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オーバードーズとその倫理

いわゆるトー横界隈で「オーバードーズ」が問題となっている。

オーバードーズとは、薬の過剰服薬のことだ。
かつては自殺企図のニュアンスで語られることが多かったオーバードーズだが、トー横界隈の様子を見ていると、その背景には若干の違いを感じる。

現実から目をそらしたかったから

トー横界隈でオーバードーズをした者に、その理由を尋ねると、十中八九こう答える。
一見、刹那的なようにも思えるこの回答は、かれらの内在的論理をよく反映している。

要は、これだけ社会が複雑化・高度化している中で、彼らは右も左もわからなくなっているのである。

そのような状況下で彼らから発せられる目一杯のヘルプが、「オーバードーズ」という形で露われるのである。

確かに、オーバードーズをすると、下手をすれば命を失うことになるかもしれない。けれど、それ以上にオーバードーズをする者は「今」「この瞬間」が辛いのだ。

その現実から目を背けるため、半ば強制的にオーバードーズという手法を取らざるを得ない。

その病理の深さは、今の、そしてこれからの日本の暗部を示しているように思えてならない。