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ザーゴ監督解任に際しての疑問

2021年4月14日、鹿島アントラーズはザーゴ監督の解任を発表した。
これにあたり、疑問がいくつかあるので、ここに記そうと思う。



①解任の経緯


まずはどういう経緯で解任という結論に至ったのだろうか?
鹿島アントラーズからの説明は

“シーズンの成績を総合的に判断したうえでザーゴ監督との契約を解除することとなりました”

という一文だけだ。

プレシーズンマッチの水戸戦で、鈴木満FDは昨季の課題を3つ挙げた。(チームの為にならないので詳細は明記しない)このうち2つの課題を解決する為にピトゥカ、カイキという助っ人を獲得した。
4/17〜5/30まで長期連戦が続くとはいえ、彼らが合流する前に解任するのは理不尽に思える。
これは、鈴木満FDが2018年末に大岩剛監督続投を明言したと同時に

“世界に通用する武器を持った「絶対的な存在」の獲得。ジーコ氏とともに外国人新戦力の選定を進めている。”

“「メディカル」の改善。過密日程でケガ人が続出した反省を生かす。”

という2つのテコ入れを表明したが、2019年に外国籍選手は加入せず、メディカルも改善出来なかった
(Twitterにてfrom:@atlrs_official since:2019-1-1 until:2019-12-31 お知らせ、及びfrom:@atlrs_official since:2018-1-1 until:2018-12-31
お知らせ、で検索して確認した結果、2018年は9回、2019年は8回の離脱報告を確認)
シーズンで無冠に終わった責任を、チーム大岩に負わせた状態に似ていると思う。
つまり、首脳陣には説明責任があり、これを行わない場合、私はこの解任に納得出来ないだろう。



②後任を相馬直樹氏にした理由

解任そのものに大きな疑問がある事は前述の通りだが、ホームページを見る限りコーチは残留させてザーゴ氏“だけ”を解任した理由や、石井正忠氏や大岩剛氏と同様に後任が内部昇格させた前コーチである事にも大きな疑問がある。

鹿島アントラーズが石井氏と大岩氏をどう評価しているかは不明だが、例えば横浜Fマリノスと比較すると、獲得したタイトルは鹿島アントラーズの方が多い一方、マリノスはモンバエルツ氏の元で確立したスタイルの基礎を固め、その後を継いだポステコグルー氏によって15年振りのリーグタイトルを手にした。
つまり長期的にチーム及びクラブとしての戦略を考えると、後者の方が有意義なのではないだろうか?

マリノスのように生まれ変わる事を期待してのザーゴ氏招聘だったはずなので、道半ばで頓挫させてしまった事は将来的に大きな痛手となる可能性を秘めている。

そして、相馬直樹氏が監督に就任したという事は、現在ザーゴ氏より相馬氏を監督に立てた方が良いと判断した事になるが、その根拠は何なのだろう?
相馬氏の監督としての指揮っぷりは見たことがないので実績を見ると、特筆して良かったシーズンは無いように思える。何よりこれまで優勝経験が無いのに、鹿島アントラーズなら出来ると考えているのだろうか?

監督を交代するにしても、相馬氏は鈴木満FDの言う“チームに合ってるかどうかで決める”という基準に適合しているのだろうか?



③ザーゴ及び“脱全方位型”への総評

ザーゴが契約更新からたった3ヶ月で解任された事で、彼への総評はもちろん“脱全方位型”への総評も難しくなった。
内部事情は推し量ることしか出来ないので憶測になるが、昨季は「監督の理想はあるが、開幕から大きく出遅れた事で現実的なフットボールとの兼ね合いを見つつ戦う事を受け入れた」と考えており、今季は「昨季からの積み上げとして、監督の理想を追求する割合を増やす」という方針だったのではないか?

首脳陣との擦り合わせでどこまで監督の理想を尊重したのかは分からないが、その結末を見届けられなかった事は長期的に考えると損失と言えるだろう。

そして、相馬新監督の元でチームとして、またクラブとしてどう進んで行くのか現時点では不明だが、一旦は“脱全方位型は頓挫した”と捉えていいし、首脳陣は再チャレンジする事に大きなリスクを感じるだろう。
しかし全方位型の限界は大岩体制で露呈している為、チャレンジしなければ、今後資金力でも戦術でも選手の質でも大きなクラブに離されるであろう鹿島アントラーズは、緩やかな後退を余儀なくされる可能性が高い。
このジレンマをどう乗り越えるのか。茨の道が待っている。

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