調べ




少し前の遠い空に触れると

そこから華が咲いてきて

雄蕊と雌蕊の交わりの向こうに

何も知らないあなたがいました

桃のような頭を割ると数多の過去が

とくとくと流れるように川となり

それは幾つもの記憶を陽光に反射して

未来のように空を彩りました

海に落ちる雫は音を鳴らし

深くに達しては音を潜め

水面の音楽を支えています

不意に私は指揮者として

沢山の過去を割って空に塗りつけ

そうして海へ流し込もうと

目を閉じて座る神様を尻目に

ただ一人決心をしました










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