藤井風「花」（my flower's here）考察
風さんの新しいシングルを、聴きながら英訳を書き写して日本語と比べてみました。風さんの英語は本当にうつくしく、英訳と行き来していると、日本語の歌詞もどういう意味が込められているのか理解が深まります。
枯れていく
It’s dying
今この瞬間も
even at this moment
咲いている
It’s blooming
全ては溶けていく
Everything comes together
melting awayではなくてcomes togetherとなっているところに風さんの思想が垣間見えます
何が出来るのだろうか
What can I do
誰を生きようかな
Who shall I live
みんな儚い
We are all ephemeral
”ephemeral”-エフェメラル-
「つかの間の、はかない、一日の命の、一日限りの、短命な」という意味だそうです。ここではfragileではなくて、fragileなら「壊れやすい、もろい、虚弱な、かよわい、はかない」という意味。言葉ひとつとっても思想やコンテクストが含まれるなあと。
あとは細かいけど、「みんな」がEveryoneじゃなくて「We」なのも風さんの考えや価値観が私たちに語りかける歌詞になっているのが良い！！
みんな尊い
We are all sacred
sacred：神聖な、神の使いの、宗教的な
≠precious
しわしわに萎れた花束 小わきに抱えて
Holding a bouquet of wilted flowers under my arm
タイトル英訳の「my flower’s here」の抽象表現かな
永遠に変わらぬ輝き探してた
I was searching for the beauty that would never fade
「輝き」が「the beauty」。花のことを示していそう。光っているというよりも個々の”内なる輝き”
「探してた」日本語だと現在の話なのか過去の話なのか読み解きづらいけど、have beenではなくwas searchingというところが過去にずっと花を探してたという心情がわかる
僕らを信じてみた
I trusted you and me
僕らを感じてた
I was feeling you and me
「感じてた」日本語だと現在の状態に訳すこともできるけど、過去の話だということがわかる
咲かせにいくよ
I’m going to bloom
be going toに意志を感じる
内なる花を
the flower inside of me
innnerとinsideの違いはなんだろう。
使用法:Innerは通常、何かの本質的または基本的な性質を説明する形容詞。insideは物理的な場所または位置を説明する前置詞または副詞としてより一般的に使用されます。
フォーカス:Inner何かの核心または本質を強調し、inside物理的な場所または空間に焦点を合わせます。
含意:Innerはより内省的または哲学的な意味合いを持っていますが、insideはより実用的で具体的です。
https://redkiwiapp.com/ja/english-guide/synonyms/inner-inside
→花が自分の中に染み込んでいるというより、その人にしかない一輪の花が物質的に自分と分かれて個で咲いているというようなイメージか。
さりげなく
Secretly （密かに）
思いを込めてみる
I’m trying to put my heart
やむを得ず
Unavoidably
避けられない。「やむを得ず」という言葉がしたたか
祈りを込めていく
I’m living with a prayer
”prayer”は”祈り””祈祷”という意味も含まれる宗教的意味も含まれた英語の名詞表現
いつまで迷うんだろうか
For how long will I be lost
Forがあるからいつかは終わりがあることを示唆している？
いつかは分かるよな
I’ll find out someday,I’m sure
迷うんだろうか、と言っていながらも「I’m sure」に意志が含まれていそう
誰もが一人
We are alone
全ては一つ
All is one
色々な姿や形に惑わされるけど
Confused by the various shapes and forms
いつの日か全てがかわいく思えるさ
But one day everything will feel so cute
わたしは何になろうか
What will be
becomeじゃなくてbeが状態を示している
どんな色がいいかな
What color would I like to be
風さんの考え方が好きなのは、断定をせず、ひとりひとりの考えや選択、状態を尊重してくれるところ。would I like「（私は何が）好きだろうか」で終わらずにto be「何になろうか、どういう状態になっていくだろうか」というニュアンスが含まれていることにそれを感じる
探しにいくよ内なる花を
I’m going to find
やばい！！１番で「永遠に変わらぬ輝き探してた」のところ、I was ”searching”for the beauty that would never fade
「探す」が”searching”だったのが、ここでは”find”になっている、、
search：探索する（深く探すというようなニュアンスが含まれている）
find：見つける、発見する（searchよりも内発的なニュアンスが含まれる？）
心の状態が変わりゆき、２番ではより内なる心が動いているということが示唆されている？一つの単語とっても、とてもこまやか・・・！
しわしわに萎れた花束小わきに抱えて
Holding bouquet of wilted flowers under my arm
永遠に変わらぬ輝き探してた
I was ”searching”for the beauty that would never fade
僕らを信じてみた
I trusted you and me
僕らを感じてた
I was feeling you and me
咲かせにいくよ
I’m going to bloom
内なる花を
the flower inside of me
探しにいくよ
I’m going to find
内なる花を
the flower inside of me
my flower's here…
ここまでは歌詞の考察。
MVの中でも気になることはたくさんです。
・大砂漠
果てない道という心の暗喩？
・スーツの風さんが、花で埋め尽くされた自分自身の棺桶を引っ張っている死んでるわけではなく、棺桶の風さんも歌っている
・随所に出てくる遺影の風さん
死んでいるわけではなく歌っている。閉じ込められてしんだ心、でも完全に死んでいるわけではなくて生き続けていることの暗喩？
・２番で棺桶の風さんが起き上がり、立ち上がる、飛び降りる
蘇生？つぎはぎでカラフルな色の衣装を着ているのが良い
・遺影の風さん「誰もが一人」「全ては一つ」
「誰もが一人」「全ては一つ」の歌詞を全部言い切らない間に、蘇生した風さんの方にカットが切り替わるのが良い！！細やか
・サビ〜お焼香のシーン〜鳥が飛び立つシーン〜
行為自体は悲しいものだが、悲しく見えない。自分の閉じ込められた心を開放しながら弔っているのだろうか。
・棺桶で立ち上がるシーン
開放を意味？
・２番「探しにいくよ」I’m going to find
遺影の方の風さんが歌う。しにそうで枯れそうな心の方がfindしようとしているということがわかる
・「内なる花を」のシーン
右に風さんの遺影がある。生き死に両立して人は生きている、ということだろうか。
・最後のサビ
夜のダンス。中心に炎が燃えたぎっていて、笑顔で踊り祈る。開放の暗喩？
・my flower’s here
インサートで遺影の風さんも笑顔で歌っている
・最後消えるシーン
みんな儚い（We are all ephemeral）というのを示しているのだろうか
歌詞と動画、そして何度聴いても飽きないメロディーは圧巻です。
そしてこれがフジテレビのドラマ「いちばんすきな花」の主題歌となっているのも考察深くて良い・・・「silent」のプロデューサー村瀬健さんと脚本家の生方美久さんはじめとした方々が作られているドラマ。
「唯一心を許せた異性の友達が、結婚を機に友達では無くなってしまった」
「結婚を考えていた彼女を、彼女の男友達に奪われた」
「友達になりたいだけなのに、異性というだけで勝手に恋愛と捉えられてしまう」
「友達の友達もみんな友達と思っていたが、気付けば本音を話せる相手はいなかった」
境遇だけでなく、考え方も全く違う彼らがふとした出来事を機に巡り会い、それぞれの日常のなかで“友情”と“恋愛”というテーマに自然と向き合いながら、違う人生を歩んできた4人の男女の姿。
「男女の間に友情は成立するのか？」という永遠の命題をテーマに、そこで生まれるそのどちらとも違う“感情”を描く。
ドラマの始まりで流れるイントロも「なにかが始まる・・・」という期待感高まるメロディーが最高ですし、風さんの歌詞や映像と、ドラマのストーリーが重なり合って「いちばんすきな花」とはどういう存在で自分にとってなんなのか、ドラマの最後も気になります。
つらつらと書きましたが、つまるところ風さんさいこう！！ドラマはゆるりと３話までしか見れていないのではやく追いつきます！！
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