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いじわるママさん

ずっと欲しかった1枚。アーニー・ケイドゥの「Mother-In-Low」は、言うまでもなくムーン「楽しい夜更し」の元歌。
後年「1曲のネタは最低でも20曲はあるからねぇ」と嘯いていた大滝さんも、ムーンの頃は「ネタがある」ことをひとつのアイデンティティとしてとらえていた節がある。エレック時代(NAL-0002)の本人による曲解説には「ニューオリンズが生んだシンガー、アーニー・ケー・ドゥの名作 "いじわるママさん" をもじった曲」とあり、さらに「この曲のもじりは、ニール・セダカとバリー・マンのコンビで61年にやっています。"スウィート・リトル・ユー"、僕のは2番もじりです」と自らネタ明かしをしている。

大滝のニューオリンズ趣味ははっぴいの3枚目「HAPPY END」録音でロスに行った際に観たジョニー・リバーズのステージから始まっているという。オープニング曲「Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu」はヒューイ "ピアノ" スミス('57)のカバーで、そこからあらためてドクター・ジョン、アラン・トゥーサンへ行けばアーニー・ケイドゥのこの曲に容易にたどり着ける。
というわけで、MINIT盤はオリジナル。これはトゥーサンの最初のヒット作であり、ピアノを弾いているのも彼自身。’61年、ビルボートのホット100とR&Bチャート両方で1位になったこの曲のヒットでアメリカでニューオリンズが注目され、ファッツ・ドミノが出てくる下地を作った。ニューオリンズのルーツとも言える曲。ただし曲調はセカンドラインではなく、ロングヘアーがお得意だったマンボブギーを下敷きに、ドゥワップのテイストを加えたもの。ニューオリンズの音楽は、なにかとクレオール(混血)な感じが強いのだ。

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