むら

ここで一つ、仕事の話を

ゆるゆると、タンザニアンライフをお届けしていますが、ここで、
で、タンザニアでなにしてるの?
という話をしたいと思います。

一言でいうと、東アフリカで未電化地域向け電気の小売事業をやっている会社でサービス拡大のために日々奮闘しております。そして今日はそのサービスのご紹介をさせてください。

電気の小売事業?電力会社??

違います。そんな難しいこと私にはできません。
かっこよさげに電気の小売事業なんて書きましたが、要は充電式ランタンのレンタルサービスです。

こんな感じですね。このオレンジ色のが、噂のランタンです。
このお兄さん、こんなかっこいいバイク乗って登場していますが、この地域にも電気は通っていません。(タンザニアの田舎では6%の人しか電気にアクセスできません)
電気が当たり前な日本人にとっては、電気より先にバイクを持てる事に違和感を覚えるかもしれないですね。

ランタンの"レンタルサービス"とはいえ、私たちがTSUTAYA的な店舗を構えているわけではありません。

未電化地域でも、村の中心地には大抵、日用品や野菜を売っている売店があります。

こうゆう売店の店主のうち、良さげな人を選んで、その人に
 ・ソーラーパネル
 ・充電用の機器一式
 ・そこから充電できるランタン30個ほど
を貸し出し、エージェントになってもらいます。
このオレンジTシャツのお兄ちゃんが、その契約オーナーの一人です。
このお兄ちゃんが毎日30個のランタンをソーラーパネルから充電してくれて、そのランタンを村の人たちが借りる事ができる 
という仕組みです。
ちなみにお値段ランタン一つ、1泊で25円。
ランタンにケーブルを繋げば携帯の充電もできます。

で、ここにきて、どのへんが電気の小売事業なの?というかどうやって儲けてるの?という話です。

実はこのサービス、ソーラーパネルやランタンなどの一式を無料でエージェントに貸し出す代わりに、エージェントたちは私たちにお金を払ってライセンスを取得しないと、ランタンを充電できない仕組みになっているんです。
充電したいランタンの分だけのライセンスをエージェントに購入してもらうから、概念的に"小売"と呼んでるんです。

・村人Aは25円(500tzsh)を現金で払ってランタンを借りる
・エージェントBは村人からもらったレンタル代を元手に、ライセンス代を支払い
・ライセンスを取得すると、ソーラーシステムからランタンを充電できるようになる

そしてこのライセンスという言葉からプンプン匂っている通り、
ライセンス代の回収からライセンス付与、ひいては売上管理まで全部ITでやっています。

こんな電気もないところでIT??と、思うでしょう。

アフリカをなめちゃぁいけません。

たとえ田舎の電化率が6%でも、携帯電話の保有率は80%までのぼります。
あの戦士で有名なマサイ族だって子供と長老以外はみんな携帯持ってます。

そして驚くことなかれ、GDPの約半分は、携帯キャリアの提供する"モバイルマネー"サービスを利用したものだとも言われています。
モバイルマネーについては長くなるのでまた今度。 (要は、Suicaみたいな感覚で携帯にお金をチャージできて、そのお金をほかの人に送れて、それで電気代や色んなものの支払いができる という仕組み。)

そして、私たちもこのモバイルマネーによってライセンス代を回収しています。

つまり、上の図で説明すると、

・エージェントBからモバイルマネーで送金をうける
・当社システムDが送金を認識すると自動でエージェントBにライセンスが発行される
・エージェントBがライセンスをダウンロード、充電

といった形です。
東アフリカ、特にケニア、タンザニア、ルワンダではこのモバイルマネーを使ったBOP向け事業をやっている欧米系のスタートアップが結構あります。この話もまた今度。

日本にいると、インフラが整備されて、固定電話が広まって、携帯電話が使えるようになって、オンラインでできることがどんどん増えてという順番で考えがちですが、どんどん便利な物が増えるこの世の中、
インフラや固定電話なんてすっ飛ばして携帯電話が普及しちゃう など新興国ではよく耳にします。

電力もon gridでの整備が整う前に、こういったoff gridスタイルがどんどん広まっています。
ちなみに、ルワンダでは"電化率"の指標にこうしたソーラーで発電によって電気にアクセスしている人も含んでいます。
10年後には日本よりずっとエコな国になっているかもしれないですね。

世の中にある色んな良い技術やサービスを、デザイン次第で一足飛びにテストできる というのが私が感じている新興国市場の面白いところです。

と、だいぶ長くなってしまったので今日はこの辺で。
また書きます〜!


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