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well reserved

誰かに何かを買うことがほとんどないのと同じように、誰かに何かを買ってもらうこともあまりないから、自分にどれくらいの価格帯のものが見合うのかよくわからない。「30代 独身女性 平均年収」と検索して出てくる金額より多く稼いでいて、お金のかかる趣味がない分貯金も多分なくはないのに、使い道はよくわからないまま生きている。将来への漠然とした不安は常にあるから無駄遣いもしないけれど、今日思いがけず、そんな予定は全くなかったのに、突然出会って突然13万カードを切った。

今日は前職の先輩とお出掛けの予定をしていて、それより少し早めについた。『百貨店の前』と言われていたからふらりと店内に入り、コスメのコーナー、アクセサリーのコーナーを通り過ぎた。母の言う、大厄の年の贈り物は、本来母が候補に挙げていたアクセサリーがいいのではないか…と思ったり、コスメは週数回も使わないからもう増やしたくないなと思ったり。

Mulberryの店舗がそこにあるとは知らず。形はずっとアイリスが欲しいと思っていて、あとはカラー…と思って数シーズン過ぎた。今季のカラーもぴたっと来ないんだよなあと思いつつ。アイリスは容量がしっかり入るタイプだから、荷物を入れてしまうと重くなって持ち歩くのが嫌になりそうと考えていたところで、かわいいお姉さんに「アイリスミニは生産終了」「国内の在庫がなくなったら終わり」と言われてしまい、それは全ての話が変わってくる…………………

と思ってうんうん悩んでいたところに、先輩から着いたと連絡が来て。お店に来てもらい、事情をお伝えし、比較検討してもらい、背中を押してもらって、買った。うう

素敵なものが世の中にはたくさんある。百貨店の、バイヤーの方々に素敵だと思われた上質なものだけが並んでいる様子には惚れ惚れする。そのどれもが自分に見合うかわからないことを、とても残念に思う。でも、アイリスミニは、いつかわたしの手元に来たらいいなと思っていたものだ。

お高めのバッグはちょっと重い。(わたしはロンシャンが大好き)かと言ってサイズを下げると、満足できるほどはなかなか物が入らない(気がする)。物が入らないサイズのバッグを何十万も出して…?と考えると、アイリスミニはサイズと容量的にぴったりだなと思っていた。形もかわいい。ボストンバッグほどのボリュームはないけど、マチはたっぷり。ちょっとしたお散歩にもお買い物にも持って行きやすいバッグ、という最近探していたテーマにも合う。

先輩には、数年前にちょっと大仕事を成し遂げた後にも会う約束をしていた日に突然出会った素敵なお財布を買う後押しをしてもらった。前もこんなことあったねえ、とにこにこ笑って、ちゃんと納得できるように「こういう部分が良い」と言ってくれたのも大きい。わたし、日頃はこういう価格体のものをひょいひょい買ったりしないんですよ、と5回くらい言った。

半年間連続で達成したり、32歳になったり、宅建に合格したり、東京で一年ちゃんと頑張ったり、そういうののご褒美だと思ってもいいかなあ。わたし、ちゃんと頑張ったかなあ。

塾でバイトしていたとき、こんなふうに自信のない生徒に、だいじょうぶだよ、ちゃんとできているよ、頑張ってるよと声をかけていたことを思い出す。なかなかこうやって、後押ししてもらえることはないし、今回はたまたま先輩がいて後押ししてくれたけれど、自分自身でちゃんとwell reservedだよ、と言える社会人になれるといいな。バッグ、すごくかわいい。

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