見出し画像

学会員インタビュー⑧フブキPさん

天海春香学会Vol.3出版企画として、「学会員」のみなさんへインタビューを行うシリーズ企画。

第8回は、フブキPさんのインタビューをお届けします。

文:スタントン
———

バラエティ番組で重宝される天海春香概念

——最近、アイマスや春香さん以外でハマっていることや、趣味などはございますか。

フブキP:
語れるほどめちゃくちゃ詳しいわけではないのですが、東京03さんが好きでよく公式YouTubeチャンネルのコントを観ています。
中でも「小芝居」というコントが面白い上に最後のオチでゾクっときて、今までの三人のやり取りやタイトルの意味がまるっと変わってしまうのがすごく好きで何回も観てます。


フブキP:
あと私はアイドルと芸人さんが番組で絡んでるのを観るのが好きなので、最近は朝の生放送番組のラヴィット!が熱いです。録画しておいて夜の寝る前に観てます。

——東京03さんのお話がでましたが、フブキさんが考えるに、春香さんはコントを演じるのは得意でしょうか。それとも苦手でしょうか。

フブキP:
コントも得意だと思いますが、きっちり台本が作り込まれているネタより、アドリブ挟める余白があるくらいのネタのほうが素の持ち味が出そうかな、と思います。突然の無茶振りにも応えてくれるから芸人さんやスタッフさんたちに好かれたり、バラエティ番組で重宝される天海春香に夢を見ているので……。


美也と春香

——学会誌についてお伺いいたします。今回、Vol.2に引き続き2回目のご参加となりました。Vol.3の発表前から、ご参加を予定されていたのでしょうか。

フブキP:
Vol.2後のインタビューでは近未来アウトサイダーの話が書きたいと話していたのですが、それが5000字に収まる気がしなかったというのもあり、Vol.3はあまり参加するつもりがありませんでした。実際、近未来アウトサイダー関係の話はとりむねにくさんにもご協力頂き、学会誌ではなくpixivにアップしています。


フブキP:
でも募集要項の『10年後の天海春香』という特集テーマを見て、『10年後』ってワード最近ミリシタで見たよな?と思い、それが美也ちゃんの初恋バタフライのコミュだったことに気付いて、「アッ書こう!」っとなった覚えがあります。どこかであのコミュの内容を昇華しておきたい気持ちがあったのだと思います。

羨ましさの昇華

——特集テーマ「10年後の天海春香」と、美也ちゃんのコミュとがリンクしたのですね。
これは重要だと思うので先にお伺いいたします。美也ちゃんのコミュ(85話 とおくとおくたかく)をご覧になったとき、どのような感想を抱かれましたか。

フブキP:
美也ちゃんのコミュが公開されたとき春香Pさんたちがざわついているのに気付いて、春香さんが出てるのかな~くらいの気持ちで見て思いきり被弾してしまいました。見終わった後は、羨ましいという気持ちが一番強かったです。
作中Pの「美也が美也なりに……真剣に考えた結果だというのは、わかるよ」って言葉が本当に優しくて真摯で、美也ちゃんにそんなに理解を示して丁寧に接してあげられるなら、なんであのときの春香さんにはそうしてくれなかったんだよという憤りがありました。ミリシタの765Pがあの765Pとは全く違う存在だというのは分かっているのですが、でもこのコミュに春香さん出すっていうことはそういうことじゃん…!?としばらくグルグル考えていました。
美也ちゃんの考えや気持ちが、作中Pにすごく大切に扱われているのが羨ましかったんだと思います。

——確かに、いわゆる「無印エンド」のプロデューサーと比較すると、初恋バタフライのコミュでのプロデューサーはアイドルの言葉にしっかり耳を傾けている印象があります。先ほど「昇華しておきたい気持ちがあった」と仰っていましたが、この羨ましさが創作意欲に結びつかれたのでしょうか。

フブキP:
そうですね。羨ましいという気持ちは下手すると攻撃性の高い嫉妬に変わってしまうので、私の場合はそういう気持ちを持ってしまったら文章にすると心の整理がついて落ち着くので、今回の特集テーマはとても有り難かったです。

——お話の制作過程についてお伺いします。前回のインタビューにて、「プロットをあんまりちゃんと作らないタイプ」と仰っていました。今回もあまり決めずに作られたのでしょうか。

フブキP:
そういえば今回もプロットらしいプロットはなかったですね…。
前回、規定の文字数をオーバーしてしまったのがずっと気になっていたので、今回は絶対に五千字以内に収めるぞという意志で「登場人物は春香さんと美也ちゃんだけに絞る」ということだけ最初に決めていたと思います。あとは美也ちゃんを蝶々に例えたかったので、蝶々が蜜を吸う、味わう、じゃあ果物かな…女の子が二人で桃食べてるのいいな……くらいの感じで書き始めました。

——「初恋バタフライ」があるので蝶は連想しやすいのですが、そこから一歩踏み込んで桃を出されたのが印象的でした。拝読して果汁が滴り落ちるような感覚を覚えたのですが、描写で注意したことや意識したことはありますか。

フブキP:
「桃と蝶々」では春香さんも美也ちゃんも27歳なので、大人の女性として書きたかったのもあり、桃を扱ったり味わったりする描写に少しだけ官能的な表現を加えました。
あと桃は『初恋』のメタファーでもあったので、この話ではPに告白する気がない春香さんは、最初に少し食べただけでそれ以降は口にしていません。
『桃=初恋』を使っていかにも美味しそうなスイーツを作り、綺麗に切り分けたりはするけど、自分では食べず、自分を見ている人(この話の場合は美也ちゃん)に食べさせてしまう。
逆に告白すると決めている美也ちゃんは桃を残さず美味しく味わい尽くしている、という対比として書きました。

美也ちゃんは挑むことを躊躇わない子

——続いて、美也ちゃんについてお伺いいたします。天海春香については、Vol.2の作品のようによく描写されてらっしゃると思いますが、いままで美也ちゃんを題材に作品を作られたことはありますか。また、美也ちゃんの口調や思考を考えながら書いてみて、感じられたことや発見されたことはありますか。

フブキP:
美也ちゃんを書いたのは今回が初めてでした。書くにあたって最初に考えたのは「美也ちゃんは10年後に告白をするのか、しないのか」だったので、まず口調と思考をもう一度ちゃんと掴もうと思い、ミリシタのメモリアルコミュから登場するイベスト等色々見返したのですが、まず感じたのが美也ちゃんは挑むことを躊躇わない子なんだなということでした。
そもそも彼女の「歴史の教科書に載りたい」という夢も、私だったら思い浮かんだとしても無謀すぎるな、止めとこ……と秒で諦めると思いますが、美也ちゃんはそれを実現するためにアイドルになるという行動を起こしています。
また、私が美也ちゃんのカードで一番好きなのはグリマス時代の(ミリシタにも実装されていますが)「涙輝く表彰台」なのですが、このときの「私、何故か失敗ばかりで……」と涙する美也ちゃんのセリフを見てすごく驚いた覚えがあって、今まで頑張ったのに上手くいかなかったことに対する悔しさや落ち込む気持ちが彼女の中にはちゃんとあって、その上であのマイペースさを貫いて、壮大な夢を手放さないでいるのだから、彼女はものすごく芯が強くて、勇敢な人だと思ったんです。
だから美也ちゃんは多分「告白」という、はっきりとした答えが出る行為にも挑みに行くんじゃないかなと思いました。ただこれは私が考えたことなので、私よりもよほど美也ちゃんの言動を追っている美也Pさんには違う意見があると思います。あくまで私の推測です。

——確かに公式でも、今回の作品でも、美也ちゃんはかなり勇気を持っている印象を受けました。一方の春香は、文中にあるように「恐ろしいほどの自制心が働いて」います。意を決して発言していた前作の春香とは対照的だとお見受けしたのですが、フブキさんが意図的にそう書かれたのでしょうか。

フブキP:
前作の春香さんは厳密に言うと「ミリオンライブの天海春香」ではなかったのでああいう書き方になったのですが、今回はメタ要素を無くして「ミリオンライブの天海春香」として書いたので、その違いが出たのだと思います。
前作の春香さんにとってプロデューサーは結局のところ「私のプロデューサーさん」で、今作の春香さんにとっては最初から「私たちのプロデューサーさん」という認識です。プロデューサーに対する認識が違うので、距離の取り方・詰め方が違う感じです。


他作品レビュー

——学会誌の他作品についてお伺いします。
読まれたなかで、面白かった、気になった、という作品はございましたか。

フブキP:
他の方の作品についてですが、全部好き!というのは大前提で、まずななみんさんの表紙、何度見ても素晴らしいですね。
目尻から流れて頬から首筋を伝い鎖骨に落ちる涙、美しすぎる。裏表紙部分の太ももを覆うスカートのプリーツの皺とかも細かくって最高でした。

フブキP:
はじかるみさんが描かれた春香さんは、ステージの高揚感や歌に感情が入っているのが、切なげな表情から伝わってくるよう。とりむねにくさんの描かれた春香さんは彼女感ある。こんな子が隣歩いてたら全世界に自慢してしまう。

フブキP:
みりんさんの描かれた、雨の中の春香さんの決意を秘めたような横顔もすごく好きです。葵さんのゲーム画面からこちらに向かって手を差し出す春香さんの構図は天才かと思いました。


フブキP:
文章の部でいいなと思ったのは、まさゆきさんジャガタロイモさんが連続して並んでいたことです。
このお二人はアニマスの、特に終盤の春香さんに対して真逆の印象を抱いたのだと私は思ったのですが、春香学会誌はどちらか一方だけを肯定/否定したりはしないんだなと、そこが良かったです。私も自分が見出した天海春香をこれからも自由に発信していいんだなと思えたので。

フブキP:
そにっぴーさんの『笑って!』に対する情熱の塊のような文章も熱くて良かったですし、スタントンさんのソロ新曲『HSD』についての解説はすごくタメになりました。
私はなんか今までのソロ曲とは違うな~くらいで聞いていたのですが、他のソロ曲と比較して図解されるとすごく解りやすかったです。

フブキP:
あと今回私がインタビュー申し込むの遅かったのは、ゆきますくさんのインタビュー記事が上がるの待ってたのもあるので、ゆきますくさんが申し込んで下さってて良かったです。


フブキP:
毎回ゆきますくさんが書かれるプロデューサーの言動が絶妙に腹が立つので(すみません)、これは相当計算されて書かれているのか、素で書いてるのかどっち…?と迷っていたのですが、インタビュー記事読んだら完全に前者だったので感服しました。読んでる最中の私の感情などゆきますくさんの手のひらの上でしたね。
ゆきますくさんは季節感のある描写が素晴らしいので、今後も冬の話を書いて頂きたいような、違う季節も読んでみたいような、複雑な気持ちです。

家庭用ゲームベースの話

——もし、天海春香学会Vol.4の企画が決定したら、参加されますか。
また、参加するとしたら、どのような作品を作りたいですか。

フブキP:
書けるかどうか分からないのですが、もし次も参加出来そうならステラステージやスタマスといった家庭用ゲームベースの話にしたいかなと思います。

歌っていてほしい

——今回、特集テーマとして「10年後の天海春香」を設定いたしました。
フブキさんとしては、10年後、天海春香はどうなっていると思いますか。

フブキP:
基本的には今回の作品で書いた通りなのですが、女優として評価されつつ、自分の出演するドラマや映画の主題歌も歌う存在になっていてほしいです。やっぱりずっと歌っていてほしいので。

万華鏡

——あなたにとって、天海春香とは。

フブキP:
難しい質問また来た~。

今回は書いてて、万華鏡みたいだなと思いました。
いつだってキラキラして眩しいけれど、どこの世界線に照準を合わせるか、彼女の中のどの部分に重きを置くかによって見え方(模様)が変わる、でもそれを構成している中身は一緒、という感じです。

———

フブキPさんにじっくりと語っていただいたインタビューでした。

天海春香学会Vol.3を含む各種冊子を頒布中です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?