繊細と過敏



この人が「 繊細 」と呼んでいるものは

恐らくは「 過敏 」であって

自閉した空間で繰り返される単調な痛みを

世界の全てだと思い込んでいる


とか

思うことがあります


理由は分からないし分かりますが

時たま周囲の人から「 私はHSPで 」と

宣言と相談の間のような発言を受けます


その瞬間その人の前から私は消え去り

というかその人に塗り潰され

そこを通る風も流れも

この人は感じ取ることができない


原因やきっかけと呼ばれる何か

それは私に預かり知らぬが

自らを「 繊細 」と呼ぶこの人の知覚過敏は

実際に触れている味と香りの複雑を

同じように塗り潰している

ことにこの人は気がつけない閉じているから


原因というより来歴と呼んだ方がよさそうな

そんなものを背負いながら

淀みに留まり過敏に甘えている


そうしてこの人は直視しない

過敏ゆえに目を閉じて

内側を単調になぞり続ける

何が自分を何処へ

運んでいるのか気がつき得ずに


もし

風や流れを感じたいなら

風や流れになり果てたいなら

まずはその過敏をさ

壊さなきゃ壊さなきゃ

怖くても壊さなきゃ

厚くなった殻を破り

溢れるものを流さなきゃ





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