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夏のトンネル #春風怪談

 小学校四年生か五年生のある日、傘の修理を生業にしていたおじさんが、傘を直しに飛び込みで家に来ました。もちろん初対面です。

 そのおじさんを見て僕は、妖怪人間ベムって本当にいるんだ! 普段はこうやって生活費を稼いでいるんだ! と思いました。

 そして聞いたのです。

「ねえ、おじさんベムでしょ? こうやって生活費を稼いでいるんだね?」って。

「そうだよ」と答えてくれました。

 ビジュアルは、アニメそのままの実写化です(亀梨くんの方ではなく)。

 黒いスーツにハット、肌の色が浅黒く、スキンヘッド、目は不自由そうでした。

 ただ残念なことに指が三本だったかは確認した記憶がありません。

(人間の時は五本だからわからないのか)

 



え、こういうのじゃないですか?


それでは別の話をします🐻


 




 この話は僕がまだ今よりも体力と時間、そして少しばかり自由になるお金があった頃のお話です…。


 季節は確か夏だったと思います。

「夏なんだし、夏らしくみんなで怖い話しよーよぉ♪」

 仲間と行ったニューハーフパブでホステスさんがそう言っていました。

 夏です、きっと。

 昼間はうだるような暑さ。夜の空気は粘っこく湿っていました。「猛暑」や「ゲリラ豪雨」という言葉が聞かれ始めた頃。

 僕たち三人は仕事の打ち上げのつもりでそのお店に行ったのでした。

 一人に一人ずつオネエさんがついて計六人。円卓に輪になって座り、時計回りに怪談話をしていきました…。

 ちなみに当時はゲイバーの方が飲み代が安かったです。


 って余計な情報、すいません。

 

 そして僕の番。二人が話し終えて三番目だったでしょうか。この時僕は自分が経験した話ではなくて、当時の仕事仲間がドライブデートで経験した話を披露しました。

 それは車であるトンネルを通った時のことでした…。

 あ、ちなみにその昔、寄席では師匠が怪談噺をしてる時に弟子達が幽霊の扮装をしてお客さんを驚かせたそうです。いつからなくなってしまったんだろう。

 また脱線してすいません。


 そうですそうです。運転席には男、助手席には男の恋人。二人はドライブにふさわしいCDをかけてデートを楽しんでいました。会話も弾んでいました。

 そこを通るまでは…。

 とあるトンネルに入ると恋人の様子が変わりました。

 急におとなしくなって喋らなくなったんです。

 車に酔ったのかな、どうしたのかなと、男は思いました。

 あとで知ったのですが、そのトンネルの上は墓地でした。

 そして、トンネルを抜けると…

その恋人の声が、なんと男の声に変わってしまったんです…。

 

 僕は、「うわー怖い!」とか「え?何なに?」とか「取り憑かれたってこと?」みたいなリアクションを予想していました。

 ところが、実際はオネエさん達が一斉に大爆笑したのです。

 この時僕はちょっと怖かったです。

 そうです。

「女の人だと思ってたら男だった」

 そういう怖い話をしたと勘違いされたのです。

 いやあ、あの時は本当にこういう事ってあるんだなって怖かったです。

 ちゃんちゃん。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

これは、拝啓 あんこぼーろさんの企画に参加した実話です。

書く機会を頂きまして、感謝^ ^


拝啓 あんこぼーろさんのあの話は本当に怖かったですね。。。

これから猛者達がさらに怖い話、怖い話に見せかけた感動をひっさげてやってくると思われます。

怖いですね。楽しみですね。。。。

 

 

  

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