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駆け足探訪

午前5時20分。夜行バスが20分も早く名古屋についた。今日は友人と長野の山に登る。長野に向けての電車は7時発。それまでの時間、名古屋でモーニングとか最高やんなあ、と夜な夜な夜行バスの道中思っていたが5時台はもちろん、6時台でもほとんどモーニングのお店はやっていなかった。

行くあてがなくなってしまい、とりあえずベンチでおにぎりだけ食べる。珈琲だけでも飲めればと近くの商店街を探す。名古屋駅からひと駅の国際センター駅近くに「円頓寺商店街」を見つけたので行ってみることにした。

午前6時。駅を降りてすぐ、高架下の大きな車道を渡る。車道を渡るとき警備のおじさんが気をつけてね。と声をかけてくれた。会釈して車道を横断する。でも、道を間違えたことに気付いて、またおじさんの前を通る。地下鉄入口がいくつもあって、方向感覚がバグる。おじさんは行儀よくまた「気をつけてね!」と言ってくれた。程なくして、商店街に続く道を見つける。商店街までは徒歩10分。

呑んだくれた足元のおぼつかないおじさんとすれ違ってすぐ、ひとんちの窓から猫がのぞく。カーテンのないスッキリした窓から真っ白でふわふわの猫が私をじっと見つめるので『偽物みたいやなあ』と思いながら猫にこっそり手を振る。すると猫の目がぐるりとまわった。けれど目以外は微動だにしないので、やっぱり偽物みたいな気がして、そそくさと逃げるように先を急いだ。

そのさきにいたのは偽物の鯉。めちゃくちゃお賽銭を求めている。

いけすをのぞくと金魚がたくさん泳いでいた。午前6時10分。商店街に着くはずの時間にわたしはまだ猫と鯉しかみていなかったけれど、商店街までの道のりだけでも結構楽しい。

その他にも、屋根に神様をまつる風習が残る民家や書道教室、ねこのお好み焼き屋さんなどを通り過ぎたのち、朝から井戸端会議するおばあちゃんたちと挨拶をかわして商店街の手前まできた。

商店街手前の飲み屋街。混沌とした看板ゲートに心惹かれる。めちゃくちゃ国際色足されまくっててなんかいい。ここに来る人たちと一杯交わしてみたい。くぐりたくなるゲートを横目に過ぎると、目当ての商店街にたどり着いた。

Googleで営業中となっていた珈琲屋さんも、なんのお店もやっていないがらんとした朝の商店街。朝ラン中のランナーが爆速でわたしの横を通り過ぎていく。午前6時30分。珈琲は諦めてわたしは名古屋駅に戻ることにした。

なんのお店もやってなかったけれど、たまごサンド屋さんが美味しそうすぎて、いつか来たいと未練がましく看板の写真を撮る。卵料理ってなんであんなに美味しいんやろね。

午前6時40分。少し速歩きして、国際センターから乗車する。そして午前7時。名古屋発塩尻行きに向けて出発をした。

珈琲にありつきました

お隣に座ったおばさまと話がはずむ。ガールスカウトの夏キャンプの下見に行くそうだ。ひとしきり話し込んだあと、それぞれの時間を過ごす。車窓から見える長野の景色が美しい。青々とした田んぼ、傘をさしたふたりのかかし。ゴロゴロした岩が雄大な景色を作り出している木曽川。寝覚の床は一瞬だったけれどとても感激した。

間もなく塩尻。駆け足で楽しんだ朝の時間でした。いいお天気になったし山登り楽しみ!


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