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WACATE2024夏 参加

こんにちは。IT業界のすみっこでQAをしている、しらみと申します。

2024/06/23(土)~24(日)に、千葉県習志野市のトーセイホテル&セミナー幕張にて行われた WACATE2024夏 〜テストケースには、必ず作った人の意図が存在する〜 に参加してきました!WACATE詳細は下のリンクからどうぞ!
頑張ったことがたくさんあるので、忘れないうちに自分のためにブログに残します。


参加前に思っていたこと

2024年6月に、現職(事業会社さん)へ転職して早1年。
開発チームの中に入り込むQAとしてテスト中心に活動しながら、大きなリリースも乗り越え、開発チームメンバーさんともちょっとずつ信頼関係できてきたころ、諸事情で開発チームメンバーさんがほぼ半減しました。

半減ですが、やるべき案件はたくさんあって。
今の開発チームメンバーさんとテスト担当者の私で、なんとかかんとかやってかんとね!といった状況です。

開発チームメンバーさんは「テスト手伝うよ!」と言ってくれますが、リソース不足は変わらないので、チームの中でテストに対する解像度高くした上で、選択と集中ができるようにしておかねばと考えてます。
その「解像度を高くする」ために、まずは私自身が「要はこういうテストがしたい」を関係者に伝えられるようにしないと……(悶々)
今回のWACATEテーマは「テストの意図」「リバースモデリング」。
言語化が苦手な私にぴったりと感じ、いつもより熱量高く参加決めました。



WACATE2024夏

初期配置と班替え

WACATE 1日目は、2つの班での自己紹介から始まります。

まずは「初期配置」と呼ばれる班で、ポジションペーパー(申込時に提出する自己紹介や決意表明のようなもの)をもとに、班のメンバーさん1人ずつ自己紹介を行います。

WACATEは今年で5回目くらい(濁し)の参加ですが、年々QAやテストエンジニア以外の参加者が増えてきてる気がします👀
この日も、半分近くが開発者さん。過去も社長、CTO、VPoE、事業部のシステム受入責任者と、いろいろな方が参加してました。
WACATEという勉強会ひいては品質やテストへの関心の高さを感じます。

初期配置で自己紹介の練習をした後は班替え。
2日間をともにする班に移動し「班のガイドラインを作ろう」というワークに取り組みます。
私が所属した班は、開発者さん、QAさん、QAコンサルさんというメンバー構成。ガイドラインは

  • 話をさえぎらない

  • ケンカしない

  • あだ名で呼び合う

になりました!

「あだ名」は、私の方で発案させていただいたのですが、実はそっと温めてたアイディア。これを出したきっかけは、メンバーさんが「自分は内向的」と自己紹介してくれたこと。
(私も基本内向的というか、あんまりコミュニケーション得意じゃないんで…とても…とても親近感を感じました……)

個人的な考えですが、WACATEはグループワークによる学びが一番深く、そのためには自分から発言したり行動したりすることが一定必要になるなと感じています。
「あだ名」をつけることで、RPGでキャラを演じるような気持ちで「いつもの自分とちがう」ことも、やりやすくなればいいなと思って提案しました。

あだ名に関しては「意見を言い合った後も、あだ名を呼ぶと場が和む感じがしたよ」とFBをくれたメンバーさんもいて、ちょっとでも班の雰囲気に貢献できたかなぁと嬉しく思いました。



BPPセッション

WACATE 2023冬BPP受賞のMarkさんによるBPPセッション!

虚実皮膜のWACATEハイと題し、WACATE参加後の熱量のまま現場に戻ると現場との温度差が激しく落胆してしまう現象について、分析と考察それから対処方法の提案まで、プロ芸人のようなユーモアたっぷりに語っていらっしゃいました。

WACATEハイについては、めちゃくちゃ身に覚えがあって、最近は無意識に「現場にあの熱量は期待しない」「自分の仕事を通しエッセンスだけ現場に還元できればいい」と、自分の気もちをセーブしてた気がします。

WACATEハイが、勉強会参加後の熱量の高まりと現場との温度差によって引き起こされるなら、他の勉強会でも同じ現象が起こっているはずでは?が、Markさんの疑問の出発点。
モチベーション関連の書籍を読んで類似現象を調べてみたり、海外カンファレンスで参加者に類似の状態に陥ったことがないか?を聞いてみたり、
Markさんはいろいろな方法で、WACATEハイを分析されたそう。
(この「疑問の立て方」と「調べ方」もすごいー。)

そこからたどり着いた「虚実皮膜」という歌舞伎の言葉。
芸事の真髄は、虚構と現実の間にあり、磨き上げられた芸事は現実と区別できないという意味もあるそうです。

WACATEにおける磨き上げられた芸事とは、素晴らしく設計されたグループワークそのもの。WACATEという虚構の世界で、参加者はグループワークという芸事を体験します。グループワークは「頑張れば解けるよう設計」されているので、主体的に取り組むことである程度の成功体験を得られ、モチベーションもアップします。
ただ、現実には「頑張れば解けるよう設計」された課題なんてありません。WACATEという勉強会の完成度が、現実(現場)に戻った際のWACATEハイを生み出しやすい構造になっているとの結論、すごいなぁと感じました。

で、本題。
MarkさんはWACATEハイを全く感じなかったそう。
Markさんはその要因を「WACATE後の自身のアウトプット(ブログやワークの再演)」という行動にあるのでは?と分析されました。
「WACATE後の自身のアウトプット」つまりブログやワークの再演など、現実(現場)で自身が演者となりWACATEという芸事を再演すること。
おお、そっか。
WACATEを虚構の世界でみた夢のままにするのも、現実(現場)にもってくるのも、全部自分次第なのかと、なんだかすごく腹落ちしました。
Markさんは「受動的・消極的な姿勢がWACATEハイを呼び込んでしまうのでは?」ともおっしゃってました。オッフ…(脳内で過去の私が血みどろだ)



仕様変更によるテストケース修正

WACATE1日目午後!お昼休憩をとった後はいよいよワーク開始です!
ワーク一発目は今年からWACATE実行委員になったdakさん(@dak_KAQA)さん!初めてのセッションです!
dakさん初めてと思えないくらい落ち着いた話しぶり&進行で、こちらも変に緊張することなく、落ち着いて聞き入ることができました。

テスト手順書と画面遷移図が配られ、まずは仕様把握を行います。
その後2回の仕様変更に応じて「テスト手順書」を追加/変更/削除します。
ここまでが個人ワーク。
その後、仕様変更に対応した「テスト手順書」をグループ内で共有し、自分やメンバーさんの修正箇所と、なぜその修正にしたのか?視点の違いを学びあいます。

私は、2回目の仕様変更で「期限日」が追加されたことを見落としてしまい、グループワークの時に「あれ?なんかメンバーさんと話が合わない…」とあたふたしてしまいました。落ち着こう。

テスト手順書は、現場でよく見かける「文字情報いっぱいタイプ」のやつ。
No / 事前条件 / 操作パラメータ(入力値) / 操作手順 / 期待結果というレイアウトで、No以外は全て文章です。
私は第三者検証の方に作ってもらったテストケースをレビューすることが多かったので、その時によくやる「こっからここまで〇〇を確認するテスト」とメモしながらワークを進めました。
仕様変更の時はこのメモが役に立ったのと、のちの「リバースモデリング」の講義の時に、このメモをとる行為が自分なりの「リバースモデリング」の理解のとっかかりになったので、やっててよかったです。

ワーク中の書込み。メモメモ。



仕様変更のためのモデリングとテスト設計技法

「仕様変更によるテストケース修正」のワークを通して、テストケースに仕様変更を反映させることの難しさを体感したところで!実行委員たかはしさんによる「仕様変更のためのモデリングとテスト設計技法」の講義です!

いよいよモデリングがくるのか…難しそう…ついていけるかな…!という不安と午後の眠気の中…
講義中にばばーんとスライドに映し出されたものは…
\\\\「たかはしさんが食べたいおやつ」//// バーン
(圧倒的…!!圧倒的親しみやすさ…!!)そんなお題を使って

  • ラベリング

  • カテゴリー

と、どんな目的(視点)で、どうわけると(何)、理解しやすいのか?を解説していただきました。この講義で「モデリング」への警戒心がするすると解かれる思いがしました。モデリングはわかりやすくするためのもの。怖くない、怖くない。

テスト設計技法との連結の説明もスッと頭に入ってくるので、「モデリング…?」と身構えてしまう方、ぜひ↑のスライドみてください!

「仕様変更のためのモデリングとテスト技法」講義時のノート



グループワーク

お次は、テスト実装→テスト設計の成果物を導出しようの講義とワーク!
この講義で、WACATE2024夏のメインでもある「リバースモデリング」を扱っていたんですが、ちょっとリアタイでは理解が難しかった…!
「リバースモデリング」って、テストケースのようなローレベルな成果物から、テスト設計成果物のようなハイレベルな成果物を逆に作ること…と、私は単純に考えちゃったんですが……言葉の定義も、その行為自体の説明も、ちゃんとしようとするとすごく難しいと感じました。
「リバースモデリング」については、Xでの参加者さん⇔実行委員さん⇔秋山さんのやりとりと、ブロッコリーさんのブログを読んで、少しだけイメージがつかめた気がしますが、まだ自分の中で消化しきれてません。
とりあえず未来の私、迷ったら以下を読みに戻ってね。

講義のあとは、班でのワーク!
新しいお題(案件説明書 / 画面遷移図 / テストケース)が配られ、社長役のブロッコリーさんの仕様変更予告にビクビクしつつ、①テストケースからテスト設計成果物へ、➁テスト設計成果物からテスト分析へリバースモデリングのワークをやってみました。
(①と➁は日をまたいで実施しました!)

ワークの進め方は、テストケースからおおまかなテスト観点で3つに分けられたので、観点ごとに2人ずつ3チームにわかれてテスト設計成果物へのモデリングをやりました(写真の緑枠)。
その後テスト分析としてまとめる際は、チームで議論をしゆもつよメソッドの論理的機能構造図を参考に「入出力」「変換」「データ」にわけてみました(写真のオレンジ枠)。

班のみなさん、ブログ許可ありがとうございました!

グループワークで難しいなと感じたのは、抽象的な物事に対してメンバー間で認識を合わせていくところ。
ただでさえ「モデリング」「リバースモデリング」という、抽象と具体をいったりきたりするお題を扱っているので「この人は今どのくらいの視点(抽象⇔具体)で、何に対して、どんな考えを言ってるんだろう」を意識しないと、議論がうまく進まない危険性があります。
私の班では質問をしたり手元でアウトプットして「こういうこと?」と確認しあって議論を進めていたので、ふだん飲み込み悪い私もちゃんと議論についていくことができました!感謝!



招待講演 モデリングのそだてかた

招待講演は、みずのりさんによる「モデリングのそだてかた」です!

内容は、みずのりさんのこれまでの経験をふんだんに盛り込んだ上での

  • 各モデルの紹介や分類

  • モデルやモデリングのことばの定義、考え方のコツ

  • 自身のモデリングスキルの育て方

など、とにかくボリューム満点…!
量・講演時間ともにとても多かったはずなのですが、みずのりさんの話の面白さと巧みさで、あっという間に招待講演が終わった感じがしました。

特に心に残ったのは、モデルに対するみずのりさんの個人的解釈
「現実そのものではない。その上で、役にたつ道具」という部分と
モデリングのTIPS(捉え方・考え方)の「TIPS.1 目的を考える」という部分です。

以前テスト設計成果物(テストケースではなくテスト設計後のデシジョンテーブル等)をレビューした時に、重要度があまり高くない因子と水準を細かい粒度でデシジョンテーブルに組みこんでいるのを見て「こんなに大きいデシジョンテーブル、必要かなぁ…?」とモヤモヤしたことがあります。

みずのりさんの講演を聞きながら、あの時感じたモヤモヤは

  • デシジョンテーブルというモデルを作ることが目的化してた

  • そもそもテスト設計の目的があやふやだった

だと気づきました。

※注意:
モデリングのTIPS(捉え方・考え方)の「TIPS.1 目的を考える」自体は、モデルの階層化を考える上で、上段にあたる「目的」下段にあたる「手段」を意識しましょうという内容なので、厳密には私の気づきと少し違う内容になります。が、頭をゆさぶられてハっと気づいたのが衝撃だったのでブログに残します。

みずのりさんの招待講演も、私の脳みそだとまだまだ消化しきれてないのでスライド周回しようと思います。



アナザーWACATE

今回、WACATEのスキマ時間にもう1つ取り組んだことがあります。

WACATE大先輩のしずかさん(@s_banban)にリードいただきながら、仕事の悩みや現場の課題を書き出し、分類・整理するワークをしてました。
しずかさんいつも…いつもありがとうございます…!!!
TOCという思考方法らしく、毎月勉強会も開催されているとのこと。
(詳細は以下リンクからどうぞ!)
第3火曜日は、お世話係させていただいてる JaSST nano の日ですが、こちらの勉強会にも参加してみたいです…!!


最後に

毎回思うのですが、内容が濃すぎて今回もあっという間の2日間でした!

最後のクロージングでは、JaSST nano お世話係仲間の そうすけさん(@sousuke_panda)がMAP賞を受賞!
ずっと応援してきた方なので、共通の知り合いQAさんに受賞の記念写真送ろうとキャーキャー撮影してたら、私もみずのりさんからBFP賞を頂けました!まさか賞頂けると思ってなかったのですが、みずのりさんのコメントがすごくすごく嬉しく、現場でまた頑張ろう!とすごく勇気づけられました!

最後になりますが、WACATE実行委員のみなさん、いつも素晴らしい勉強会を作って頂き本当にありがとうございます!
招待講演のみずのりさん、貴重なお話たくさんありがとうございました!
お話してくださった参加者のみなさん、2班のみなさん、たくさんの学びをありがとうございました!

あと、家族。年2回ママの勉強会に協力してくれてありがとう。
ママがんばる。

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