っ。

わたし。なんだろう、と思っていたのだけど
恐らくわたしはこの舞台上で、一度目の人生を終えている。
特攻隊員だったのだと思う。
その列に並べること、なにも考えず駆け抜けること、争いを勃発させること、死ねること、とても喜ばしいことだと思ってた。

ただ、やっぱり死ぬ直前に、あぁもっと話しておきたかってな、とか、あぁもっと人と触れ合えればよかったのにな、とか、考えてしまった


そうしたらあんなバケモノになってしまいました。
地縛霊のようなものかな

やったー、人間に見られてる〜
お近づきしたいな!の一心で話しかけてみても、隣に立ってみても、気味悪がられるばかりで。

あーもっと人間に近づかなきゃ、はやくはやく人間になりたい。


蛹の中でカラダをドロドロに溶かして、成形して、蛹をぶち破って、やっと人間の輪郭を手に入れた。

すごく疲れた。成形って意外と大変なんですね。
初めて肺で広い空間の息を吸って、初めて目があいて、あまりの情報の多さに狼狽る。
目の前にはたくさんの人がきっといる。想像するだけですごく怖いだろうな、いや今の状態でもすごく怖い。

フェルメールの世界は、わたしにとっては結構恐怖というか、衝撃的?攻撃的?な環境で、
知らない文化、宗教、言語で形作られた、到底わたしは入れないような世界。
出てきたばっかりだし、そもそも人間に近い輪郭を持っているだけで、中身はバケモノの変わらないから、どうやって接すればいいかなんてなにも分からない。

その状態で、初めて接触してくれたのが、かばちゃんだったというわけで。
何が何かわからないけど、連れて行ってくれて
色々教えてくれて、笑いかけられた
初めての経験すぎて、頭がパンクしている

驚いているけど、やっと人間と会えたな、あぁこれが人間か、嬉しい!
と思ってしまったので、正直ここで、かばちゃんに対して鬱陶しいという顔をすること、フェルメールの世界に自分からうまく溶け込むことが本当に難しい。無理だし、苦しい。


なんでこの人、こんなにもだれとでも、何にでも会話できるんだろう
いいなあ、自分もそうなりたいなあ、とどこかで思っているんでしょうね
人間に擬態して、何年かやり過ごす(豊作あたり)
一対一の対話はすることなく、村人のうちのひとりとして生きてきた。
人間の仲間入りができたと思っていました。


ふうねさんと対面するとき(トミーさんがひまわり持って降りてくる、ハグのとこ)、私もかばちゃんみたいに話しかけに行きたかったし、手を取りたかった。
震えて、誰も信じられない、みたいな顔をしたふうねさんが、若干私と被る。
けど上手く行かなかった。不器用で、手を取れないし、遠ざかっていくふうねさんを見つめることしかできない。本当になにもできなかった。

この時に、あぁやっぱり私は人間でもなんでもない。上手く溶け込めたと思ったけれど、結局人間にはなりきれなかった。って絶望しちゃうんですよね。


ペア振り、やりたかったなぁ
人と話したかったな、もっと触れたいし、誰かに見てほしかったなあ、思い/思われるの関係を築いてみたかった、って思いながら最後までずっと踊っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?