初めての里子受け入れ一時保護
簡単な紹介
妻1981年生まれ、夫1983年生まれ、の都内共働き夫婦。2001年生まれの娘は一人暮らしですでに家を出ている。
いろんな事があって里親と養子縁組里親のダブル登録を希望し、2023年1月に両認定が降りる。
里子受け入れ依頼の電話が鳴った
2023年1月某日。
里親担当の着信表示。認定書をいただいてからまだ2週間足らず、なんの電話かなと思って出たら、一時保護の依頼だった。
「高校生の女の子で明日から1週間受け入れてくれる先を探している」とのこと。平日は通学することと外国籍だが会話は日本語で問題ないことを伝えられる。
一旦電話を切って夫と相談した結果、何か背中を押して貰えるような理由を探してみたけど、結局、特に断る物理的理由もないしこれで断ったらどんな条件が揃ったとき受け入れるの?ってことでエイヤーでOKしてみた。
これくらいの情報で受け入れ相談があるのが通常なのかしら、と夫婦で会話しながら初めての経験に楽しみ半分不安半分。
急だったけど、まぁなんとでもなるかと不安要素はかき消してやっておくべきことを頭の中で整理して行動に移す。
とりあえず寝るところ。ゲスト用の寝具を洗濯して、ベッドメイキング。私は朝ごはん食べない生活なので朝食用の食パンを買い出したりバタバタ用事をこなして翌日夜、担当福祉士2人と里子ちゃんがやってきた。
ドキドキの対面
里子ちゃんより少し前にやってきた里親担当者から保護の経緯をざっくりときき、本人の人柄なんかも共有してもらいつつ、保護中の決まりや気をつけることこちらからの質問なんかをやりとりする。
保護の経緯は具体的に言うことはしない決まりなのかは分からなかったけど表面的な内容のみで、こちらからも特に聞くことはしなかった。実家環境が何らかの問題があっての家出と理解する。
ウチで受け入れる前は別の里親家庭をいくつか転々として、途中家に戻ったりした時期もあったらしいのだけれど、もう今後家には帰るつもりはないということだった。養護施設や保護所の空きまでの調整ということで1週間ウチに滞在する。
話を聞くと、こういった一時保護の里子は高校生が圧倒的に多く、施設や保護所の定員はいつもパンパンで空き枠がでても争奪戦、くらいの逼迫度らしい。里子ちゃんもうちに来た翌日に施設の見学に2箇所回るとのことだった。
※養護施設は必要ないが、保護所は入所費という家賃的な費用を自身で稼いで納める必要があるらしい。
15分ほど遅れて里子ちゃんと里子担当福祉士がやってきた。
簡単に挨拶をして、学校のスケジュールや通学時間、お金のことなど簡単な確認のやり取りをした後、担当者2人は帰っていった。
初対面の里子リマちゃん(仮名)はいまどきのJKという感じで人並み程度にシャイな明るい可愛い子だった。
その後遅れて娘(私の実子、21才)が合流。年の近いお姉さんが加わったことで、その日の夕食はとてもにぎやかで、リマちゃんもすぐ打ち解けてくれた様子。リマちゃんがちょっと気になるクラスメイトの話なんかで盛り上がっているところに私も加わってちょっとした女子会のようだった。
この感じだと何も心配することはなさそう。
保護中の里子はとても不自由
しかし、初めて里子をお迎えしなければわからなかったよなーということがいっぱいあった。
・保護下に置かれている間の里子は電子機器を持ち歩けない(携帯ももてない、持たせちゃいけない)
・その日暮らしのお金しか渡してはいけない。ので通学にかかる往復の交通費とランチ代を里親が立て替えて日々小分けに渡すことが推奨される。
・通学以外の一人行動は原則禁止。家からコンビニ行くときでも里親同伴で。里親が用事のときも一人で留守番させるのは好ましくない、どうしてもの場合は児相に相談。一人になる時間は学校や児相で待機となる場合が多いよう。
と、まぁ上記は一時保護の短期間の場合ということなのかも知れないけど、行動制限が厳しい。
受入期間中、何度か、リマちゃんだけドコソコにいかなければいけない機会があったりしたけど、ちょっと電車乗り間違えて時間がかかったりすると、担当から私宛に電話があって何時に家を出たか、の確認のやり取りが発生したり、帰りも今から帰りますという定時連絡(学校や施設の固定電話から)があったりと、思ったより電話連絡の頻度が多かった。
土日も挟んだので買い物に出かけるときも毎回ついてきてもらわないといけなく付き合わせて申し訳ないなと思いながら、でもまぁ本人は楽しそうだったから良かったのだけれど、そんなこともあった。
高校生にもなってこんな不自由な行動制限下におかれても家に戻りたくないという気持ちを想像すると複雑な気持ちになった。
生活の様子
リマちゃんがいた一週間は留学生を受け入れている、くらいのイメージで「他人が家に寝泊まりしている」ということ以上の大変なことは特別なかったし、普通のJK(普通ってなんだって感じだけど;)でさらに外国籍ということもあってか、必要以上に気を使うことをしない子で逆にこちらも気を使わなくて済んだので助かった。中盤からは夫とも楽しそうに話すシーンも増えてたし、初めての受け入れがリマちゃんで入門編としてはとてもやりやすいパターンだったのではないかと思っている。
私は今どきのJKが興味を示すことを垣間見れて非常に楽しかった。Netflixが見れることを喜んで、一緒に「初恋」や「今際の際のアリス」をみたり(彼女が見ないと多分見なかった)、リコメンドのサムネイルからお互いホラー映画もイケる口と知ってYoutubeで最近見たホラー動画を教え合ったりして刺激をたくさんもらった。
福祉士さんの大変なお仕事ぶり
そして今回初めて目の辺りにした里子担当福祉士さんのお仕事だったけれど、あれは本当に大変なお仕事すぎて頭が下がる。
最低限生活できるだけとはいえ大量になる里子ちゃんの荷物を一緒に運んでくるだけでも本当に大変だとおもう。
それなのに、早朝も夜も時間お構いなしに里子の動きにあわせて帯同する場面も多いし、予想できない突発的な連絡にも対応が必要で体調不良を受けて学校まで迎えに行ったり病院に付き添ったり(一度早退して帰ってきた)、とてもじゃないけど生半可な志で続けていけるお仕事じゃないなぁとなんとも言えない気持ちになった。
施設見学に行くと言っていた日、福祉士さんが送り届けてくれたのは21時を過ぎていた。その日はウチからはじめて通学するから初日だけ付きそうということで朝7時に迎えに来て帯同していた日だった。
どこにお住まいかわからないけれど、うちに7時に到着して、帯同して、そのあとたぶん日々の業務をして、下校時刻からまた合流して施設見学に付添い21時に送り届けるという一日は想像しただけでハード。
しかも最強寒波と全国を騒がせていたど真ん中の日だった。極寒。
養護系の施設なんて、どこもまぁ駅から遠いのよ。本当に大変なお仕事。
お別れの日
あっという間に一週間が立って、最終日は朝学校に送り出したらそれっきりのお別れだった。いつもと同じように玄関から見送って、元気でね、を付け加えた。
施設見学はあまり良い印象ではなかったみたい。このあとどこで寝泊まりするんだろう。
大量の生活荷物とともにいなくなってしまったリマちゃんを時々思い出しては今何してるかなぁと少し寂しく思う。
ちなみに大量の荷物は別途福祉士さんが回収しに来た(本当に大変!)。
里親とは
里子とどういうふうに向き合うのがいいんだろう、どう接するのが正解なんだろうとおもいながら迎えた初めての受け入れ。1週間という短い期間とはいえクリアになったことがある。
何かしてあげよう、とかこの子のためにとか思うことは里親のスタンスとしてはよろしくなくて、里子ちゃんが安心して眠れて、3食ご飯が食べられる環境をそっと提供してあげる、それが一時保護のケースにおける里親の心構えなのではないかと今は思っている。
なんで家を出てきたのか、両親との関係性はどうなのか、これからどうしたいのか、何かしてあげたほうがいいのか、そんなことは気にしなくてよくて、ただただ場所を提供する、そういう役割なのだ。一時保護に限っては。
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