよね!

ちなみに私がいた銀行は銀行の中でも堅い銀行ってことで、
バブルの時に土地ころがしに乗り遅れたそうです(笑)

でもそれが奏功し、あまりひどい目に合わずに済んだ、
と、昔上司が言っていました。

確かに、あまりリスクを好まない傾向が強い人は多いと思います。

さてキャノンについては、明日見る報告書で何か見えてくるでしょうか。
楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?