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カヒミ・カリィを知ってるかい #アナグラム歌会
その頃、渋谷系というミュージックがあって、フリッパーズ・ギターとか、ピチカート・ファイブとかオリジナルラブやカジヒデキなどのアーティストのお洒落でポップな曲が流行っていた。
僕は時代に逆向して、ビートルズとかイーグルスとかザ・フーとかローリングストーンズとか、あとは好きな作家に影響を受けてちょっぴりジャズなんかも聴いていた頃。硬派なのか軟派なのかよくわからないのは今も変わっていない。
渋谷系アーティストと呼ばれた彼らは音楽誌だけじゃなくてファッション誌にも登場してファッションアイコンのように活躍していたように記憶している。
その中にいたのが女性シンガーのカヒミ・カリィ。詳しいことはだいたいウィキペディアに掲載されているのでなるべく割愛したいのだけど、ウィスパーボイス、美人、フランス語が堪能、こんなところが個人的にパッと浮かぶ情報である。
漫画「デトロイト・メタル・シティ」の主人公が憧れる女性シンガーとしても有名かもしれない。
ちびまる子ちゃんのオープニング曲も歌っていた。音楽誌で中谷美紀と少々エロティックなグラビアもやっていた。FMでラジオのDJもやっていて、やっぱり囁くように喋っていた。ムッシュかまやつや伊武雅刀とかともコラボしてたり、フランスの映画監督セルジュ・ゲンスブールとも関わりがあったはず。
僕は当時「なんだこの名前は?」と驚いた。そして「声がちっさ!」と思いながら欠かさずラジオを聴いていた(確かその録音テープが残っているはず)。CDも買ったし、声が極端にちっさいからライブをするのに特殊なマイクが作られたというエピソードもあった。初ライブには行けなかったがその初ライブが収録されたビデオも買った。
早い話、僕は当時、カヒミ・カリィが好きだった。好きになってしまった。
でも当時は大きな声でカヒミ・カリィが好きだとは言いづらかった(今もかな)。
ある時、たまたま仕事関係の先輩にそれを知られてしまった。色々とそのことでいじられた。
しかし。
実はその先輩は渋谷系の人々が集まるクラブに出入りしていたのだ。そしてあろうことかカヒミ・カリィ当人に会ったと自慢してきたのだった。嫌な人だなと思った。なんて嫌な奴なんだろうと心がドス黒く染まりかけたのだが、なんと、先輩から手渡されたのはカヒミ・カリィ直筆のサインだった。
サ〜プラ〜イズっ!
黒く染まりかけた僕の心は速攻で晴れやかになってウヒョヒョーイ状態になったのであった。現金な物である。
えっとですね、ここまで書いて何が言いたいかというと、実はこのカヒミ・カリィさんの名前の由来は本名のアナグラムらしいのです。ネットには上がっていると思うけれど、ここではあえて出しません。
本名をローマ字表記して、それにKだったかAだったかを足して作ったアーティスト名が「カヒミ・カリィ」だということです。
本名をローマ字表記して入れ替えてアーティスト名を作る。
なんというお洒落な行為かよ。って刺激を受けました。
そのインパクトは今でも残っていて、あながちアナグラムに縁がなくはないんだなって思ってこの文章を書いてる次第です。
ウィキペディア情報によると、渋谷系ミュージックというのは2015年に死んだそうです。
直筆のサインを貰ってくれた当時の先輩はその少し前に会社がなくなり失業したとか。今は音信不通です。
不思議と自分では聴かないのだけど、たまにラジオでかかると嬉しくなります。
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皆さんの中には僕のウヒョヒョーイ話を読まされてご不快に思われた方もいるかもしれません。謹んでお詫び申し上げます。
これは「アナグラム歌会」ぼーろ中将部門への参加作品です。
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