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“学会員”インタビュー㉒やしまさん

天海春香学会Vol.2出版記念企画として、「学会員」のみなさんへインタビューを行うシリーズ企画。

第22回は、やしまさんへのインタビューをお届けいたします。

インタビュー:そにっぴー/スタントン

文:スタントン

―――

出会った日

――宜しくお願いします。

やしま:
宜しくお願いします。

――まず最初の質問なのですが、やしまさんは、アイマスではどなたを担当されているのでしょうか。

やしま:
765が天海春香と星井美希、ミリオンが春日未来と北沢志保、シンデレラが本田未央と木村夏樹を担当しています。

――なるほど、765だと春香と美希が担当なのですね。それでは、まずは春香を担当するに至った経緯を教えていただけますか。

やしま:
それがですね……覚えてないんです(笑)。

――そうなのですね。ちなみに、アイマスに関わりだしたのはいつ頃からだったのでしょうか。

やしま:
明確に関わり始めたのは、10thライブの後だったんですよ。僕の近くにアイマスを好きな方がいたんですが、熱くアイマスについて語っていたんです。(その友人と)仲が良かったので、「じゃあ、触れてみるか」って思ったんです。自分はニコニコ動画を見ていたので、アイマスとか、春香の存在自体も元々知ってたんですが、10thが(※2015年7月開催)終わったあとの8月に、OFAを買って、やり始めたのが明確な始まりですね。

ただ、春香を担当した経緯が自分のなかでもわからなくって……元々春香のことを知っていたので、出会ったきっかけとかはわからないんですよね。でも、最初に誰をプロデュースするのか考えたときに、一番しっくりきたのが春香だったんです。

――おお、いいですね。

やしま:
この子を最初にプロデュースしたいって、自然とそう思ったんですよね。
こういう経緯なので、ほら、『Destiny』って曲があるじゃないですか。「最初に出逢った日 覚えてるかな」って聞かれても覚えてないんですよね(笑)。
でも、春香と最初に話した日はOFAだって僕は思ってます。最初の出会いを覚えてないのが春香に対して申し訳ないってずっと思っていたんですが、年月が経つにつれて「こういう出会い方もロマンチックなのかな?」って思うようになりました。


美希、はるみき

――ありがとうございます。それでは、美希についてはいかがですか。

やしま:
元々、美希の曲がすごく好きだったんです。曲好きが高じて担当になりましたね。なんといいますか……美希の失恋ソングがすごく好きで、「なんでこの子こういう曲ばかり歌うんだろうな」っていうところから始まって、そこから自分なりに答えを見つけたんです。そうしたら、「美希をそばにおきたいな」って思うようになったんです。あと、アニマスでの春香と美希のやり取りもいいなあって思っていましたね。

――春香と美希のやり取りというと……終盤の……

やしま:
そうですね。僕、あの場面が本当に大好きなんです。そこのやり取りで、美希に対して「この子こういう訴え方もするんだ」ってびっくりしたんです。その当時は美希のコミュにあまり触れていなかったので、衝撃的でした。幼さの残る子でありつつ、天才肌でかっこいいイメージがあったので、(アニマスでの春香とのやり取りで)素の表情を見せられたという感じがしましたね。その流れで、はるみきが好きになりました。

ベースとアイマス楽曲

――やしまさん個人についてお伺いさせていただきます。やしまさんはベースを弾いてらっしゃいますが、いつ頃から弾かれるようになったのですか。

やしま:
今、僕は26歳なんですけど、20歳くらいのときですかね。専門学校の謝恩会で知り合いのギタリストから誘われてベースを一旦やって、しばらく時間が空いたあと、「バンドやろうや」って言われまして、ここ1、2年で真剣にやるようになりました。

――アイマスの楽曲もよく弾かれていますが、弾いていて「楽しいな」「難しいな」と思われた楽曲はありますか。

やしま:
すごくいい質問ですね(笑)。
楽しいのは「START!!」ですね。Bメロでベースが踊るようなラインがあるんです。


やしま:
サビ前の――ハイポジっていう言葉があるんですが――盛り上がりに合わせてどんどん音が高くなるところとかも、弾いていてめっちゃ楽しいです。BPMが速いので難しさもあるんですけれど、「START!!」は弾いていて楽しいですね。
一方で、いま「ステキハピネス」を弾こうと思っているんですが、これがかなり難しいです。

――難しいのですね。

やしま:
はい。「すってっきーな」の部分で指がかなり動くので、そこが特に難しいです。他だと、「Jet to the Future」もかなり難しいです。


3年越しの作品

――やしまさんは今回のVol.2が、春香学会への初参加です。天海春香学会に参加しようと思っていただけたきっかけはなんでしょうか。

やしま:
作品を “完成” させたくて参加したんですよ。

――元々、『春風』の構想はあったのですね。

やしま:
冒頭の部分とかは結構前に書いていたんですよ。これを書くきっかけになったのが箱マスだったんですよね。それも、春香のTrue Endがきっかけだったんです。春香から思いを伝えられるじゃないですか。そのなかのやり取りで、「アイドルを辞めたら戻ってきてもいいですか」と春香が言ったとき、僕はすごくこのセリフに対して感銘だったり、衝撃だったり、そういう感情を覚えたんです。無印エンド自体が無茶苦茶好きなんですよ。なんて言うんでしょうか、離れ離れにはなっちゃうんですけど、どこかでまた会えるかもしれないという思いを抱きながら一生懸命生き続けるという終わり方がすごく美しく思えてですね……それで、「アイドルを辞めたら~」の続きを書きたくなったんです。箱マスをやったのが多分3年前くらいなので、冒頭の文章についても3年前に書いた文章ですね(笑)。

――おお、温めましたね。

やしま:
そうなんですよ。春香の誕生日にSSとして出したいという気持ちはあったんですけど、なかなか進まなくて、「今年はだめだったな」「ああ、今年もだめだったな」って思っていたんです。実は、春香学会Vol.1のときも参加するかすごく迷っていたんですが、結局勇気が出なかった経緯があったんです。それで、Vol.2の発表があったときに「思い切って参加して書くか!」ってなったんです。ずっと先送りしていたんですけど、「僕がこの作品を出さなかったら誰かが困る」という、締め切りがあって後に引けない状況を作ったんです。もし完成したら、春香のことが大好きな人に読んでもらえるっていう最高な状態になりますからね。

――作品では「はるみき」の関係性が描かれています。やはり、アニメで描かれたようなはるみきを、自分なりに描きたかったのでしょうか。

やしま:
そうですね。はるみきの好きなところが、「互いに、自分が持ってないことを羨ましがるところ」なんですよ。春香にしてみれば、美希はダンスをすぐ覚えちゃったり、歌もうまかったりするので、「羨ましいなあ」って思うんですけど、一方美希も、春香はリーダーを任せてもらえたり、Pとの距離感が近かったりするところに羨ましさを抱いているんです。お互いを羨ましがりつつも高めあうことができるはるみきが大好きなので、そこを自分なりにまとめて書きました。

――あと気になったのですが、作中に出てくるユニットの"Than'Cute"は「サンキュート」でよろしいでしょうか。

やしま:
はい、そうですね。

――みなさん、ゲームでユニット名をつけるときにこだわってらっしゃる印象があるんですけれど、このユニット名はどのようにして生まれたのですか。

やしま:
これは、OFAのときから使っているユニット名なんですよ。"Thank you"と"Cute"を掛けているんですけれど……アイドルって輝いていて、ステージに立つみなさんは可愛いじゃないですか。自分が可愛くなりたいという気持ちも強いと思うんです。その原動力って、見てくれるファンのみんながいるからだと思うんですよね。だから、「ファンの方達への思いを込めたステージを見せます」という決意の表れとしてThank you×CuteでThan'Cuteなんです。

――作品の本質に関わることをお伺いいたします。春香がマイクを置いた後にどうするのか、という問いについては、各々のプロデューサーさんがよく考えてらっしゃることだと思います。この作品では、「歌のお姉さんとして旅に出る」という結末になるのですが、どうしてこの結末になったのでしょうか。

やしま:
僕として、春香は歌が好きである限りずっと歌っていて欲しいなと思っているんです。「アイドルを辞めたら戻ってきてもいいですか」というゲームの結末後に、実際にプロデューサーと春香が再会したとしたら、もっと二人でやりたいことがあるんだろうな、と思ったんです。それで、春香の夢についてもう一度考えてみたんです。作品によっては異なりますが、春香はアイドルになりたいからアイドルになりました、という感じなので――そこがすごく好きなんですが――アイドルになった瞬間にいったん夢は叶えられているんですよ。

僕なりにその部分を考えると、春香はアイドルをしながら、次の夢を見つけるんじゃないかなって思ったんです。春香って優しい子だし、歌が好きだから、次の夢もその歌を多くの人に届けることなんじゃないかなって考えるようになりました。それから、僕は春香とどこかへ旅をしてみたくなったんですよ。旅と歌を組み合わせたときに、あの結末が浮かんだんです。

――作品のなかで、書いていて難しかった場面はありましたか。

やしま:
ありましたね。影響を受けた箱マスの世界観で書くのか、担当もいるミリオンライブの世界観で書くのかで本当に迷っていて、なかなか書きづらかったんです。ミリオンの子たちもすごく好きだし、それを書かないのは自分の作品じゃない気がしたので……。結局、「ミリオンライブの世界でもなく、箱マスの世界でもなく、自分のなかの世界を書けばいいや!」って考えを変えてから書きやすくなりました。

――今回、査読をしていて熱っぽく書いてらっしゃるような気がしましたが、長文ともあって書くのは大変でしたか。

やしま:
何年も先送りしていたことではあったので、書くのは難しかったです。中学生くらいの頃から小説を書く癖はあったんですけど、春香のことや、アイドルを辞めた後のことを書くので難しさとか緊張感みたいなものはやっぱり感じました。でも、書いていてすごく楽しかったんですけどね。

――そんな感じがします。楽しそうに書いてらっしゃるな、という感じを受けました。前々から構想を練っていた作品がようやく完成しましたが、書き終えていかがでしたか。

やしま:
とにかく充実感、達成感が半端じゃなかったです。箱マスでのTrue Endは僕にとってかなり特別で、「アイドルを辞めたら~」のセリフがアイマスのなかで一番好きなセリフなんです。まあ、好きすぎて狂わされた感じなんですけど(笑)。その受けた影響とか、気持ちとかを文字に書き起こせたので、書けて良かったなあと思いました。それから、アイドルを辞めたあとのこともしっかり書けたので、心から良かったと思ってます。形にできたことが嬉しかったですね。

――他に、やしまさんから作品について付け足したいことは何かありますか。

やしま:
プロデューサーが辞めた理由なんですけれど、箱マスに理由があるんです。僕がそうだったんですけど、52週のプロデュースをして、ドームに行って、「ああ……」ってなったまま「よし、次のプロデュースするぞ」ってなれなかったんですよ。ゲーム上はもう一回春香のプロデュースもできるんですけど、なんか手が進まなくて……。結局、春香をプロデュースして以降、誰一人プロデュースできなかったんです。そういう経験を「春風」に込めているんですよ。

それから、はるみきについても少し。美希にも報われてほしくて書いたんですよ。よく、美希が「春香は私のライバルなの」って言って、春香が「いやあ、そんなことないよ」って言うんですけど、美希にとってそれはある種残酷な返答なんですよ。これって、美希からすると同じ土俵に立たせてもらえていないってことでもありますし。だから、美希の口から「私だってライバルなんだよ」ってことを言わせたくて、そう書きました。

他作品について

――やしまさんは今回の学会誌を読まれましたか。

やしま:
はい、読ませていただきました。いやあ、笑ったり悶えたり、「はぁ~」ってなったり忙しい300ページでしたね。

――何か気になった作品はありますか。

やしま:
イラストですと、落ソヤさんの春香さん。僕、これ初めて見たときに学会誌閉じたんですよ。「あっ!」って無条件で閉じちゃって、その後チラッと見てまた閉じて……を繰り返してました(笑)。めちゃくちゃ可愛い春香を描くなあって思いました。
あと、らすぼすさんの春香さんもめっちゃよくって、僕アイドルの後ろ姿めっちゃ好きなんですよ。後ろ姿見られるのってプロデューサーの特権じゃないですか。後ろ姿でキメ顔で「行ってきます。」って言われたら、「よっしゃ行って来いよ!」って言うしかないじゃないですか!ほんと、いいイラスト描いてらっしゃるなと思いました。


やしま:
それから、薫る風さんの春香さんもすごく好きなんですよ。よく彼と話すんですけど……薫る風さんの中にある春香さんってめっちゃ元気な子だなって思うんです。それがこのイラストにもよく表れていて……インタビューで「親目線で見てる」って言ってらっしゃったじゃないですか。娘を描いているかのような絵柄で、めちゃくちゃ好きです。

やしま:
あとは文章の部なんですけれど……僕、そにっぴーさんとお話したいことがあるんです。

――(そにっぴー)おお、なんでしょうか。

やしま:
『天海春香の運命論』を読ませていただいたんですけど、僕も「運命」っていう言葉を特別視していて、運命について考えていた時期があるんです。運命って先に待ち受けているものではなくて、振り返ったときに「あ!あれは運命だったね」ってなるのが「運命」だと思っているんですよ。それで、「Destiny」の「運命」もその運命なんじゃないかなって思うんです。これって、「解釈的運命論」になるんですかね。

――(そにっぴー)そうですね。文章の説明でいうと「解釈的運命論」です。

解釈(物語)的運命論は、恋人たちが「運命の出会い」を語るときのそれに似ている。「最初は偶然だったことが、もうこれは必然と考えることしかできないような、いわば重み」をもつ感覚、と言えよう。偶然にすぎない出来事に「解釈(物語)」を与えることで、「嗚呼、あの出来事は偶然などではなく必然だったのだ!」と叫ぶに足る意味を持つようなものだ。


そにっぴー著『天海春香の運命論』より抜粋

やしま:
僕が感覚的に思っていたことが言語化されていたので、話をしたくなりました。

――(そにっぴー)解釈的運命論って、物語にすると良いんですよね。絆を確かめあうための運命、という感じです。といいますか、そこまで考えてくださる方がいたとは……ありがとうございます。

やしま:
目次見たときに「読みてえ!」って思いましたもん(笑)。良かったです。春香って「普通」の女の子だけど「運命」という言葉と切っても切り離せない子じゃないですか。だから春香って面白いんですよね。

やしま:
そうPさんの『天海春香と昭和アイドルの親和性』。僕も、春香からすごく昭和感を感じるときがあって……それこそ「松田聖子」みを感じてたんですよ。読ませてもらって、僕がふわふわと感じていたことを、 現場目線と言いうか、"時代" を見てきた方の視点で書かれていて、いいなあと思いました。カバー曲で昔の曲を選ばれがちなのも、運営がこういう春香を推したかったからなんじゃないかなって考えていました。

やしま:
他だと、えぬわいPさんの『私と春香の旅路』。この文章がめっちゃ好きなんですよ。アイモバをやったことがないので、興味津々で読ませていただきました。僕は春香と旅がしたい人間ですし、文章の最後のほうで「春香との旅は終わりません」という言葉を見たときに、うるっときたんです。目指したいオタク像だなと思いました。

あとは、司令官Pさんの『天海春香と向き合ってみて』。これは本当に面白かったです。僕にも等身大ポップの未来ちゃんがいるんですけど、すごく参考になりました。パソコンの後ろに置く発想がなかったので、2人目がきたらやってみようと思いましたね。

やしま:
それから、ゆきますくさんの『ゆめの続きの話をしよう』。文字数が多いという事前情報を知っていたんですけど、中身が面白くて、気がついたら読み終わっていました。特に春香からメールが来る場面……「ドームライブやりたいです」ってメールが来るシーンにはもう鳥肌が立ちましたよ。ほんっとに面白かったです。あと、春香が新曲作ってるっていう話がでたときに、「これは『笑って!』だろうな……」って思ってたら本当に「笑って!」が来たので、なんだか(ゆきますくさんと)シンパシーを感じましたね。

次回作は

――もし天海春香学会Vol.3に参加するとしたら、どんなものを書いてみたいですか。

やしま:
実は、近未来アウトサイダーについて書きたいって思っているんです。前日譚とかをやりたいなあって。

好き

――あなたにとって、天海春香とは。

やしま:
僕にとって天海春香とは……「好きな子」です。色々な方のインタビューを見て僕なりに考えていたんですけど、好き以外出てこなかったです(笑)。この子のことを考えると「ああっ、好き!」以外の感想が出てこないんです。

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3年越しの作品がようやく完成された、やしまさんのインタビューでした。

天海春香学会Vol.2の増刷が決定いたしました!

5月の頒布を予定しておりますので、お楽しみにお待ちくださいませ。

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